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仲間の成長

不定期です

 再びリコが人差し指を向けると、今度はテイラ、アイリス、イリナまでも同じように人差し指をむけてこう言った


 「「「私達と勝負です!!」」」


 少年の気持ちは既に決まっていた。


「あぁ...全力でかかってこい!!」


 向かった場所は冒険者ギルドに設けられた訓練場。ここなら人目を気にせずおもいきり力を発揮できると思ったからだ。使用するには手続きが必要だが、俺達は受付嬢に利用したいと伝えるだけで済むので簡単だ。さすがに観光地である「精霊の花園」でやったら俺が放った魔法が歩いてるカップルに当たるかもしれない...いや、それはそれでアリかもしれない


 訓練場はすぐに利用できるようで、受付嬢スレハに案内された。他に利用している冒険者はおらず、まさに貸切り状態。テイラ、アイリス、リコ、イリナの4人はなにやら緊張している様だが、俺はみんなの成長が見れるのを楽しみにしていた


 ルールは簡単。相手を死なせないこと。癒えない傷を負わせないこと。A級冒険者で魔銃使いのウェイドと決闘した時と同じルールだ。


 「みなさん、今までの修行の成果を見せてあげましょう」

 「はい!」

 「タクマなんかボコボコにしちゃうんだから!」

 「き、緊張します!」


 アイリスの言葉で気合の込めた返事をするテイラ。肩をまわしながらやる気を見せるリコ...殺る気でないことを願うばかりである。そして、大きな声で緊張しているアピールするイリナ。うん、なんて可愛いのだろう...もう負けでいいかもしれない


 戦わずに負けを認めても許される訳もなく、互いに戦闘態勢に入る。アイリスは短剣、リコとテイラは先端に青い鉱石がついた短杖を手にしている。短杖なんていつの間に買っていたのだろう。まぁ今は俺の奴隷ではないのでいいのだが秘密にしてたなんて悲しくなるではないか...秘密ばかりの男に言われたくはないか。イリナは俺と同じく手ぶらなようだが、準備はできている様子...いや緊張しすぎて体がプルプルを小刻みに震えている。なんて可愛らしい!カメラがあるなら撮って保存したいくらいだ


 心の準備ができていないイリナをよそにスレハが開始の合図を送る。開始早々、アイリスが俺に接近し短剣を振るう。あまりにも直線的な攻撃。そんな攻撃が俺に通じると思っているのだろうか、いやそんなはずはない、戦場にでていたアイリスだ。戦闘経験は誰よりも長く、俺の実力をある程度把握しているはず。何かあると直感的に判断し、大きく後ろに下がろうとすると微かにアイリスの口角があがったのが見えた


 「今です!!」

 「泡床(バブルフロー)!!」


 リコが魔法を発動すると俺に足元に突然泡が出現し、その影響で足を滑らせ体勢を崩された。これでは後ろに下がることが出来ず、アイリスの短剣が俺の喉元に届いてしまう


 「電光石化!!」

 「アイリスさん下がって下さい!!」


 すかさず電光石火を発動し足元の泡を除去しつつアイリスを麻痺させ戦闘不能に陥ろうとするが、後方にいるテイラの指示で雷が当たる前にアイリスが大きく後ろに下がった。テイラによる的確な指示。決して偶然ではない。電光石火発動の兆候を捉えたのか...それとも俺の魔力の流れか...はたまた勘か。原因は分からないが、何ともやっかいな才なのだろうか


 「お願い精霊さん!!」


 俺を囲むように竜巻が発生する。イリナの精霊魔術だろう。ただ精霊魔術の発動がイリナらしくて可愛い。しかし、何か違和感がある。精霊魔術で覚えられるのは精霊を召喚させる「精霊召喚」精霊を視認することができる「精霊眼」の二つ。思考を巡らせ、そしてその違和感の正体に気付いた。イリナは精霊召喚を行わず竜巻を発動させたのだ。しかし同じ精霊眼を持っている俺には精霊を視認することが...いや、よく見るとイリナの周りにだけ精霊達があつまっていた


 「もう一回。お願い精霊さん!!」

 「クリーンウォッシュ!!」


 これは一体どういうことなのか。思考を巡らがている間にもイリナ、リコの魔法攻撃が襲い掛かるがスキル【並列思考】のお陰で当たることはない。そして一つの答えに辿りついた


 「...精霊に愛されし者」


 イリナが所持している称号。称号は飾りではなくスキルや魔法のように所持者に影響を与えるものだ。現に俺がみんなと会話できているのは「異世界人」という称号があるからだ。それにしても精霊にお願いするだけで魔力を消費せず魔法を使えるなんて、羨ましい。俺なんて精霊にきゅう...いや止めておこう


 取り合えず、ここで一旦思考をもどし攻めに転じようと思う。いつまでも受けに徹していてもみんなの成長を適切に見ることができない。ここは心を鬼にするのだ。後の事は決して考えない。仮にこの後、テイラ、アイリス、イリナに口を聞いてくれなくなったとしても...やっぱ止めようかな


 「タクマさん!全力できてください!じゃないと絶交です!」


 俺の考えを察したのかテイラに叱られてしまった。このまま決闘を終えれば、それこそ口を聞いてくれなくなってしまう


 「悪かった。ここからは覚悟してかかってこい!!」


 魔力を一気に放出すると纏っている雷が膨れ上がり、周囲の者を威嚇するかのようにバチバチと大きな音を鳴らす。審判を務めるスレハを含む、この場の全員が息を呑む。これは止めるべきなのか悩んでいるスレハをよそにタクマは攻撃を仕掛けるのだった


 


リコ「何で私と口が聞けなくなっても平気なのよ!!」

  「リコは何があっても俺を元気づけてくれるだろ」

リコ「ふ、ふーん。当たり前じゃないそんなこと」

  「ちょれー」

リコ「洗浄!!」

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