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「さあ、来てください!!」
ゲートから何かが出てきた。
真っ白い人形の生き物だった。サイズはかなり小さい。身長が五十センチメートルくらいしかなさそうだ。
人形くらいの大きさである。
大きな目が二つ付いており、鼻は真っ平。口は存在しない。
ぱっと見可愛い見た目で、マスコットキャラクターのようだった。
何だろうか。こいつがスノの言った、魔界の奥底にいる凄まじい力を持った存在か? どう見てもそうは見えん。召喚ミスをしたのだろうか?
「な、何なのよこいつ」
「ば、馬鹿な何だこいつは……」
「こ、怖い……」
エミル、リオン、シーラの三人は謎の白い生物を見て怯えていた。
三人には結構強く見えるのだろうか。
俺には正直、ただのマスコットにしか見えないがな。三人が怯えているということはきっと強いのだろう。
「素晴らしい! 素晴らしい力ですよ!!」
スノは笑みを浮かべていた。どうやら失敗ではないようだな。
「こんにちは! 僕はワイットだよ! 君が僕を呼び出したのかな?」
かなり高い声で召喚されたやつはそう言った。子供の声である。
ワイットというらしい。
こいつは魔物なのだろうか。魔界に存在していたということはそうなのだろうが。
「俺はライズだ。召喚したのは俺じゃなくて後ろのそいつだ」
一応名乗られたので、律儀に名乗り返したあと、スノを指差して言った。
「そうなんだ。でも、初めて会ったのが君だから、君にすることにするよ! ライズっていうんだね!」
「俺にするってのはどういうことだ」
「君の願いを叶えてあげる! 何でもいいよ! 叶えてあげる!」
「な、何でも叶えてくれる? まじか?」
「うん!」
ワイットはそう言って頷いた。
「じゃ、じゃあ俺を弱くしてくれ! こんな力いらねぇーんだ! レベルを下げてくれ!」
「??? 変わった願いだね。でも、お願いされたからには叶えてあげるよ」
ほ、本当に言ってるのか? 弱くしてくれる? まじ?
嘘じゃねーだろうな。
前、夢で実は嘘でしたってのを見た覚えがある。またあんな感じじゃないだろうな。
「えい!」
ワイットは俺の方に手を向けながらそう言った。
「……ごめん無理だった」
「な、何!?」
「どうやら君は不思議な加護で僕の能力を弾いているようだね。その加護を消さない限り、願いを叶えることはできないよ。願いを叶えたいなら、加護を消してからまたきてね」
「な、何だと!?」
加護って何だ。
あの時のくそ神が俺に変な加護をかけていったってことか?
消せったってどうすりゃいいんだよ。あいつに会う方法はわからないし、どうすりゃいいんだ。
「じゃあ、君の願いを叶えるよ!」
ワイットは今度はスノに向かってそう言った。
「そのライズと戦ってみてくれ!」
スノは即答した。こいつそれしか頭になかったのか。
「いいけど……本当にそんなお願いでいいの? 君が一番心から願っていることは、それじゃないと思うけど」
「いいんですよ! 一番の願いは自分の力で叶えますから! さあ、戦ってみてください!」
「そうなんだ。わかった。じゃあ戦うよ」
ワイットは俺に近づいてきた。
「ごめんね。君に恨みはないけど戦おうか。勢い余って殺しちゃったらごめんね」
なんか戦うことになったな。
俺も正直恨みはないし、戦う必要はないんだが。
ぶっちゃけ見ている限りだと、そんな悪い奴にも見えないし。
まあ、向こうが戦うというのなら、戦うしかないか。
でも待てよ。
さっきからこいつ、めちゃくちゃ強そうな感じで振る舞っているよな。
願いを叶えるとか言ってるし……
神様くらいだよな、そんなことができるの。
もしかして俺が感じ取れないだけで、相当強いんじゃないのか?
意外と戦ったらいい勝負になるかも知れない。
そう考えると、俺も戦いたくなってきたな。
よし、やってみるか。
「ホワイトハンマー!」
ワイットがそういと、真っ白い巨大なハンマーを握っていた。
それを俺の脳天めがけて、振り下ろす。
いつも避ける必要がないから、俺は避けなかった。
あ、やべ。
もしこいつがめっちゃ強いやつなら、これに当たると結構やばいんじゃ。
考えているうちに、ハンマーが頭に直撃した。
結果。
ノーダメージ。全く痛くなかった。
逆にハンマーにヒビが入って割れた。
「あれ? 手加減しすぎちゃったかな」
どうやら手加減していたようだ。びっくりした。
こんなに弱いハズないはずだ。
今度はワイットは大きな剣を作り出してきた。
これに斬られたら多分やばいはず。
俺は自分も魔法で剣を作り出し、ワイットの剣を受ける。
スパッとワイットの剣が切れてしまった。
「え?」
ワイットのきょとんとした声が聞こえる。
「今の結構ちゃんと作ったんだけど……」
事態が理解できていないという表情だった。
なるほど。
やっぱりこいつも大して強くないのか?
「どうしたんです! 本気で戦ってください!!」
スノが苛立ったような表情で叫んだ。
今までずっと余裕ぶっていたが、俺とワイットの戦いがこんな感じになるのは、想定外だったのだろうか。
「わかったよ。本気で行くね」
ワイットが力を放出する。
お?
何か高い魔力を感じる。今まで誰と対峙してもこの感覚はなかった。
それでも強そう、とまでは感じないのだが、ほかの奴らとは別次元の魔力を持っているということはわかった。
「素晴らしい……その魔力……まさにライズが覚醒した時に感じたものです」
スノは恍惚とした表情を浮かべていた。
「さあ、見せてください!! 最強同士の戦いを!!」
スノは叫んだ。
ワイットは力を溜めている。何か大技を放ってきそうな予感がする。
こいつはやっぱりかなり強そうだな。
恐らく今までの敵とは違い魔弾一撃で死ぬということはないだろう。
俺はそう思い、
「魔弾!!」
魔法を使用した。
ワイットに魔弾が勢いよく飛んで行き、直撃した。
そして、ワイットは跡形もなくいなくなっていた。




