始まりの根源
不定期です
スキルを習得できたことに一安心し、ここを離れることにする。ここだとクラリスを探しに騎士達が来る可能性があり、集中できないからな。心の中でテイラ達に謝罪し、クラリスを連れ急いでこの場を後にした
「解呪解呪解呪解呪解呪解呪解(以下同文)」
森の奥から同じ言葉が御経のように一定の早さで鳴り響く。辺りはシビレ罠で埋め尽くされ魔物の侵入を許さない
「何故か呪いを解かれているのに、呪いにかけられてる気がするんですけど...」
「解呪解呪解呪解呪解呪解呪解(以下同文)」
同じくそう思っているが口にはださず休まず唱え続ける。まるでマウスでガチャボタンを押し続けてた時のようだ。あの時は無心で押し続けたけど、並列思考のスキルのお陰かクラリスの声に耳を傾けながらでも集中して唱えられる。唱えてからすでに2時間以上は経過しているだろう。景色も大分暗くなり気温も下がり始める。街灯のような明かりを灯す物がないためクラリスが光魔法のライトを発動し光の球を出現させる。俺は火魔法で集めてきた木の枝に火をつけた。これで冷えた体を温める
「今日はこれ位で終わりにしたらどうでしょうか」
「そうだな。今日はこれ位にしておくか」
現在の解呪スキルのレベルは4。この早さだとまず間違いなくレベル10まであるだろう。あと他の魔法と比べるとレベルの上がるスピードが遅い気がする。雷魔法は成長スキルの他に聖杯の力も加わっていたため非常に早かったけど今は使えない。アイテムボックスに聖杯を入れてあるが中には何も入ってないため普通のコップと大差はない
翌日、朝早くに目覚めた俺は未だ隣で寝息をたてながら寝ているアイリスに解呪を発動する
「あと2日か...」
今日で解呪レベルを8以上に上げることを目標にする。レベルは高くなればなるほど次のレベルに上がるのに時間がかかる。ゲームでいうキャラのレベル上げと同じだ。こういう同じ事を長時間続けるのは苦手ではない。じゃなきゃ神様を怒らせるほどガチャを回せるわけがない。それにしても女王であろう者が男の前でなんと無防備な。クソ、なんて可愛いんだ。いつもこんな風に静かならいいのに。襲うか?いやいや何を考えてるんだ俺!でも俺一応男だし...うおーーーー!!
「うぅ、おは...何をしているのですか?」
夢から覚め起きたクラリスは、目の前で頭を抑えながら自分と葛藤しているタクマの姿をみて冷めた目でみている。そのことに気がつきゴホンと咳を吐く
「お、おはようクラリス。早かったね」
「おはようございます。あなたは私より早かったようですけど...一体なにを?」
「あははただの解呪だよ解呪」
「ふーんそうですか」
早くも気まずい空気が流れながらも二人の一日が始まった
タクマが素材を売りにアルテミラに行ってから一日が経過した
「遅いですねタクマさん」
「何をしているんですかね?」
テイラとイリナが火をおこしながら共に首を傾けた。その光景をみて心を和ませているリコ。アイリスは一人で森の中に入り食料の調達に行っている。現在移動中に湖を見つけそこで休憩をしている
「リコさんはサボってないで手伝って下さい」
「はーいテイラ様~」
「ふざけないで下さい」
弄られたテイラは頬を膨らませる。そんな顔もリコの心を和ませるのだった。そんな中イリナはせっせと火打石を使い火を起こそうとしている
「火魔法を誰か使えたらいいのにね~」
「出来ないことを言っても仕方ないです」
「タクマ様なら...」
「タクマは雷魔法と回復魔法は使えるののよね?」
「はい...そういえばリコさんはタクマさんのこと呼び捨てで呼んでますよね?しかも会ったときから」
テイラはジーっとリコに瞳を見つめる。何か怒っているような嫉妬しているような感情がリコに伝わってくる
「最初は奴隷らしくご主人様って呼んだんだけど命令されてタクマってよんでるの。その時イリナもいたと思うけど」
そう言ってタクマと初めて出会った日の記憶を思い出しながら首についている首輪を触る
「あの時は意識が朦朧としていて...テヘヘ」
イリナは馬車にあった食料を食べ尽くした記憶が蘇りすこし恥ずかしくなった
「テイラもタクマって呼べばいいんじゃない?奴隷じゃないんだし」
