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コーレリア物語 〜公爵の爵位を返還した僕だけど、最強の銀狼の騎士が一緒にいるから平気です!!〜  作者: 世鷹イチゾウ
破 実は正統王位継承者だった僕が銀狼の騎士と共に運命に抗う話
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城館攻略戦①

 マーニ様と共に()()()()に出向くようになって、私は救われた心地でした。

 罪も罰も全て墓に持って行こうとしていた私の血で汚れた手を、汚れるのも厭わずにマーニ様は取ってくださった。

 それだけでよかったのです。

 マーニ様が共にいてくださるのであれば、私は誰にも負けない。

 世界だって滅ぼせる。

 そう、自分を信じられる。

 肯定できる。

 だから、私のこの胸に抱いた忠誠も別の形に変えていける。

 変わっていける。

 ()()まだ、その時ではないけれど。

 ()()()、きっと。

  

 ──

 ────

 ────────


 マーニ様の革命を未然に防ぐための戦いは順調でした。

 革命派は下の位に据え置かれた者たち、それ即ちそれだけ御し易いとも言えるのです。またそれこそがマーニ様の血を欲した理由でもあったのでしょう。

 今宵、革命派の首魁との戦いに臨むのでした。

 これさえ済めば公爵の者たちとの交渉の余地も出るかもしれない。

 

 さて、少しここいらでコーレリア大公国の地理についてのお話をしましょうか。区切っておきますので、読み飛ばしても構いません。


 コーレリア大公国というのは都市国家でして。

 前提として、その成り立ちは諸外国からの脅威がありました。

 ボゴテンシスが諸外国からの脅威をその騎士と共に迎え撃ったことで成立したのが、前身であるコーレリア王国です。

 であるからして、建国の最初期はと言えば領主が迎え撃つは他の領主よりもまず先に諸外国に対してが主であり、他の国と比べてしまえば格段に領主同士の距離が近いという特徴があるのです。

 孤立してしまえば真っ先に諸外国から襲われる恐れがあるとなれば、必然、領主はある程度中央に集まり連携を取らねばならない。

 戦乱の世に統一を促し防衛を図ることができたからこそ、ボゴテンシスは王足りえたというわけです。

 もっとも、国が栄え諸外国よりも自国に目を向けなければならないとなった後に、その弊害が噴出しているというわけですが……。

 まあただ、私とマーニ様からすれば都合が良かったのです。

 なんせ敵である領主たちはそう遠く離れていない。少し馬を駆けさせればすぐに目的の場所に着くのですから。

 

 目的の場所から遠く離れたところに馬を繋ぎ、マーニ様と共に森を突っ切る。

 迷うことはありませんでした。森の中に目的の建造物が聳え立って目立っているのですから。

 貴族の館というのは大抵城壁に守られているもので、遠くからでも白い壁が目につくのです。

 城門には門番が二人。

 槍と簡単な防具を身につけている。

 夜中ということもあって、門番たちは所在なさげにダラけながら立っていた。

 どうしても普段は何も起きない夜中の警備に集中を持続させるというのは難しいものです。が、有事にはそれが命取りになるということを彼らには身を持って知ってもらうといたしましょう。


「ハティ、どうするの?」


 不安そうに瞳を揺らすマーニ様は相変わらず愛らしい。

 私ことハティは安心させるように笑顔を作る。


「すぐに始末します、お待ちを」


 そう言うや否や、私は体勢を低く保ったまま駆け出した。

 体勢を低く保ったまま地面を力強く蹴り、一息で距離を詰める。

 闇夜に紛れ、しかも膝よりも下に姿勢を保たれたまま近づかれては、獣人のように鼻や嗅覚に長けたものでなければ気付けないのも無理はない。

 接近はとても容易でした。

 門番の足元に踏み込み、そのままバネのように体を跳ね上げる。


「な──!?」


 急に視界に入り込んだ私に驚愕し仰け反る門番の胴体を切り上げ、そしてそのまま同じように驚愕に固まっているもう片方を重力に引かれるままに袈裟に切り下ろす。

 ドサリドサリと門番だった肉塊が地面に転がった。

 流れ作業のように二人を始末した私は、剣の血を払って鞘に収める。

 事は済んだ。

 物陰へ隠れるマーニ様へと頷くと、マーニ様が駆け寄ってくる。

 

「ハティは、すごいね……」


 マーニ様は感嘆の声を漏らしながらも、二人の死体に目をやり襟元をギュッと掴んでいる。

 気にしてしまっているのだろう。

 極力殺さずに先へ進めればいいのだが、そうもいかない。

 マーニ様をお連れしたまま、殺さずに押し通るなんてことは土台無理な話なのだから。


「やめにしますか?」


 勿論、門番を殺した後でやっぱり襲撃自体をやめますなんて通らないのですけれど。

 でも、マーニ様を隠れさせ待機させておくことはできる。

 お優しいマーニ様にこれ以上血飛沫など見せたくないのが、私の本音なのですから。

 けれど、マーニ様は小さく首を振った。


「……ううん。君にだけ手は汚させない。僕がここで退いたらハティは一人で行くんでしょう? これは僕の戦いでもあるから」


 マーニ様は意思のこもった眼で私を射抜く。

 澄んだ青い目は、私の考えていることなどお見通しのようでした。


「マーニ様には隠し事はできませんね」


 マーニ様の覚悟に私は頷きながら、門番たちの死体の懐を漁る。

 鍵があるはずだった。

 門そのものではなく、門の開閉に関わる詰め所への。

 弄りながら死体に視線を走らせると、腰に鍵束を吊り下げていた。

 これで鍵は入手できた。城壁の中へ入ることが叶う。

 鍵束を見せ、マーニ様と顔を見合わせて頷く。

 これからが、本番だ。

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