追走劇を終えて。③
「一つ、失せ物探しを頼みたい。オーディールには内密にの」
「内密に、ですか? いいんですか? さっきもオーディールさん怒っていらっしゃいましたが……」
ミミングウェイは、先程の光景を脳内で思い描いていた。
まさに、舌の根が乾かぬうちにといった所業。
けれど、スケラ大公はニマリと口角を上げてみせる。
そう。このお爺様、全く反省などしていない。
それもそのはず。
元々、【王国騎士団】は、スケラ大公の懐刀でも配下でもなんでもないのだ。
国を守るという目指すべき方向が同じだからたまたま協力関係にあるだけ。
だから、たまには道を違えることもある。
スケラ大公は、善なるものを見捨てない。弱きたるを見放さない。
たとえ手を汚していても。
「其方にだから、託せるのだ」
スケラ大公のその翡翠の瞳に強い光が宿る。
そこに秘められているのは、この現状をひっくり返してみせるという強い意志。
一際光輝く希望だった。
この国、最高の知性が一手を打つ。
執務卓の書類の山から一通の便箋を手に取り、ミミングウェイへと差し出す。
いまこの状況でオーディールに内密に、そして自分が探し出すことを当てにされる。
その便箋が誰宛のものなのか、ミミングウェイには受け取った段階で分かっていた。
ミミングウェイは、手渡された希望を胸に抱く。
顔を上げれば、スケラ大公と目が合う。
二人は、頷き合った。
「絶対にやり遂げてみせます」
そして、自分だけができる戦いに彼女もまた出向くのだった。
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俺はやはり仮面舞踏会という催しには反対だ。
浮ついた中では警備もやはりどこか浮ついたものになってしまう。
何より、当人らの警戒が緩むのが一番の問題だ。
こんな時だっていうのに!
とは言え、任されたからには守り切ってみせる。
たとえ、王や【王国騎士団】の創設者の子孫と剣を交えることになったとしても。
次こそは、絶対にあの二人を捕まえてみせる!
【アマビリス王国騎士団】の、その誇りに賭けて。




