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整理と推測

 「あ!やっと呼んでくれたわね!もしかしてやっと私をお嫁さんにしてくれる気になったのかな!もうそうならそうと早く言ってよね!ア・ナ・タ!」


 そういって出てきたのは俺の契約精霊でるフィクス。こいつは精霊の中でも上位に存在する精霊で嘘か本当か精霊王の娘らしい。精霊は大気や契約者から魔力を取り込み魔法や魔術を使用する。人間が使う魔法とは異なり魔法の詠唱や術式を描く必要はない。大気や契約者の魔力を使用するため魔力量を気にすることはないチートな存在...他者(ひと)のことを言える立場ではないか


 精霊は複数の適正属性があり、普通の精霊ならば2種類の適正属性をもっている。対して、俺の契約精霊であるフィクスは全属性の適正をもっている...らしい。らしいというのは、こいつに初めて適正属性を聞いた際に返ってきた答えが「全部試したことがないから分からないけど多分全部使えるんじゃないかな!」という曖昧な答えが返ってきたためだ


 そんな大雑把で明るいフィクスは俺達の仲間の周囲を飛び回っている...まるでハエみたいだ。そんな事を思いながらも口には出さずにフィクスを摘まむ。どうせみんなには見えていないから飛び回っていても何の意味もない


 「なによ!久しぶりに会えたのにこの対応は!!」


 届かない小さな拳を俺の顔めがけて振っている姿は何とも可愛らしい。それはさておき、本題に入ることにする


 「フィクス。すまないが手伝ってくれ。あの二人から話を聞きたいんだ。」


 フィクスにこれまでの経緯を精霊眼を使って簡単に説明する。説名を終えると「なるほどねー」と行った後、二人に近づき会話を始めた。精霊眼のようなスキルを使用しているのか会話を聞き取ることはできないが、フィクスなら大丈夫だろう


 フィクスに任せた後、クレットさんを連れて適当な飲食店に向った。あの場に俺達がいないほうが精霊達が話しやすいと判断したからだ。フィクスは何時でも召喚できるので問題はない


 みんな好きな物を頼んだ後に自己紹介を始める。名前や職業など必要最低限な自己紹介だが、この世界では割と普通らしい...趣味とか聞かれても困るし助かった


 Fランクの冒険者だと知ると不安そうな顔をされたが、リコが「大丈夫よ!タクマはA級冒険者をボコボコにする程の腕前なんだから!!」とドヤ顔で語るとその話しに興味をもったのかクレットさんがリコに詳細を聞いていた。別に隠す必要もないし、相当な実力があると分かれば冒険者の()()という形で協力できるだろう。


 リコのお陰かクレットさんから無事、冒険者の依頼として頼まれた。明日にでも冒険者ギルドで手続きを行ってくれるそうだ











 日が暮れるまで観光を楽しんだ後は宿へ戻り自室で精霊召喚を行う。フィクスから二人の話を聞くためなのだが、何故か呼んでも出てこない......魔法陣は問題なく起動しているのに何故...


 そう思っていると片手で白い抱き枕を抱え、目を擦りながら現れたフィクス。思いなしか不機嫌になっているような...


 「なによーせっかく気持ちよく寝てたのにー」


 文句を言いながら俺の掌に乗ると寝息を立て始めた。確かにこいつの大きさなら俺の掌はベッド代わりに丁度いいな....ってそんな訳ねぇだろ!!と思いながらもボールのように放り投げるような真似はしない。そっと部屋に設けてあるベッドに降ろしてやる。


 「明日でいいか...」


 今頃、みんなもフィクスと同じ夢の中に旅立っているだろうから、そっとしておこう


今の内に現状をまとめることにしよう。短い間に色々なことがありすぎて自分でも情報を整理できていない


まずはイリナが作ってくれたレシウスを模した木彫りの人形。これのお陰で二人目の神と会うことこができたと同時に魔族と戦う羽目になってしまった。それでも、ヒュオラを助けることができたのは良かったと思っている...囚われていた理由を聞く前に何処かに行ってしまい詳しいことは分からないが、魔族が関わっているのは間違いないだろう


分からないといえば魔物襲撃以降、レシウスからの連絡が途絶えたのが気になる。木彫りはアイテムボックスに収納してあるため傷がついて連絡出来なくなったとは考えにくい...まったく神は何を考えているんだか...


神の話はこれくらいだろうか。次はこのミューリアで起こっている事件だろうか。冒険者ギルドやクレットさんに聞いても相手の正体は掴めない。手掛かりとなるのは殺害方法くらいだろうか


死体は枯れた植物のような状態...つまり体の水分がなくなっている状態。相手の体の水分を奪う魔法なんて聞いたことがない。魔法ではない何らかの方法...魔法以外...魔剣...アイテム...種族...


「......吸血鬼(ヴァンパイア)


ラノベなんかでは時々でてくる種族。体の水分(血)がなくなっているのも説明できる。ここは地球ではなく異世界。吸血鬼という種族がいても不思議ではない


待てよ。もし仮に犯人が吸血鬼だったとしたら既に冒険者ギルドはこの事に気づいているのではないか。仕事柄、魔物や種族なんかの情報には詳しいはずだ。なのにそれを知らせないのはどうして...


考えられるのは2つ。1つ目は吸血鬼だと疑いはしたが、調査の結果犯人が吸血鬼ではないという証拠が見つかった場合。2つ目は吸血鬼だと分かったが、何らかの理由によって公開できない場合...ってその何らかの理由を考えなきゃいけないのか...


俺は後者だと判断する。吸血鬼が関わっていると分かったのなら、その情報を提供すれば犯人を少しだけ絞ることができる。情報は多ければ多いほどいい


頭を使うのはこれくらいにして、次は足を動かすとしよう。外を見れば日は完全に隠れ巡回している兵士が持つ灯火や篝火が街を明るく照らしている


吸血鬼が行動するのは夜のはずだ。みんなを起こさないように気をつけながら夜の街へと消える。兵士に見つかっては面倒なので気配を消すことを忘れない。明かりに姿を晒すことのないよう瞬間移動で街の様子をさぐる。怪しいのは人気のない路地裏や排水溝の下なんかだろうか


 魔力探知を使って排水溝等の中に入らずともただ空中を飛んでいるだけで確認できる。この街は船を利用しているため道と道を橋で繋げている。そのルートは単純だが人が歩く道は入り組んでいるようにみえる

 

 兵士は人通りが多いルートを歩いている。犯人を見つけるのが目的ではなく、市民に危害が及ぶのを防ぐのが目的か。どうでもいいけど、前ばかり見てないで上にも気を配ったほうがいいと思うけどな



 





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