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時代間章ー残響
戦は終わりへ向かい、
人の声はやがて歴史の中へ沈んでいく。
名は消える。
顔も、言葉も、やがて誰も知らなくなる。
けれど――
消えないものがあった。
誰かを守りたいと願った夜。
帰りたいと空を見上げた朝。
名前を呼べなかった別れ。
それらは記憶として残ることはない。
語り継がれることもない。
ただ、形を失ったまま、
人の奥深くに沈んでいく。
理由もなく胸が痛む瞬間。
初めて会ったはずなのに、懐かしいと感じる視線。
なぜか手放せない選択。
それは、思い出ではない。
幾度も途切れ、
幾度も失われながら、
それでも同じ方向へ伸び続けた
“願いの癖”。
誰も覚えていない。
それでも世界は、
確かにそれを数えていた。
叶わなかった想いは消えず、
形を変え、時代を渡り、
少しずつ、
ほんの少しずつ、
次に届く確率だけを、
静かに寄せていく。
まだ誰も知らない。
この積み重ねが、
いつか――
「偶然」と呼ばれる再会を、
生み落とすことを。




