捕まった
魔法師を挑発するように、時には間近を飛んでみたり、わざと一回捕まってみたり。
何だか楽しくなってきた。
魔法師たちが真剣なのはわかるけど、楽しい。
こんな風に遊んだ事がなかったから、余計に楽しくなってきた。
『こっちだよー!あはははっ。』
楽しいー!
こんなに楽しいの、初めて!
魔法師たちの捕縛が、だんだん攻撃に変わってきた。
それでも楽々と避けられる。
自分でもどうしてかわからないけど、魔法の軌道や発動のタイミングが見えるのだ。
だからどれだけ魔法師がダミーを入れようとも、わたしには全部見える。
『わたしはまだまだ元気だよ。ほら〜もっと遊ぼうよ!』
床に座り込む魔法師たち。
魔力が切れたのかもしれない。
でもわたしはまだ遊び足りない。
もっと遊んでくれる人いないかな?
床に足をつけて魔法師たちを観察していると、後ろから足音が聞こえた。
振り向くと、誰もいない。
あれ?
確かに足音が聞こえたのに。
首を傾げると、両肩に何か重さが加わった。
肩を見ると、そこには人の手。
手を辿っていくと、いい笑顔の男の人がいた。
『ひぃ!』
驚いた拍子にふわりと浮かび上がりそうになった身体が、さらに重さが加わった手で押さえつけられる。
『なになになに!?なんで、触れるの!?』
「お前か。今まで散々手間を増やしてくれたのは。」
なんか、黒い。
笑顔なのにものすごく黒くて、凄みがある。
背後からゴゴゴッて音が聞こえるよう。
『なんか、怖い!』
「失礼だな。」
『ってか、なんで見えるの?触れるの?会話が成り立ってるのぉ!?』
「知らん。ともかく、一緒に来い。わかったな?」
『……はい。』
これ以上逃げたらダメだ。
瞬時にそれを悟った。
本能には逆らっちゃいけない。
わたしは知らない男の人に腕をがっしりと掴まれたまま、どこかに連れて行かれた。
掴まれている腕から、体温が伝わってくる。
それが不思議と心地よかった。
連れてこられた部屋には、たくさんの本と大きな机に積み重なった書類があった。
『わたしのことなんて放っておいて、仕事したらいいのに……』
「だ・れ・の、せいだと思ってる!?」
『え?だれ?』
「お・ま・え・だ!」
『うえっ!?』
何でわたし?
わたしは、ただちょっとイタズラしてただけだよ?
……え、もしかして、そのイタズラのせいだったりする?
書類の山を見て、男の人の顔を見て、また書類の山を見て……
『ご、ごめんなさい……』
頭を下げて謝った。




