谷に輝く雷光
あれから3週間程してこの都市「テクノギス」を離れることにした。子供達の訓練も終わりアイリスを故郷に送ることに決めた。それを子供達に告げた時は悲しむ子や泣き出す子がいて静めるのに苦労した...リコが
獣人国...もとい狐人族の村までは何日かかるか分からない。だから旅の途中の食料を買い足す必要があって、久しぶりにみんなで買い物を楽しんだ。
馬車をみるのも久しぶりだ。馬の世話は宿の人やテイラ達がしていて馬をみるのも久しぶりだったりする...俺のこと覚えてるのだろうか...
町をでる時は門の前で孤児院の子供達が集まってくれた。俺はフレシアさんやマミルナさんに挨拶を済ませる。他のみんなは子供達と話している。暫く会えないと思うからみんないっぱい話しておくといい。俺は転移でいつでも会えるけど
今のところ転移は発動者である俺しかできない。レベルが上がれば複数同時に転移できるようになるんだろうか。旅の途中にでもこっそり上げておこう
アイリスの操縦のもと新たな旅がはじまった。荷台からはみんなが大きく手をふっている。結構長く滞在していたけど観光もせず訪れたのは孤児院と魔導学院くらい。次の町はみんなでゆくり観光でもするか
次に向かうは水の町「ミューリア」。湖に囲われた町で観光地として人気がある。ここならみんなで楽しむことができるな
旅は問題なく進んでいる。一度森で盗賊に襲われたくらい。その時はアイリス一人で対処してしまったけど。そういえばテイラ、リコも秘密の特訓をしていたんだっけ。2人...いやリコだけ自分の出番がなくて落ち込んでいた...こいつまさか戦闘狂にでもなってたんじゃないだろうな
暫く森を進んでいくと山に囲まれた道である谷が姿をみせた。今までの道は整備されていたが、谷の道には人の手は施されていないようで、時々ガタガタと馬車が揺れて尻が痛む
テクノギスからミューリアに向うには幾つかのルートがあるとフレシアから教えてもらった。その中でもこのルートが最も近いと思うと言っていたので選択したのだが、ここは何か不気味だ
昼間なのに左右の山の背が高いせいで日があまりささらず少し薄暗い。それに隅に散らばっている木片やガラスの破片とともに置かれている大きな岩
それだけなら気にもしないのだが、さっきから頭上から人の気配を探知している。数は10人。俺達が通っている道を挟んでいる山にそれぞれ5人づつ
先へと馬車を進むにつれ上の奴らも動き出す。偶然かどうか確かめるためにアイリスに指示をだす
「アイリス。ちょっと馬車を止めてくれるか」
「はい。分かりました」
馬車がとまると同時に人の動きもとまった。間違いない。俺達を狙った盗賊だ。その事をみんなに伝えようと手招きするとテイラが口を開いた
「タクマさん。なにか嫌な予感がします」
「あぁ実はな俺達を狙っている奴らがいる。数は10人」
指を上にさしながら説名する。アイリスは既に感覚を研ぎ澄ませ気配をさぐっていた。テイラは持ち前の勘のよさで何かを感じていたらしい...これはユニークスキルの影響なのだろうか。リコは...取り敢えず腕をまわすのを止めようか
「恐らく特定の地点で岩を落下させるつもりかと」
「だな。それでその地点は谷のちょうど中央だ」
「なんでそんな事がわかるんですか?」
「スキルだよスキル」
20メートル以上離れた位置を正確に把握できるのはスキルレベルが高いおかげ。アイリスは察知はできるが正確な位置は把握できないらしい
「どうしますか?」
「方法はったひとつ...」
「力でねじ伏せるのね!!」
「リコさん。女の子がそんな言葉を使ってはいけません」
やる気に満ちたリコにため息を吐きつつも方法はさっきリコがいっていた通りだ。力でねじ伏せる。これが最も簡単で効率的だ
作戦というには粗末な作戦を決めた後馬車の足を進めた。多分向こうは俺達が自分達の存在に気づいたはずだ。
「しかし上の者はどうしますか。落下してくる岩は対処できますが」
「それは俺に任せてくれ」
ウェイドの時は魔剣の力しか見せられなかったから別の力を使うことにしよう。秘密の訓練の成果を見せてくれるんだ。俺も秘密にしていた力をみせるべきだろう...まぁ一部だけど
馬車が谷の中央に通った途端、頭上から複数の大きな岩が落下してきた。このままだと馬車も俺達も一溜まりもないだろう。まぁそんなことには絶対にさせないけどな!
「電光石火!!」
体に雷を纏い跳躍する。一瞬にして対象物へ近づくと岩は簡単に粉々に砕けた。もう少し魔力を消費していれば塵になっていたかもしれないな
下を向けばみんな驚いた表情をしていると思ったのだが、俺のことなど気にせず次に落下してきた岩の対処に専念していた
「洗浄!!」
リコが魔法を発動した。掌で集められた水が螺旋状に回転している。時間をかけて回転力を増したあと、その水を解き放つ
命中した岩の中央には大きな穴が開き、側面にはひび割れが起きていた
回転力の他にユニークスキル「スキル加速」で威力を増しているみたいだ。とても洗浄といえる威力じゃねーな
アイリスは俺と同じく拳で岩を砕いた。視覚だとただアイリスが殴っただけのように見えるけが、「魔力探知」を使うと拳に魔力が集中していることがわかる。あれも何かの技なのだろうか
そんなことより俺は自分の役目を果たすとしよう。雷を維持しながらスピードの落とさず壁をかけ上がる
頂上にはボロ服をきた男達がいた。俺がかけ上がってくることなど思ってもいなかったのか、物凄く驚いた表情をしている
「あんたら盗賊だろう」
「て、てめぇは何もんだ!」
「旅の途中の冒険者ですが何か?」
って話をしても意味ないか。こいつらは何度も同じ方法で何人もの人を殺してきたんだ。死して償うべきだろう
「我に、敵を固めし力を!顕現せよストーンロック!!」
盗賊の中に魔法使いがいたらしい。足元の岩が変形し体に巻き付き動きを拘束した。動きを拘束する土魔法か。多分これオリジナルだな。でもこんなもんで俺を拘束しようなんて舐めてるとしか思えんな
何もしなくても纏っている雷が拘束している岩にひび割れが起きている。腕を少し動かせば拘束は簡単に解けてしまった
崩れた岩が地面に落ちる間に全てを終わらす。触れるのほんの一瞬。盗賊の頭に手をおき一気に高圧の電流をながすだけ
そうするだけで男達はドミノ倒しのように一人...また一人と力なく倒れていく。こっちの奴等は片付いた
「次は...向こう側だな」




