こんにちは
赤毛の大男が話しかけてきた。190は優に超える身長と筋骨隆々なその体にとても驚く。
「お前新入りだろ?どうゆう経緯でここに入ったんだ?」
だいぶフレンドリーだな。自分が乗ってきた馬車では見なかったから、ほかの馬車に乗ってきたんだろう。にしても威圧感がすごい。笑顔で話しかけてきているが、顔に刻まれている傷が恐ろしい。
「自分はスカウトで入ってきて、今回が初仕事です」
「スカウト!?この時期にスカウトで入ってきたってことはお前、あのお嬢様のお眼鏡にかなったやつってことか!」
お嬢様?あぁ、たぶんアイスさんのことだろう。にしても大分驚いているな。確かに自分が初スカウトといっていたが、そんな驚くほどなのか?
「多分それです。サールって名前です。お願いします」
「おう、よろしく。さっきも言った通り、俺はベイルって名前だ。一応今回の遠征のリーダーだ」
そうなのか。にしては俺のこと把臆していなかったな。それで大丈夫なのか。もしかしてさっきのやつも驚いたふりだったりして、それは考え過ぎか。
「今回の内容はちゃんと頭に叩き込んでいるな?緊張しなくていいぞ、ほとんど作業みたいなものだ。新入りに無茶やらせるような職場じゃないからな」
そう言ってニッと口角を上げる。悪い人ではなさそうだな。
「ありがとうございます。でもそこは別に心配していないですよ。商会が主導の遠征で、無茶なことはさせないでしょ」
「いや、そうでもないぞ。なんせ、ここは国の領域とはいえ法律が通用しないところだからな。証拠がなければ犯罪じゃない理論で、ハンターを使い捨てるところもあるって噂だ」
「そ、そうなんですか・・・考えが甘かったです」
それは初耳だ。まだこの国に来たばかりだからそういう情報には疎かったな。ただの先入観で大丈夫と決めつけていたな。気を引き締めないと。
「まぁ、ここの商会ではそういうことは絶対ないぜ。なんせ俺なんかが長年生き延びているんだからな」
俺なんかがね・・・こんなこと言っといて、絶対強い人だろ。ハンターなんて危険でしかない職業に長年つけるだけで強者の部類に入るだろう。実際はどうかしらないけど。
「ところで、お前の得意な属性は?俺は生命と剛力特化だな。それ以外全く使えん」
「自分は万象と時空が好きです」
突然属性とか出てきてびっくりしただろう。何と魔法には属性というものがあったのだ。契約した精霊にも同じ階級でかなり個体差があって、使える魔法、使えない魔法がはっきり決まっているんだ。それらを大雑把にくくり分けて7つの属性に分けたらしい。自分もまだこれ以上の詳しいことは知らん。
「ほう!時空が使えるのか。いい精霊と契約したな。かなりレアな精霊だぞ」
「ええ、自分の運の良さは自覚しています」
「これは明日も期待できそうだな、おっと、結構話し込んでしまったな」
あたりを見ると、見張り役以外のもの以外全員寝ているようだ。
「そろそろ俺たちも寝るか」
「そうですね。色々教えてくれてありがとうございました」
「あまり気にすんな。他のやつにいじめられたら俺に言えよ」
そう言って、見張り役の人のところまで行って何やら話しかけていた。
さて、ついに明日か。自分は・・・まぁ死ぬことはないだろうし緊張もあまりしていないが、周りに人間がケガするかもしれないし、死ぬことだってあるかもしれない。
そうなった場合は絶対助ける。怪しまれてもいいから絶対に。人間じゃなくなっても心はまだ普通の人間だ。誰かが目の前で死ぬのを見届けるなんてまっぴらごめんだ。




