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「あ、あれ?」
ど、どこに行った? 消えちまったぞ。
スノもきょとんとした表情を浮かべている。あんなに嬉しそうあったのに、何が起こったかわからないような様子だ。
ま、まさか、さっきの攻撃で一撃で死んだってことはないよな?
嘘だろ?
確かにちょっと強めに魔弾を打った。でも、今のも全力ではなかった。
強そうだったと思ったのに、まさかそれも一撃で死んじまうなんて、そんなことないよな?
「……なるほど……私は勘違いをしていました」
スノが肩を落としてつぶやいた。
「ワイットの力をみて、ライズと同じくらいと思ったのですが、勘違いでしたね。ライズの力を唯一自分が感知できていると思っていたのですが、思いあがりでした。ライズの力は人ごときでは感知することは出来ない。強大すぎるものなのですね」
スノはポツリと呟いた。呆然としたような表情を浮かべている。
「さて、これから研究をしなければいけませんね」
「できると思うか?」
リオンがスノの背後に立ちそう言った。
「貴様は魔界に送らせて貰う」
「ま、まってください。魔界では研究できないので出来れば行きたくないのですが……」
「貴様の意見など求めていない。強制的に行ってもらう」
スノを睨みながらリオンは言った。魔界送りにしないと、気が済まないようである。
「いいですか。私はゲートを開ける術を知っているのですよ? 魔界に行ってもすぐにこっちに戻ってきますよ」
「そうか。なら監視の魔物をつけよう。魔界にも私の部下はまだ大勢いるのでな。もし、戻ってきそうになったら殺すと言いつけよう。安心しろ、魔界でうまくやった場合は生かしてやる。もし力をつけて、私に復讐したくなったら、魔界にいる部下を殺して私の元に来るがいい。その時は挑戦を受けてやろう」
「くっ……」
リオンはスノを同じ目に合わせたいと思っているようだな。
「魔界に送られるというのがどういうことか、身を持って味わうといい」
スノに圧をかけながらリオンはそう言った。
その後、一旦スノを連れて俺たちは城の外に出た。
下手な騒ぎを起こさないよう、透明の魔法を使う。
外に出ると、かなり騒ぎになっていた。
まあ、派手に戦っていたしな。
国にいる有力な冒険者たちなども集まって、城の地下に発生した強力な魔物をどうするか会議をしていたようだ。
だが、魔物の反応が消えて、目的をうしない呆然としているようだった。ちょっとかわいそうではある。
城の外に出た後、リオンは部下の魔物を集め、ゲートを開き、スノを魔界へと送った。
同時に部下も何人か魔界にいかせ、スノの監視を命じた。
戻って来ようとしたら殺すと言っていたから、下手に戻るような真似はしないだろう。
結構な確率で死にそうではあるが、何だかしぶといので生き残って出てきそうとも思える。どうなるだろうか。
目的は達成したので、俺たちはラポン国を出て、家に帰還した。
○
(うわー。まさか僕の肉体で一撃で壊されちゃうなんて……規格外だねライズ君は)
ライズの魔弾を受けた後、ワイットは滅んでいなかった。
意識だけが残った状態で、上空にふわふわ浮いていた。
肉体も滅んだ上、攻撃で魔力も大きく失っていた。
今は大したことのできない霊体となってしまっていた。
(うーん、結局まともに戦えなかったし、あの女の子の願いは叶えられなかった。ライズ君の願いも叶えられてないし……せっかく目覚めたのに、これはちょっと嫌だよね)
ワイットは誰かの願いを叶えるということを存在理由としている、魔界に古くからいる魔物だった。
その特性上、危険な願いを叶えることもある。本人は善でも悪でもないのだが、彼を目覚めさせたものの人格次第では、善にも悪にもなれる存在だった。
(今の僕じゃ、大した願いは叶えられないな。でも一応ライズ君の後をつけてみるか。もしかしたら何か願い事を叶えられるかもしれない)
そう言って、ワイットはライズに取り憑いた。
今のワイットは、ほとんど力がないため、そのことに気づくものは誰もいなかった。




