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魔法収集家  作者: トライ


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18/21

理解

個室を用意された。身分証も手にいれた。前金としてそこそこのお金を手に入れた。


待遇がよすぎて怖すぎるな。今自分は用意された個室にいる。部屋は広いが、ベットと机、椅子しかない状態だ。これからいろいろ揃えていこう。多分ここは社員寮みたいなところだろう。特別扱いはいらないといったから、周りと同じようにしてくれたんだろう。


とりあえず今はお金を稼いで、ここの文字を学ぶことが一番の課題だな。


そこから一週間。その間に家庭教師を紹介してもらって、文字を学んでいる。いったん魔法の探求は中止だ。仕事の研修だったり、勉強があって暇はしなかった。



「この単語は読書を意味するものです。なのでこれらの文章は、『彼は早く読書をしたかったので走って家に帰った』です。わかりましたか?」


家庭教師のひとは、ハムさんという若い男の人だ。授業料を稼ぐためにバイトをしているらしい。立派な人だ。


「なるほど。やっとわかりました。すいません、理解が遅くて」


「いえいえ、一から言語を学ぶというのは非常に難しいことなので、そんな卑下なさらなくて大丈夫ですよ」


おぉ、なんて優しい人だ。バイトではなく、先生を本業にしても違和感がない。


「それでは、本日のじゅぎょう波はこれで終わりにしましょう。ありがとうございました」


「また、明日お願いします」


「うん?確か、明日は授業なかったですよ?サールさんのお仕事があるからって理由でしたね」


あ、すっかり失念していた。明日はハンターとしての初仕事があるんだった。伝えられたばかりだってのに頭から抜けていたな。



勉強の時間は終わり、あとはもう明日が来るのを待つだけだった。そこに来客が訪れる。


コンコンコン  「夜分遅くにすいません。アイスです。明日のことについてお話が合ってきました」


「どうぞ、入ってください」


別に夜分遅くってわけでもないんだがな。律儀な人だ。


アイスさんを中に招きいれ、椅子に座ってもらう。


「もう事前に説明があったと思いますが、明日は黒熊の討伐です。黒熊は非常に大柄な魔獣で、その体格にあったパワーと、その巨体から想像ができないほどの瞬発力を発揮する魔獣です。討伐難易度に比例して、その毛皮や爪、眼球、内臓など様々な部位が高級品となっています。そして群れる性質があるため毎回少なからず死傷者が出ています」


ここまでの説明はこの前の研修の時に聞いたな。体に大きな損傷があると、価値が下がるから傷つけ過ぎないようにと警告があった。


「あなたが上位精霊様なら、心配する必要はないと思います。しかしこれだけは言わせてください・・・どうかお気を付けて・・・」


そうか。自分がハンターに誘ったから怖いのか。勧誘した人が傷つくのが。自分は人じゃなくて、精霊だけどな。


うーん。ハンターってケガすることや、死ぬこともある職業だよな。それを承知の上で働く人が多いと思うが、アイスさんはまだ若いし自分の責任と受け止めてしまう性格なのだろう。しかし、スカウト役というなら自分のほかに勧誘した人もいるはずだ。もしかしてだが・・・


「アイスさんって自分が初めてだったりします?」


「は、はい?何がですか」


困惑しように聞き返してくる。言葉が足りなかった。


「ハンターにスカウトすることがですよ。」


「あぁ、そういうことですか。そうです、スカウトしたのはあなたが初めてです。あなたの姿を見た瞬間、なんていうか、びびーん!ってきて、勢いで話しかけちゃいました・・・」


「そうだったんですね」


ずいぶんアグレッシブなお嬢さまだったようだ。まさか、勢いで話しかけてきたとは。考えもしなかった。


「私は昔から精霊と仲がよくて、精霊の感情のようなものが分かるんです。ちゃんとした言葉ではなく、嬉しいとか悲しいとか、怒っているとかの感情が流れ込んでくるんです。その時にあなたの姿を見て、精霊が大騒ぎしていたんですよ。敬うようなひれ伏しているような感じが流れこんできました。それで、あなたが上位精霊と契約をしている人だと思いこんで話しかけました」


「精霊の感情が流れこんでくる?それはご両親は把億しているんですか、それとも隠しているんですか?」


「両親は把億しています。だから私にスカウト役を任せてくれました」


強い精霊と契約していることが分かるなら確かにスカウト役に適任だな。フロズさんがアイスさんのことをあんなにも信頼していた理由が分かった気がする。


「そうだったんですね。心配しなくても大丈夫ですよ。自分は強いですし、人間じゃないですから。絶対死にませんよ」


そう言ったら、アイスさんは安心したように笑顔を見せてくれた。


「そうですね。心配なんてするほうが失礼だったでしょうか?」


「いえいえ、十分ありがたいです。人からの応援をないがしろにするような人間じゃないですよ」


「わかりました。頑張ってください!」


そのあと軽い雑談をした後、彼女はこの部屋から去っていった。


さて、明日がついに初仕事。緊張するなー。

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