前へ目次 次へ 18/34 室町時代ー祈り ー夜 同じ空の下。 敦乃は家の中で琴之の帰りを待っている。 琴之は堤防へ向かう列にいる。 そして―― 爺は、一人で庭に立ち、空を見上げている。 月は、雲に削られながら、細く光っている。 爺「……戻ってこい」 風が畑を揺らす。 爺「戻れ」 少し間。 爺「……それが、条件だ」 空は答えない。 だが雲の切れ間から、わずかに月が覗く。 爺はそれを見て、目を細める。 爺「……あの男なら、帰る」 そのそれは、独り言のようで、 祈りに近かった。