再戦2
不定期です
吸血鬼が人間に襲いかかる。急いでフィクスに指示をだし、転移魔法を発動する。転移して早々、吸血鬼に拳を振るい人との距離を離すことに成功した。視線を人に向けると、以前ここで踊りの練習をしていた人、ミズナの姿があった。彼女は目を瞑り、まだ俺が来たことに気づいていないようだった
「まったく、忠告したはずだぞ。とにかく無事でなによりだ」
「待たせたわね!!救世主フィクスちゃん登場!!」
俺の声に反応してゆっくり目を開けるミズナ。頭が混乱していて目の前の状況を理解していないようだった。しかし、目も前にいる男の顔には見覚えがあり敵ではないことは分かった
「あなたは...」
「話はあとで、もう起きたみたいだ」
タクマの拳をくらって吹き飛ばされてもすぐに立ち上がる吸血鬼。多少ダメージを与えられたようだが、倒れるまでには至らなかった
「殴るだけでも簡単に岩なんか砕けるんだけどな。吸血鬼って頑丈なんだな」
「そういうタクマは人間なの?」
「それに関しては自信をなくしているところだ」
フードが外れ、月の光で姿がはっきりと視認できる。尖った耳に、鋭く長い八重歯。薄黒い肌に赤い瞳。こいつがこの街で事件を起こしているヴァンパイアの一人。しかしフィクスが精霊からきいた話では二人で行動していたと言っていた
「お前、前にもあった奴か?お仲間さんは助けにこないのか」
「またお前か..お前も邪魔だ!!」
「タクマ!あいつ狂気状態になってるわよ!気を付けて!!」
「なんだそれ!?」
タクマにヘイトが向き驚異的な速さで距離を詰め鋭い爪を振るってくる。常人では反応すら出来ず切り裂かれるだろう。しかし、相手は人かどうか曖昧になってしまった存在である。タクマは振るわれた爪に狙いを定めて拳をぶつける。吸血鬼の爪は鉄を紙のように切り裂く程の鋭利さをもつ。そんな爪もタクマが力を込めて振るった拳の前では役にたたず、衝突した瞬間、爪は折れ腕が千切れ、血が噴き出した
「ぐっぁああああああ!!」
激痛により大きな叫び声をあげる吸血鬼。気にせず腹部にもう一発、拳を喰らわせる。拳がめり込み、そこを中心に腹部に大きな穴が空いた
「フィクス今の内に結界を張ってくれ。逃げられると面倒だ」
「はいはーい任せて!!」
片腕を失い、腹部に穴をあけられても意識を失わず立ち上がろうとする。それに、徐々に傷が再生されていく。生命力が高く再性能力がある種族だなんて、こんな奴を街に逃がしてはならない。起き上がる前にフィクスに結界を張ってもらう。周囲に展開された結界は目に見えることはなく、街歩く人々に騒がれることはないだろう
「鑑定」
名前 ブラッド・ヘイルリーフ
レベル 30
種族 吸血族(男)
HP 800/3000
MP 2800/3200
筋力 350
防御力 262
素早さ238
魔力 338
魔法防御 378
〈ユニークスキル〉
〈スキル〉
・格闘術level5・剣術level2・気配探知level3・魔力探知level3・気配遮断level4・隠蔽level3
・身体強化level2
〈称号〉
吸血鬼
・吸血鬼
夜に紛れ、血を喰らう者
血を操り、魔力を消費することで様々な現象を引き起こす
血が不足すると理性を失う
人間よりも遥かに能力値が高い。血を用いて斬撃を放ったり、転移したり、傷が再生するのも称号のお陰なのだろう。それにフィクスが言っていた狂気状態というのも称号の影響であり血を失った際のデメリット。言葉を話せるあたり、完全に理性を失っている訳ではないようだ
「吸血鬼を殺すには銀製の武器が必要かもと思ったけど、ぶん殴ってれば倒せそうだな」
「普通は拳でどうにかなる相手じゃないんだけどね。タクマ強すぎ―」
決着がついていないのにまるで緊張感がないフィクス。役割的には俺が対峙して、フィクスが援護。結界を張はれ逃げることができず、戦闘は俺の方が圧倒的に優勢。気が抜けるのも分かるが、こちらにはミズナという人質になりえる存在がいる。そのためむやみにミズナから離れることはできない
「ライトニングストーム」
広範囲雷魔法を発動する。吸血鬼を中心に渦を巻く雷が吸血鬼の再生を阻害する。筋肉が収縮を起こし動くこともできない
「殺しちゃうの?」
「いや、目的を知りたい。このまま弱らせて拘束する」
血の消費量は見れないが鑑定を用いてMPを確認することで、再生できない状態まで追い込むことができる。勿論、死なないようにHP管理も忘れない。後ろにいるミズナが腰を抜かし倒れている。その目には同情のようなものが感じられる。命を狙われたばかりだというのに痛ましい姿を見て同情だなんて、お優しい...いや愚かである
俺には守りたい仲間がいる。修行して強くなったからといって目の前にある危険を取り除かないという選択肢はない。ここは向こうの世界とは違う。街への行き来だけでも命の危険がある世界。力なくして生きていくには難しい世界。そんな世界で摘める芽は早めに摘むに限る




