前へ目次 次へ 20/34 室町時代ー待ち 夜。 家々の灯りが、村を点々と照らす。 敦乃は、何度も門の外を見る。 足音がするたび、顔を上げる。 けれど―― 通り過ぎるのは、知らない人ばかり。 風だけが、砂を転がす。 敦乃「……今日は、遅いだけだよね」 母は、何も言わずに頷く。 父は、黙って湯を足す。 爺も目を伏せたまま煙草を吹かす。 ーーー静か。 誰も否定しない。 誰も肯定しない。 敦乃は胸の前で手を握る。 敦乃「……琴之」 その夜、 琴之の足音は、最後まで聞こえなかった。