前へ目次 次へ 17/34 室町時代ー出立 翌朝。 村の広場。 徴集役人が名簿を掲げる。 風に紙が鳴る。 琴之は列の中で、名を探す。 ――琴之。 確かに、そこにある。 更に名簿を端から端までじっくり見る。 ……敦乃の家の名はない。 琴之は、息を吐く。 琴之(……それでいい) 役人が淡々と続ける。 「堤防工事。 一年以内の帰村を予定する」 琴之は目を閉じる。 琴之(……帰る) 琴之(帰らなければならない) ふと、敦乃の笑顔が浮かぶ。 琴之(守るために、離れる) 拳を握る。 琴之(……戻るために、行く)