33/34
終幕ー静寂
時代は、何度も巡った。
名を変え、姿を変え、
同じ空の下で、二つの魂は出会い続けた。
触れられなかった時代があった。
待ち続けた時代があった。
守ることも出来なかった時代もあった。
願いは、いつも少しだけ届かず、
想いは、次の時代へと残された。
だから世界は、静かに繰り返していた。
もう一度だけ、と。
もう一度だけ、と。
けれど――
炎の中で、
二人は初めて思いを通せた。
守るためでも、
救うためでもなく。
ただ、隣にいることを選んだ。
その瞬間。
次へ運ばれるはずだった願いは、
どこにも残らなかった。
誰も気づかないまま、
長く続いていた巡りは、そこで役目を終える。
始まりがあったのなら、
終わりもまた、音もなく訪れる。
それは奇跡ではない。
ただ――
ようやく、届いただけのこと。
そして時代は、先へ進む。
もう、繰り返す必要のない世界へ。




