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バリア試験!

不定期です

 翌日、いつものようにイリナと共に孤児院へと向かう。午前中はいつもの様に子供達の魔法の指導をし、午後は魔導学園へ行こうと思っている。ヒュオラは心配だが子供達の指導を疎かにする訳にもいかない。みんな真剣に取り組んでいるのだから。それに今回は頼もしい仲間もいるしな


 「いやーイオナのお友達かー」

 「リコさん。嬉しいのは分りますが魔法の練習の邪魔だけはしちゃダメですよ」

 「分ってるってー!」


 テイラが注意を促してくれたが心配でしかない。まぁもし何かあったら俺が制裁を与えてやるとしよう


 「そういえば私達って獣人の国に行く予定だったよね?」

 「あっ」

 「...もしかして忘れてた?」

 「この街に来てから色々な事があったからすっかり忘れてた」

 「その色々な事について後で詳しく教えてくださいね」

 

 笑顔でそう言うテイラだが目が笑っていない。昨日の純粋な笑顔が嘘だったかのようだ。獣人の国...アイリスのためにも早く向かってやりたいが、ヒュオラや子供達のこともあるし今すぐにとはいかない


 「私の事は気にしないください。皆さんとこうして住ごしているのはとても楽しいので」


 獣人の国に行けばアイリスとの旅が終わる。そのまま一緒に旅を続けるという選択肢もあるがそれは今決める事ではないだろう



 孤児院に着くといつものように子供達が出迎えてくれる。俺とイリナは見慣れているが、他の三人は多くの子供達が一斉に集まるこの光景に驚いた


              「「「おはようございます!!!」」」


 子供達の元気な挨拶を受けて、こちらも元気に挨拶を交わす


 「よーお前ら今日も元気だな!」

 「おはようみんな!」

 「お、おはようございます!」

 「おっはーー!」

 「おはようございます皆さん」


 テイラは少々緊張気味にリコは軽い感じにアイリスは丁寧に挨拶をする。子供達は初めて会った三人に興味津々の様子だ


 「ねぇイリナちゃん。この人達だーれ?」

 「一人獣人の人がいるー」

 「イリナの友達か?」


 質問は全てイリナに投げかけられている。友達で話しやすいからというのは分るのだが誰にも質問されないのは悲しいものだ。イリナは質問が多くてどれから答えていけばいいか分らず困っていた


 「こほん...みなのしゅう聞くがよい!」


 この状況をどうおさめるか考えているとリコがわざとらしい咳をした後に大声をだした。その声を聞き子供達の意識が一点に集まり静まりかえる


 「私の名前はリコ!そしてこの子がー!...ほらほら」

 「テ、テイラです」

 「そしてそしてその隣にいるのがー!」

 「アイリスといいます」


 リコを中心として自己紹介が始まった。急に指を差されたテイラが驚きながらも無事に済ますと、次にアイリスが指定される。テイラのように驚きはしなかったが少し戸惑ったような気がしたのは俺だけだろうか


 しかし、まぁリコはこういう子供をまとめる力というか場の空気を変えるのが上手いな。まるで中学の頃の生徒会長のようだ。俺もあんな事ができたら向こうで友達を沢山作れたのだろうか...はぁ



 「どうしたんですかため息なんかついて」

 「いやなに昔の自分を思い出しただけさ...」


 さて、自己紹介も終えた事だし訓練を開始するとしよう。今回はみんなの練習の成果をチェックするとしよう。ということで...


 「えー今回は一人一人にバリアのテストを行う」

 「テ、テストですか」

 「そうだ。みんなのバリアを見て魔力操作の精度を確認する。それで大丈夫そうだったら俺が試しに魔法をぶつけようと思う。そこまで強い魔法じゃねーから安心しろ。でもお前らが力を抜いたら大怪我するかもなんで気を引き締めろよー」


        「「「はい!!」」」


 子供達のいい返事が返ってくる。しかし、そんな中不安を隠せない4人がいた。その4人の脳裏では塔の迷宮で使った雷魔法シビレ罠で魔物達が次々に丸焼けになる光景がフラッシュバックされていた



「「「タクマ(さん)の魔法...全然安心出来ない!!」」」


 「いいですかみなさん。少しでも危険だと判断したら全力で止めましょう」

 「ここで特訓の成果をタクマに見せてやるわ!」

 「リコさん。もう失敗すること前提なんですね」

 「アイリスさーんちゃんと見てて下さいね!」


 アイリスが三人に指示をだしリコが何故か張り切っている。テイラはそんなリコの姿を見て呆れ顔になり、イリナは涙目になりながらアイリスの裾を引っ張っている


 そんな事も知らずタクマは子供達を庭にある木の下に集め、そこから一人ずつ指名していく形にし行動に移す


「待っている間は適当に座ってろよ。じゃまずは...リリア!」

 「は、はい!!」


 俺が最初に指名したのはリリア。以前、木の陰で本を読んでいた少女で俺と同じく一発でバリアを成功させた少女だ。この子なら問題ないだろうし、後に続く子供達の不安をぬぐってもらおう。逆にプレッシャーになって上手くできなくなったら...知らん


「い、いきます!」


気合いのこもった声とともに緊張しながらもバリアを成功させたリリア。初めの時よりも発動スピードが上がっている。魔力操作が上がっている証拠だ


「(よし問題ないな)次は魔法をぶつけてみるが、強度をあげようとして魔力を増やすなよ。そのまま維持し続ければいい」



発動するのは火魔法のファイアーボール。level1の魔法だし使用する魔力量さえ間違えなければ問題はないはずだ...もし間違えても俺がなんとかするしな


 「(弱く...弱く)いくぞ!」


 力加減を間違えないように自分に言い聞かせながら魔法を発動する。掌から火の球が出現し真っ直ぐ進んでいく。よし上手く調整できた!


 内心ホッとしながら火の球の先を見るとリリアが何故か驚いていた。あ、そういえば何の魔法を発動するかは言ってなかったな


 「大丈夫だ。自分を信じろ!」


 俺の言葉が役にたったかは分らないがリリアは真剣は表情となって数秒後、火の球がバリアへと衝突

した。その直後、大きめの爆発音とともに火が煙とかし霧散した


 バリアにはひび1つなくまるで何事もなかったかのように存在し続けている。しかし、そのバリアを展開させている本人は額から汗を流し肩で息をしていた


 「おつかれ。よくやったな」


 試験を終えたリリアを労いの言葉をかけてやった後子供達がリリア...ではなく俺の所にかけより周囲を囲んできた


 「すげー兄ちゃん!」

 「魔法って詠唱が必要なんじゃないの!」


 なるほど。リリアは火魔法じゃなくて無詠唱で魔法を発動した事に驚いていたのか。普段から詠唱なんてしないし仲間達は見慣れてるから何の指摘もしないしな。こりゃ失念してたな


 「なに驚いてんだよ。いずれお前達も習得するんだぞ」

 「え!?私たちもですか!」

 「当たり前だ。この中に冒険者をやる奴だってでてくるだろうし、他の道に行く奴でも無詠唱を覚えて損はないからな」


 話しも終えた所で試験を続行するとしよう。試験を終えた子供は職員の方達からご褒美として果実水をもらっている。試験を始める前にフレシアにお金をわたし、子供達の好きなものを買ってくるように頼んだのだ。ご褒美があればやる気がさらに上がるという子供の心を利用した作戦である


 その作戦は成功したようで試験を終えた子供達が嬉しそうに飲んでいた。そんな姿を見るとこっちもやってよかったっていう気持ちになる。そんな子供達の中にリコが紛れ込んでいたのは見なかったことにしよう...


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