下克上
不定期です
精霊に愛され俺と同じスキルを手に入れたイリナは花に宿る精霊に話かけていた。とはいっても精霊はイリナの回りに集まるだけで返答が返ってくることはない。それでもイリナが嬉しそうだし問題はないだろう。
「イリナがお花と喋ってるわね」
「あぁ。いまさっき精霊が見えるようになったんだよ。」
「ふーん...って!つまりタクマが持ってるスキルを手に入れたってこと!?」
「そういうことになるな。手に入れた方法は違うがな。」
「いや、愛され方が違うのか」と思いながも口にすることはなかった。 それより俺達は門が開いているのに未だ門の入口に立っている。中も気になるしさっさと入るとしよう。
「おいおい、なんだよこの数は」
「精霊さんたちがいっぱいいます!」
中は円形のだだっ広い空間だった。花と水に覆われ、その他は何も見あらたらない。しかし、俺とイリナはこの光景に驚いた。精霊がいる...しかも数えきれない程に
精霊達が密集し戯れているかのように動いてる姿は発光した雲のよう。
「この精霊の花園って精霊の溜まり場...というより遊び場か。それでさっきの迷路みたいな道は精霊達に誘導されていたのか」
「誘導というより、選別されていたのではないでしょうか。ここには私達以外がおりませんので」
アイリスの言うとおり、こかには俺達以外の人間がいない。ここにたどり着くには精霊達に気に入られなければいけないのだろう。
「でも何で私達だけなんだろうね。ここにくるまでただ歩いていただけなのに。」
「それは俺が...イリナが精霊に好かれたからだな。きっとイリナの良さに一目で気づいたんだろう。いやーさすが精霊っといったところかアハハハハ」
みんなの視線を感じるが気にせず笑い続け、イリナのお陰だと言い張ろう。うんそうしよう...きっとそう
「それでタクマさん。吸血鬼の調査はいつするんですか」
「あぁそうだった。すっかり忘れてた」
テイラに促されスキル「魔力探知」を発動し周囲の魔力を探る。水霊の巣窟、水姫の祭壇で確認できた吸血鬼の魔力を探すも、ここに反応はなかった
「どうやらここには来ていないようだな」
「まぁそうよね。ここは精霊に好かれないと来れない場所だもんね」
「まぁそうなんだが、一応仕事としてきてるわけだから調べなきゃいけないだろう」
これで残すところは蒼幻の泉だけだが...資金がなー。1人金貨一枚だしなー
「ねぇなんかタクマ悩んでない」
「きっと最後の観光スポットに入るためのお金に困っているんですよ」
小声でリコとテイラが話しているが、ステータスがバグった俺には筒抜けである。テイラから俺の悩みを知ったリコはトコトコ歩いてきた
「もしお金に困ってるなら魔物を倒して売ればいいじゃない。タクマなら余裕でしょ?」
確かにその方法ならすぐに稼げるだろうが、あまりみんなを危険な場所に連れて行きたくないし。とはいえ、1人で行動すると仲間(特にテイラ)からお叱りをうけるしなー。それに俺がいない間に吸血鬼と遭遇する可能性もある。それは避けたい
「どうせタクマさんは私達を危険なことに巻き込みたくない。危険な場所なら俺が一緒にいなきゃなんて考えているんでしょう」
「なによそれ!過保護すぎでしょ!嫌じゃないけど何かムカつくわねそれ!!......そうだ!」
何故かリコがプンスカと怒り出した。その後、何か閃いたのかアイリスの方へと歩いていき耳元で何か呟いている。それを聞いたアイリスは耳をピクリとさせて目を見開き驚いくと、いきなり目に闘志を燃やした...すげー嫌な予感
満足気になったリコが再びこちらに歩いてくると、俺に人差しを向けてこう言った。
「下克上よ!私達と勝負しなさい!!」
「ヒール。よしこれで正常にもどったはずだ。ふー危なかった。」
「いきなりなにするのよ!!」
どうやら正常だっらしいリコは再びプンプンと怒りだした。面倒くさいことになってしまったと他の仲間に助けを求めようと視線を移すと、なぜかみんなの目は真剣そのものだった。
「私達はもうタクマさんと会った日の私達とは違いますよ。ちゃんと自分の目で見て、足で歩く道を決められます。これはその証明です」
タクマの頭に初めてテイラと会ったときの光景が写し出される。目が見えず、歩くこともできなかった少女
「私は一度タクマさんと手合わせしたいと思っていました。」
以前腕を捕まれただけで自分との実力の差を理解してしまった獣人
「もうタクマに心配なんかさせないんだから!」
いつも元気いっぱいで周囲を明るくさせる元奴隷の少女
「わ、私だってみんなと同じ気持ちです!!」
声をふるわせながらも大声で叫ぶ恥ずかしがりやな少女
みんなの思いをぶつけられた少年は、ゾクリと体が震えたのがわかった。
再びリコが人差し指を向けると、今度はテイラ、アイリス、イリナまでも同じように人差し指をむけてこう言った
「「「私達と勝負です!!」」」
少年の気持ちは既に決まっていた。
「あぁ...全力でかかってこい!!」




