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現代ー選択
高校だったころ何度も通った道を、二人は歩いていた。
理由もなく、隣にいるだけで、琴葉の胸は静かに温かくなる。
その感覚の意味は、琴葉自身には分からない。
ただ、自然に笑みが浮かぶ――それだけで、心が軽くなる。
敦もまた、同じように微笑んでいる。
それは、魂の奥底で抱いていた――ただ笑っていてほしいという願いの反映だった。
日常の何気ない行いに、遠い時代の記憶が静かに宿っている。
夕日は西の空でゆっくりと溶け、世界を金色に染めていく。
光は柔らかく、影は長く伸び、二人の間に穏やかな距離を描く。
その光と影の揺らぎが、二つの魂を静かに包み、互いを探し合うように撫でていく。
理由も、説明もいらない。
ただ――隣にいる、この人を感じるだけで、世界は肯定してくれる。
胸に残る温度は、夕日の光そのもののように静かで確かだ。
そして影が溶けていく最後の一瞬、
二つの魂が見えない糸で触れ合い、
時間の隔たりを越えて、同じ場所で微かに重なった。
光は消え、夜が訪れても、
その温もりは確かに、二人の間に残っている。
ー 双鏡の君へ 2 終 ー