「それはそうなんですが...」
「ほれほれ~試しに言ってみたらタクマって」
リコはニヤニヤしながらテイラに近づき促した。テイラは下を向き口ごもる
「タクマ...タクマ...タクマ...うう」
自分でいって段々と恥ずかしくなり顔が真っ赤になる。今にも頭から煙りがでてきそうだ。その姿をみて今度はイリナも心を和ませるのだった
とある暗い空間で一人の女性が淡々と歩みを進めていた
「ここで間違いないと思うんだけどなー」
彼女は怖がりもせず進んでいく。暫く進むと光が差し込んでいる空間にでた。そしてそこには邪悪な魔力を身に纏い体を休めている黒鱗の肌を持つ一匹のドラゴンの姿があった。そのドラゴンは段々近づいてくる個体を感知し目を覚ました
「何者だ我の眠りを妨げるのは」
言葉と共に殺気を放つ。しかしその個体は恐れもせずに、まるで友と会話するような軽い口調で話しかけてきた
「いやーさすがだねー私の気配に気づくなんて」
そう言って彼女はドラゴンに小柄な自分の姿を見せた
「初めまして私はヒュリス。君を殺しにきた神かな」
「ほう」
「いやーそれにしても驚いたよ。最初は魔族の仕業だと思ったんだけど、まさか邪神竜だったなんてね。タクマに悪いことしちゃったなー」
邪神竜とは神と対になる邪神に創造された生物だ
タクマと再開した時は本当に魔族の仕業だと思っていた。レシウスが調べた情報によると、あの洞窟(タクマとフェルヴォルカの戦闘した場所)には戦闘後、5つの魔力の痕跡が確認できた。1つ目はタクマ、2つ目はテイラ、3つ目は魔物達、4つ目はフェルヴォルカ、そして最後に魔族の魔力だった。なぜ分かったのかというと、魔力は種族によって性質が異なるからだ。理由は、外部にある魔力は変わらないが、それを取り込むと元々体内に流れている魔力と混ざりあってしまうためだ。そしてその体内にある魔力は遺伝子が大きく関係している。しかし、生活環境によっても影響が生じるため、種族は同じでもまったく同じという訳ではない
「けどタクマと別れた後、何か引っ掛かるなーなんて思って、自分でもあの洞窟に行って調べてみたんだよ。そしたらフェルヴォルカの体内から異なる魔力をみつけてね。で、その魔力を細かーく調べてみると君の魔力だって分かったんだー。後は、その魔力を辿ってきたらここに着いたってわけ」
「それは妙だな。我は邪神によって創造されし者。よって我を創造した邪神と魔力はほとんど変わらぬ。なのになぜ貴様は邪神を疑わなかったのか」
「決まってるじゃん。君の魔力は邪神にしてみると弱すぎるからね」
そしてここで疑問になるのはなぜあの場に魔族の魔力があったのかだ。それはこの目の前にいるドラゴンが偽装のために仕組んだものだ。ドラゴンはフェルヴォルカを創造した後、タクマを襲う前にある魔族を殺させた。そしてその時に呪いをかけられた。そしてそんな事が出来るのは魔族の中で一人しかいない。魔族の中で最強の者にしかなることができない魔王であると。魔王の魔力は他の者と比べると質が高く、長時間経過してもその魔力は完全に消えることはない。痕跡を残すには丁度よかったのだろう。ヒュリスはそれを全て理解した上でこの場にいるのだ。アルテミラの街を魔族が襲撃した本当の理由も
「さて、話も終わったし。さっさと片付けますか」
話を終えると。ドラゴンは2体のフェルヴォルカを創造しヒュリスを襲わせる。大きく飛びあがり食い千切ろうと鋭い牙を見せた時、ヒュリスは右手の親指と中指を使いパチンと指を鳴らす。すると2体のフェルヴォルカは一瞬にして灰となり姿を消した
「そんなんじゃ私には勝てないよ」
「よかろう。我が牙をもってお前を食い千切ってやる」
ヒュリスは何もない所から神々しい光を放つ一本の剣、神剣を出現させ右手に掴む。その剣を見たドラゴンは纏っている魔力を強めた。こうして、光が差し込んだ薄暗い空間のなかで神と邪神竜の戦いが始まるのだった
おまけ
ヒュリス「いやー久しぶりに私の出番がきたねー」
レシウス「俺の出番はいつくるのやら...」
ヒュリス「そんなことより次回の私の活躍に注目!」
レシウス「次回に出るかはまだ分からんぞ」
ヒュリス「そんなーー!」




