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捕獲成功

不定期です

 俺には守りたい仲間がいる。修行して強くなったからといって目の前にある危険を取り除かないという選択肢はない。ここは向こうの世界とは違う。街への行き来だけでも命の危険がある世界。力なくして生きていくには難しい世界。そんな世界で摘める芽は早めに摘むに限る


 「血渡り!!」


 一瞬にしてライトニングストームの効果範囲から吸血鬼が逃れた。恐らく、飛散した血の一部に転移したのだろう。結界内であれば転移魔法の使用は可能だが、あの技は明確な血の位置を把握せずとも使用できるのだろうか。それとも、自身の血なら全て把握できるのだろうか


 「血壁槍!!」


 硬質化した巨大な血の槍。周囲に散った血が集まり形成された槍はまっすぐこちらに飛んでくる。後ろには倒れこんだミズナがいる。避けることは許されない


 「電光石化」


 雷を纏い思い切り槍に拳を振るう。まるで金属同士がぶつかったような甲高い音が響くと、槍は粉々に崩れおちた。形成を保てなくった血は硬質化が解かれ液体へともどる


 「血針殺!!」


 先程散った血が再び硬質化し、無数の針となって向かってくる。幸いなことに標的にされているのは俺だけだったのでそのまま攻撃を受ける。しかし、刺された服が穴だらけになっただけでかすり傷すら負っていない


 「こんなもん今更きくと思ってるのか?」

 「あなたの方がバケモ・・・」

 「うるさいぞフィクス」


 再利用させないよう、雷の出力をあげ血を蒸発させる。鉄や焦げくさい臭いが周囲に広がる。吸血鬼をみると腹部が再生されているが、吹き飛ばした腕は止血はされているが再生が止まっていた。魔力に余裕はあるが、血が不足していて再生しきれないのだろう。先程の血壁槍や血針殺も飛散した血を利用していたし、その可能性は高い


 「血欠・・」


 また何か仕掛けてきそうだったので、一瞬で距離を詰め腹部に拳を振るう。腹を貫かぬよう加減はしている。気絶させ行動不能にできればいい。後は拘束して尋問するだけである


 「血欠・・」

 「しぶといな」


 一発では足りなかったようで、もう一発くらわせることで、大人しくなった。魔剣エクスレイドと取り出し、魔力をそそぐ。魔剣から影が放出され吸血鬼を飲み込んでいく。これでいつでも誰にも邪魔されずに尋問できる


 「さて、もう大丈夫だ。立てるか?」

 「う、うん」


 ミズナに手を貸して立たせる。見たかんじ傷もないようだし回復魔法は不要だろう。魔剣はすぐにアイテムボックスにしまった。展開している結界もフィクスに言って解いてもらった


 「あなたは一体何者なの?吸血鬼を倒すなんて」

 「ただの冒険者タクマだよ。初めて会った時も名乗ったはずだが?」

 

 目を細め疑いの目を向けてくるが、生憎その目には慣れている。仲間の一人によくそんな目をされているのでね...自慢にはならないか


 「今日はもう帰れ。一人じゃ無理なら送ってくけど?」

 「ちょっとちょっと!怖い思いして一人で帰れるわけないでしょ。それに夜道をレディ一人で歩かせるつもりなの?」


 頭上でギャーギャーと騒いでいるフィクス。不快ではあるが、フィクスの意見には一理ある。今もあまり元気がないように見える


 「ちょいと失礼」


 時短のため転移魔法を発動し、水妃の祭壇入口まで移動する。転移魔法は一度行ったこと、視界に捉えた場所にしか転移できない。気配遮断を用いて空中移動しようかとも思ったが、ミズナの案内が必要なため、今回は街中を歩くことにした


 着いたのは彼女が働いている宿だった。2階建ての建物で、彼女は、この上に住んでいるらしい。店はまだ賑わいをみせており、俺達は店の裏口に移動した


 「今日はありがとう。助かったわ」

 「気にするな。偶然だったしな。それよりも今回の件は誰にも内緒にして欲しいんだが」

 「冒険者に報告しなくていいの?」

 「目立ちたくないんだよ。俺は自由気ままに生きたいだけなんだ」


 今回の件に関わるのも、俺達の楽しい旅を邪魔されたくないからである。上で見ているであろう奴らに頼まれない限り、余計な事に首を突っ込むつもりはない。ミズナが中に入ることを確認した後、転移魔法で帰路に着いた。眠りにつく前にフィクスを還そうとすると、「今日は一緒に寝る!!」と騒ぎ出したので仕方なく同じベッドに横になる。今回、吸血鬼を捕まえるのに協力してくれた恩返しだと思えば悪くはないだろう




 「そうか、捕まったか。役立たずめが」


 静寂に包まれるなか、しかめっ面な表情をする男。肩には掌サイズの蝙蝠が乗っている。仲間...いや、下っ端が捕まった情報を得て不満を漏らす。多少、計画に変更を加える必要があるが問題はないと思い、気持ちを切り替える


 「しかし人間ごときが我々に抗うとは、これは...面白くなってきたな」


 退屈だった日々に好奇心を刺激する存在が現れ、久々に彼の口角が大きく上がった


   

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