死んじゃったから
男の人は、わたしの謝罪をふんっと鼻で笑った。
結構、真剣に謝ったのに……
思わず、口をへの字に曲げてしまう。
……が、鋭い視線で睨まれて、慌てて顔を元に戻した。
「殿下、あの……先ほどから1人で何を話しているのですか?」
一緒に部屋に入って来たもう1人が、わたしを連れて来た男の人に問いかける。
「は?いるだろ、ここに。私とお前と、ここに女が1人。」
「……いませんが?」
だよね。
普通見えないもんね。
本当、何でこの人見えるの?
「見えないのか……面倒だな……」
「殿下……お疲れなのでは?」
「確かに疲れているが……いや、そのせいか……いやいや、そんなわけない。私は正常だ。」
聖女だけに?
ププッ
ん゙ん゙っ
ふぅ……危なかった。
また睨まれるところだった。
「お前、何とかできないのか?」
『できるわけ……あるかも?』
幽霊は、存在感がないから見えないんだよね?
じゃあ、存在感を大きくしたら……?
「……っ!?」
『あ、できた。』
さすがわたし!
『おーい!大丈夫?』
後ろの人が固まってしまった。
……はっ!?
わたしって、もしや驚くほど美人だったりする?
……な、わけないか……
「これでわかっただろう?」
「……え、あ、はい……」
「お前、手を離すが逃げるなよ?」
わたしが、自分の人差し指をわたしに向けると、前の男の人が頷いた。
『はーい……』
捕まったからには、仕方がない。
捕まえた人の言うことを聞かないと。
「私は第1王子のアシュレイだ。後ろは側近のハウエル。お前は?」
『わたしはリュシア。先日死んじゃったから、幽霊になったの。』
「「…………」」
どうしたんだろう?
空気が重たい?
そんな暗い話したかな?
「なんで死んだんだ?」
『餓死。食べ物も飲み物もなくて、閉じ込められちゃった。』
「そうか……」
なんで王子様がそんな顔するんだろうね?
わたしが死んだことと、王子様は関係ないのに。
『王子様は、気にしないでよ。』
「……はぁ……アシュレイでいい。」
『?はーい。』
「何か未練があったのか?」
『んーん!そんなことはないよ。たぶん、女神様に拒否されたんだよね。わたしってば、聖女だから。役目を果たしなさい、的な?』
「「……はあ!?」」
『うわっ!びっくりした。幽霊脅かすなんて、才能あるね!』
「冗談を聞いている場合じゃない!聖女ってどういうことだ!?」
冗談じゃなくて、本気で褒めたんだけどな……
これは、言わない方がいいっぽい。
前後から、怖いくらい真剣な顔をした2人が詰め寄ってきた。




