協力関係?
不定期です
すぐに回復魔法を使用しみんなの傷を癒すが、魔力と体力の消費が激しく立ち上がることができずにいた。堪えてはいるが、みんなの目に涙があふれ必死に声を殺していた。俺は何も言わず、みんなの心が落ち着くまで、ただ見守ることしかできなかった
戦闘終了後一人一人に声を掛けていった。泣いたのが恥ずかしいのかテイラ、アイリス、リコは顔を俯かせていたが、イリナは俺の放った爆炎弾が怖かったのか足に抱き着き顔を埋めてしまった...可愛い。俺達は現在、冒険者ギルドの執務室に連れられていた。
「困りますね、これ程荒らしてしまっては」
ミューリア冒険者ギルドのギルド長スエン・ミューリア。腰まで伸びた蒼い髪に透き通った瞳。椅子に座りながらも背筋を伸ばし、机に置かれた書類に目を通している姿はまさに出来る上司というか真面目な性格の持ち主なのだろう。一目みて気が合いそうにないと思ってしまった。俺達は、部屋に入って早々、先程の戦いで訓練場を荒らしてしまい説教というより注意を受けた
冒険者ギルドという荒くれ者が集う場所に設けられた訓練場なだけに多少は大目にみられるのだが最後に放った爆炎弾はやりすぎだったようで、地に大きなクレーターができてしまった。悪いことをしてしまったとは思うが、それだけでわざわざギルド長に呼ばれるだろうか。審判を務めていたスレハだけで十二分に処理できる内容のはず。ではなぜ、呼ばれることになったのか、他に呼ばれる理由があるとすれば思い当たるのは一つしかない
「そして、君だね吸血鬼と遭遇したという青年は」
以前、吸血鬼に遭遇した時、冒険者ギルドに報告するために訪れた。その際、ギルド長との面会を避けるため資料を作成して担当だった受付嬢に渡してとんずらしたことがあった。面倒事は先延ばしという考えで行ったが、それを清算するときがきてしまった
「なぜこんなものを置いて直接説明しなかった」
「こんなものでも十二分と思ったからだ」
透き通った目で俺の目を見るスエン。その目には怒りの念が込められている気がした。ここで嘘をついてはさらに機嫌が悪くなりそうなので素直に答えることにした。それでも悪くなるようなら俺にがどうすることもできないだろう。突然、傍にいるテイラが袖を引っ張ってきた
「まずは謝罪をするべきです」
「彼女の言うとおりだな」
「...悪かったよ」
スエンに聞こえぬよう小声で伝えてきたが、当人にも聞こえてしまったようだ。場が静まり俺の謝罪の言葉をみんな待っている。仕方なく謝罪するが善意で報告してやったのに謝罪しなければならないとは納得がいかない
「納得がいかないようだが、まあいい。それで幾つかききたいのだが」
それからスエンから吸血鬼についての質問攻めが始まった。目撃場所、時間帯、攻撃手段など資料にまとめておいた情報の再確認がほとんどだった。まだ俺が嘘をついている思っているようで腹が立ったがグッと堪えて質問に答えていった
「どうやら報告に嘘はないようだな。話は以上だ。下がっていいぞ」
「こちらからも聞きたいことがある」
質問が終わると視線を机の上に戻し仕事にとりかかるスエン。こちらから声を掛けても返答はなく手を止める様子はない。ギルドからは情報を提供する気はないということか。益々、腹が立ってくる。スエンの態度を見て俺が暴れると思ったのか、心配そうにこちらを見るテイラ、アイリス、イリナ。そして肩を回しているリコ...いやいや、俺よりやる気になってどうするんだリコさんや
「そうか、邪魔したな」
みんなを連れてギルドを後にする。ギルド側で得ている情報を入手することはできなかったが、これではっきりしたことがある。この街で起こっている殺人事件は吸血鬼の仕業であると冒険者ギルドは確信している。住人達に吸血鬼の仕業であると伝えないのは余計な混乱をさけるためだろうか。それは俺には分からないが何か考えがあってのことだろう。俺の質問をきかなかったのは「これ以上首をつっこむな」という警告だったりして
「ねぇタクマ。最後なにを聞こうとしてたの?」
リコは俺が何を聞こうとした気になるようだ。別にふと思ったことを聞いてみたかったことだし答えても問題ないだろう
「吸血鬼はなんでこの街を選んだのか心当たりがあるのか聞きたかっただけだ」
「この街を選んだ理由?」
「そうだ。人を殺すだけならなにもこの街じゃなくてもいいはずだろ。たまたまこの街を選んだって可能性もあるけど、何か理由があるんじゃないかなって」
「それもそうね」
この街に来たばかりで、街のことなどよくわかっていない俺達が考えても答えはでてこないだろう。ギルド側が協力しないのなら、またイリナに頑張ってもらうことにしよう。部屋中お菓子だらけになるかもしれないが仕方ないだろう
「スレハよ。あの男に監視をつけてくれ。何か妙な行動を起こしたら報告してくれ」
「か、畏まりました」
タクマ達が冒険者ギルドを後にしてすぐ、スエンはタクマに監視をつけるよう指示した。そして、手には冒険者ギルドに提示された彼のステータスを記す紙に目を通す
名前 タクマ・スズキ 18歳
レベル 12
種族 人族(男)
HP 600/600
MP 720/720
筋力 80
防御力76
素早さ64
魔力 114
魔法防御 134
〈ユニークスキル〉
アイテムボックス
〈スキル〉
・火魔法level2・雷魔法level2 ・回復魔法level1・解呪level2
〈称号〉
「ふっ、ステータスは偽装か。レベル12で吸血鬼と遭遇して生き残れるわけがない」
スレハから得た訓練場での戦いからも実力はもっと上だと確信できる。ステータスを偽装する冒険者は多くはないが珍しいという程でもない。しかし、偽装するということは何かしら理由がある
「タクマ。貴様は一体なにものだ?」




