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「……す、すまなかった」
家に帰還すると、リオンがそう謝ってきた。
「何がだ?」
「……お前を疑ったことだ」
最初リオンは、俺を魔界に送った犯人だと思っていたから、無事誤解が晴れて、謝罪してきた。
「別に気にしてないから大丈夫だぞ」
疑われたことは少し悲しかったが、別にリオンに痛い目にあわされたわけじゃないし、そこは問題ない。
「しかし、このままでは私の気がすまん。何か出来ることがあるなら、なんでも言ってくれ。なんでもする」
「な、なんでもする!?」
リオンのような美少女からそんなことを言われると、思わず邪な考えが頭をよぎってしまう。
だ、駄目だ。
俺は首を横に振って邪念を振るい落とす。
ま、まあでも、何かお願いはした方がいいかもな。
このままではリオンの気も晴れないだろうし。
何がいいだろうか?
俺は少し考える。
「じゃあ、一緒に釣りでもしてもらうか」
とそう言った。
「それでいいのか? 別に釣りなら前も一緒にやったはずだが……」
「またやりたくなっただけだ。釣りは楽しいからな」
「……そ、そうか」
それから俺とリオンは家の前で一緒に釣りをした。
「お前、これからどうするんだ? もう復讐も終わったし、他にやりたい事とかあるのか?」
「そうだな……」
リオンは悩む。
「ベルゼブブを倒した後は、何やってたんだ」
「前にも行っただろ。勇者の称号にふさわしい実力を得るために修行をしていた」
「そういやそうだったな。でも、それだけ強くなったら、もう修行する必要なないんじゃないか?」
「それもそうだな」
リオンはどうするか自分で考えるように、空を仰いだ。
「……今はちょっと休みたい。ここでしばらくゆっくりさせてもらいたいが、いいか?」
リオンがそう聞いてきた。
彼女は冒険に出てから、魔界に行って今に至るまで、ずっと戦い続けてきたのだろう。
魔界での生活は聞いてはいないが、過酷な日々だったはずだ。
休みたいという気持ちになっても、おかしくはない。
「そうか。ずっといてもいてもいいぞ」
断る理由もないので、俺はそう言った。
「ず、ずっと!?」
リオンは目を見開いた。普段驚かないのにどうしたんだ?
何かおかしい事を言っただろうか。
「ず、ずっと死ぬまでいていいってことか? つもりそういうことなのか? き、気持ちは嬉しいが……」
顔を赤らめながらリオンは呟いている…
「まあ、釣り仲間が近くにいるのは嬉しいしな。俺は特に困らないが」
「釣り……仲間……」
突如リオンはすっと不機嫌そうな表情になった。
失礼なことを言っただろうか? よくわからないやつだ。
「よくよく考えれば、この湖は別にライズのものじゃないから、許可など取らず好きに住んでいいはずだ。私もここに住むぞ」
リオンはそう言った。確かにそれはその通りである。リオンが住むと言っても、止める権利などない。
そして、リオンの竿がしなり始める。魚がかかったようだ。釣り上げる。
大きなスラズが釣れた。
大物である。
「おお、美味しそうなのが釣れたな」
リオンはすごく嬉しそうな表情を浮かべていた。
それは昔、リオンと旅をしていた時に見た笑顔そっくりだった。
目標を達成し、昔のような心境に戻れたのかもしれない。
「おい、私は釣れたぞ。ライズはまだ釣れないのか?」
挑戦的な笑みを浮かべてリオンがそう言った。
「な、今は調子が悪いだけだ! す、すぐに釣ってやる」
結局その日は釣れず、リオンだけが大量に釣った。
リオンの釣った魚を調理し、夜はご馳走を食べて一日が終わった。




