確認中
取り合えずこの不思議な現象をすべて魔法と呼ぶことにしよう。別に凝った名前なんか必要ないからな。
そして使っているエネルギーを魔力と呼称する。今のところ何か消耗した気配もないので実際に有るのかはわからないが、あったと考えたほうがやりやすい
今のところできると分かったことが、
「手から炎を出す」「重力をかける」ことぐらいだ。どのような仕組みなのかはわからない
他に何ができるのか試してみよう。 よくありがちなのが水・風・土あたりか?
右手を前に突き出し目を閉じて念じる。水よ出てこい。水よ出てこい。水よ出てこい
結局出なかった
「出ないな。 なんで出ないんだ。火はあんな簡単に出てきたのに」
気を取り直して次は土の生成だ
こちらも全く出てこなかった
他にも思いつく限りのことはやってみて、できることとできないことの差が分かりやすくなった
「水とか土とか物質を一から生成するのは無理っぽいな。逆に操作することはできた。」
川に手を突っ込んで吹き上がる水をイメージして念じたら全くその通りになった。土も同様に実際に触って壁になれと念じたら土壁に変化した。これは戦闘とかあったら役に立ちそうだ。まぁ、いまだに生きている生き物は全く見てないから先頭の予定なんて全くないけど・・・・
「風を起こすほうはうまくいった。 これは意識の問題だった。初めに漠然と風を起こすと念じるだけじゃダメだったから、アプローチを変えて空気に力を素早くくわえて風にするみたいな意識でうまくいった」
やはり漠然とした意識だと駄目なんだ。具体的にどう操作するかを具体的にイメージしていくことが大事だ。
「できないこともあるが、やれることはもっと多い。火が出せるってことは魔力そのものが燃料になるってことだ。水とか空気も操れるってことは液体、気体も触れることができる、土を操作して壁を作れるってことは原子とか分子レベルの細かいとこまで操作できるってこと・・・ まだまだ試せることは多いな」
そこから自分は長い時間をかけていろんなことを解明していった。寝食が必要ないことから昼夜の区別なく長い間ずっと魔法に触れ続けた。その行為には何も意味がない。何でもできる完ぺき超人になったとしてここでは自分一人しか存在しないため賞賛してくれる人もいない、戦ってくれる人もいない、ほんとに何かのためでなく自分の好奇心の赴くままに調べ続けた。
どれくらい時間がたったか良くわからない。少し前まで書いていた正の字もいつからか放置しっぱなしになっている。
こんなにも充実した日々を過ごせたのはほんとの意味で50年ぶり以上だ。わからなかったことがどんどん判明してきて、試行錯誤していろんな魔法を作ったりしてきた。社会のテンプレートをそのまま暗記するだけだったとこから自分で考え、自分で実行してゆく開拓者になった、気分だ。この森から一歩も出ていないし、もしかしたら人間社会がすでに外に形成されていて、俺の考えたものすべて一般常識だったとしてもそんなのどうでもいい。自分で考えて0から作り上げたことこそが重要なのだ。
初めに魔力というものがほんとにあるのかということを考え始めた。魔法を出すためのエネルギーは無から生み出されるものでなく、自分の体に内包されている、もしくは空気中に酸素のように漂っている、さらにもしくは別の次元から取り出している。この3つのパターンを考えた。
まず自分の体に魔力が大量に内包されていて、魔力を使用したとたんに回復をすぐしていると仮定した。自分の体から何かが消耗される感覚が欲しかったため、とにかく魔法を行使しまくった。火を連発するのは危ないからそれ以外の方法で。
これは失敗に終わった。何十時間も魔法を打ち続けても疲れる気配も、何か減ってゆく気配もなかった。
次に空気中に魔力が漂っているパターン。魔法を使ってもすぐに周りから魔力を吸い取るからが消耗する感覚がないんじゃないかと思った。何もないところから魔法を出してるとなると前提から崩れるからそれについてはいったん置いておく。
空気中に魔力があるなら水中で魔法を使ってみようと思い、裸になって水に飛び込んだ。この時ようやく気付いたのだが、自分は呼吸も必要なくなっているらしい。そして川の中の地形を魔法で変えながら数時間粘ったが何も収穫はなかった。万物に魔力が宿っている可能性も考えたが、試す方法が思いつかなかったのでそれはあきらめた。
最後に別の次元に干渉して魔力を取り出している説。これに関してもどうやって証明すればいいか何一つぴんと来なかったのであきらめた。
それ以外にもいろいろ考えて試したが何一つうまくいかなかったため、自分の中に魔力が無限に製造される機関があるという何一つ根拠のない結論に落ち着いた。
次に試したのは魔法の細かい操作だ。漫画やゲームでよくある手に炎の玉を作り出して「ファイアーボール!」と自分の体から分離して操作ができるのかを試した。
炎の玉を作り出すことは容易だった。次に炎の玉を射出することだが・・・これが非常にむずい。自分の場所から一メートル先くらいならまっすぐに飛ばすことはできたんだが、それ以上の飛距離になるとコントロールを失って地面に落ちしまう。結構な回数やったんだが何も進展がないことから、アプローチを変えた。自分が出した魔法の位置情報をつかみ魔法を出している感覚を維持できるようにしようと思い立ちさっそく実行。炎だとやりずらいと思いまずは土魔法で練習。自分が捜査している土の位置を感覚でつかめるようになるまでこの練習を続けた。そしてある日自分が土に何かを流し込んで操作している感覚が分かった。この何かがきっと魔力なんだろうと思い、自分の手を経由してつながっている物質なら完璧に操れるようになった。
しかし、体から離してしまうとうまくできなくなる。じゃあ今度はそれを解決するために空気中に魔力を流し込み、遠く離れた場所でも自分の体とつながっているようにしたらいい。物は試しだと思い早速やってみるが手から物質に魔力を流し込むのとは違い相手は空気だ。最初は全くうまくいかなかった。いろいろな方法を考え、全身を水中につけたまま体全身で魔力を周囲に流し込むことで感覚をつかもうとし、最初の訓練が功を奏したのか割と早くこれはできた。そして空気中でもこれが成功した。
さぁこれでやっと炎の玉の制御に移れる。
まずは炎の玉を手に出す。次に魔力を放出。炎の玉を手から切り離す。最後に炎の玉の魔力を認識したままそれをコントロール。ここまでしてやっと成功した。
長い時間かかったが徒労感より達成感のほうが大きかった。
そしてここを起点に自分はいろんなことに手を出す。
魔力をはじめからすべて炎にするのではなく、推進用や着弾時での破壊力アップのために魔力を分けておく方法。魔力の燃焼位置・燃焼速度・噴射方向を細かく制御できることも夢じゃないだろう。
水や土などの操作を3段階にしてさらに精密な動きにできるようにした。魔力で力を加えた後、力の方向を指定、最後に物質の各部分を無数の力で細かく制御。小さい建造物を作ったり、水の流れを操作して津波を起こすことも可能だ。
電磁波や光に干渉して疑似的な雷を作ることも試した。魔力を使い直線的に魔力を電離し、空気の経路が広がらないよう固定、自分側と放出側で大きな電位差を作り、大電流を流す。魔力がどんなエネルギーにでもなれるからできる芸当だ。
一通りのことを調べつくした後、外の世界の魔法技術はどうなっているかが気になってきた。この世界に来てから人間はもちろん動物だってみていない。もし外に社会があるとしたらどんな魔法体系があるのかを知りたい。そう思い早速外に出る準備をする。




