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【3月15日書籍発売】アラサー魔導士の辺境湖畔暮らし〜初級魔法で魔王を瞬殺してしまった俺は、無気力に引きこもりたい〜  作者: 未来人A
第八章 復讐

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「さあ、来てください!!」


 ゲートから何かが出てきた。

 真っ白い人形の生き物だった。サイズはかなり小さい。身長が五十センチメートルくらいしかなさそうだ。

 人形くらいの大きさである。

 大きな目が二つ付いており、鼻は真っ平。口は存在しない。

 ぱっと見可愛い見た目で、マスコットキャラクターのようだった。

 何だろうか。こいつがスノの言った、魔界の奥底にいる凄まじい力を持った存在か? どう見てもそうは見えん。召喚ミスをしたのだろうか?


「な、何なのよこいつ」

「ば、馬鹿な何だこいつは……」

「こ、怖い……」


 エミル、リオン、シーラの三人は謎の白い生物を見て怯えていた。

 三人には結構強く見えるのだろうか。

 俺には正直、ただのマスコットにしか見えないがな。三人が怯えているということはきっと強いのだろう。


「素晴らしい! 素晴らしい力ですよ!!」


 スノは笑みを浮かべていた。どうやら失敗ではないようだな。


「こんにちは! 僕はワイットだよ! 君が僕を呼び出したのかな?」


 かなり高い声で召喚されたやつはそう言った。子供の声である。

 ワイットというらしい。

 こいつは魔物なのだろうか。魔界に存在していたということはそうなのだろうが。


「俺はライズだ。召喚したのは俺じゃなくて後ろのそいつだ」


 一応名乗られたので、律儀に名乗り返したあと、スノを指差して言った。


「そうなんだ。でも、初めて会ったのが君だから、君にすることにするよ! ライズっていうんだね!」

「俺にするってのはどういうことだ」

「君の願いを叶えてあげる! 何でもいいよ! 叶えてあげる!」

「な、何でも叶えてくれる? まじか?」

「うん!」


 ワイットはそう言って頷いた。


「じゃ、じゃあ俺を弱くしてくれ! こんな力いらねぇーんだ! レベルを下げてくれ!」

「??? 変わった願いだね。でも、お願いされたからには叶えてあげるよ」


 ほ、本当に言ってるのか? 弱くしてくれる? まじ?

 嘘じゃねーだろうな。

 前、夢で実は嘘でしたってのを見た覚えがある。またあんな感じじゃないだろうな。


「えい!」


 ワイットは俺の方に手を向けながらそう言った。


「……ごめん無理だった」

「な、何!?」

「どうやら君は不思議な加護で僕の能力を弾いているようだね。その加護を消さない限り、願いを叶えることはできないよ。願いを叶えたいなら、加護を消してからまたきてね」

「な、何だと!?」


 加護って何だ。

 あの時のくそ神が俺に変な加護をかけていったってことか?

 消せったってどうすりゃいいんだよ。あいつに会う方法はわからないし、どうすりゃいいんだ。


「じゃあ、君の願いを叶えるよ!」


 ワイットは今度はスノに向かってそう言った。


「そのライズと戦ってみてくれ!」


 スノは即答した。こいつそれしか頭になかったのか。


「いいけど……本当にそんなお願いでいいの? 君が一番心から願っていることは、それじゃないと思うけど」

「いいんですよ! 一番の願いは自分の力で叶えますから! さあ、戦ってみてください!」

「そうなんだ。わかった。じゃあ戦うよ」


 ワイットは俺に近づいてきた。


「ごめんね。君に恨みはないけど戦おうか。勢い余って殺しちゃったらごめんね」


 なんか戦うことになったな。

 俺も正直恨みはないし、戦う必要はないんだが。

 ぶっちゃけ見ている限りだと、そんな悪い奴にも見えないし。

 まあ、向こうが戦うというのなら、戦うしかないか。


 でも待てよ。


 さっきからこいつ、めちゃくちゃ強そうな感じで振る舞っているよな。

 願いを叶えるとか言ってるし……

 神様くらいだよな、そんなことができるの。

 もしかして俺が感じ取れないだけで、相当強いんじゃないのか?

 意外と戦ったらいい勝負になるかも知れない。

 そう考えると、俺も戦いたくなってきたな。

 よし、やってみるか。


「ホワイトハンマー!」


 ワイットがそういと、真っ白い巨大なハンマーを握っていた。

 それを俺の脳天めがけて、振り下ろす。

 いつも避ける必要がないから、俺は避けなかった。


 あ、やべ。


 もしこいつがめっちゃ強いやつなら、これに当たると結構やばいんじゃ。

 考えているうちに、ハンマーが頭に直撃した。

 結果。

 ノーダメージ。全く痛くなかった。

 逆にハンマーにヒビが入って割れた。


「あれ? 手加減しすぎちゃったかな」


 どうやら手加減していたようだ。びっくりした。

 こんなに弱いハズないはずだ。

 今度はワイットは大きな剣を作り出してきた。

 これに斬られたら多分やばいはず。

 俺は自分も魔法で剣を作り出し、ワイットの剣を受ける。

 スパッとワイットの剣が切れてしまった。


「え?」


 ワイットのきょとんとした声が聞こえる。


「今の結構ちゃんと作ったんだけど……」


 事態が理解できていないという表情だった。

 なるほど。

 やっぱりこいつも大して強くないのか?


「どうしたんです! 本気で戦ってください!!」


 スノが苛立ったような表情で叫んだ。

 今までずっと余裕ぶっていたが、俺とワイットの戦いがこんな感じになるのは、想定外だったのだろうか。


「わかったよ。本気で行くね」


 ワイットが力を放出する。

 お?

 何か高い魔力を感じる。今まで誰と対峙してもこの感覚はなかった。

 それでも強そう、とまでは感じないのだが、ほかの奴らとは別次元の魔力を持っているということはわかった。


「素晴らしい……その魔力……まさにライズが覚醒した時に感じたものです」


 スノは恍惚とした表情を浮かべていた。


「さあ、見せてください!! 最強同士の戦いを!!」


 スノは叫んだ。

 ワイットは力を溜めている。何か大技を放ってきそうな予感がする。

 こいつはやっぱりかなり強そうだな。

 恐らく今までの敵とは違い魔弾《マジック・バレット》一撃で死ぬということはないだろう。

 俺はそう思い、


「魔弾!!」


 魔法を使用した。

 ワイットに魔弾が勢いよく飛んで行き、直撃した。


 そして、ワイットは跡形もなくいなくなっていた。

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