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あれから俺たちはリオンの後をつけていった。
魔物たちと何やら話した後、透明≪インビシブル≫の魔法を使用して、城に入っていった。
「リオンの姿が見えなくなっちゃけど!?」
「どこ行ったんだろ~」
シーラとエミルには、リオンの姿が見えなくなっていたようだ。
力量差があるときだけ、効果を発揮する魔法だからな
俺はリオンより強いので、効くことはない。
「透明≪インビシブル≫って魔法を使って、城に潜入したようだ」
「ええ? 私たちはどうやって入るの?」
「俺たちも使おう」
あまり使うことはないが、俺も使うことはできる。
「わ、私使えないわよ!?」
「シーラも無理~」
「大丈夫だ。透明≪インビシブル≫は複数人にかけることが出来る」
「そ、そうなの?」
エミルは知らなかったという表情でそう言った。
十人までなら、同時にかけることが可能だ。
一人増やすだけで非常に魔力を使うので、これが出来る奴はほとんどいないだろう。
十人同時に魔法をかけられるのは、俺以外いないかもしれない。
透明≪インビシブル≫の察知されやすさは、魔法を使った術者の力で決まる。俺が使ったら、エミルとシーラも誰にも見つかることはないだろう。
ちなみにどれだけ魔力を使っても十人以上はかけられない。
「透明≪インビシブル≫」
魔法を使用した。同時にエミルとシーラも使用する。
これでほかの人からは見えないはずだ。
なお、俺の姿は、エミルとシーラには見えている。同時に透明をかけた場合は、お互いを認識することが可能である。
俺たちも城に潜入する。
城の兵士は俺たちに気づいていない。ちゃんと魔法はかかっているようだ。
リオンのあとをつけながら進んでいく。
食料庫で食べるかどうか悩んでいた。だいぶ食い意地張ってるよな。
途中、リオンの視線がこちらを向いたが、バレることはなかった。
まあ、俺の透明≪インビシブル≫を見破れるものは、この世界に存在しないかもしれない。
先に進んでいき地下に降りる。
牢屋を進んでいき、リオンが使い魔を使って、隠し扉を発見。
四階に降りる。
四階には気味の悪い魔導生物がぷかぷか浮いていた。
「な、なんなのこいつ」
嫌そうな表情でエミルは魔導生物を見ていた。
「魔導生物だな。あんまり見ないタイプだ」
「こ、これ魔導生物なの? 私も見たことないわね」
首をかしげる。
かなり珍しいタイプだと思う。
魔導生物は基本は人型だ。
犬や猫など、ほかの生物っぽい見た目の魔導生物は良くいるのだが、目玉だけというのはあんまりいないはずだ。
今は透明≪インビシブル≫を使っているので、バレることなく先に進む。
その先で、リオンが戦闘を行った。
どうやら透明≪インビシブル≫が、ばれてしまったようだ。
リオンほどの実力者の透明を見破るとは、なかなか実力を持っている敵がいたようだが、あっさりと倒して突破する。
爆発して床に穴が開いた。
リオンが降りたので、こっそり降りる。
魔導生物が大量にいる研究所に到着。
リオンは透明≪インビシブル≫を解除して、倒しまくっていた。
俺たちは透明が効いている状態なので、魔導生物たちはスルーして、リオンの後をつける。
大きな部屋に到着した。
そこでリオンが誰かに話しかけられる。
自分からリオンを魔界送りにしたと白状した。
この女が俺の名前を出して、リオンをおびき出し、魔界送りにしたのか。
その女スノと名乗った。
「ス、スノだと? あいつが?」
驚いて思わず声を上げた。
透明になっているときは、声も届くことはなくなるので、大丈夫だった。
「知ってるの?」
「昔の知り合いだな。あんな感じじゃなかったと思うが……」
眼鏡でおっとりとした奴だったような気が……
顔も声も違うし……別人か? リオンは信じてなさそうだ。
ただ、時折ちょっとマッドサイエンティスト的なところもあった気がする。
純粋に良い奴だったというと、それは違った。
ただ、流石にリオンを魔界送りにするような奴だとは思っていなかったが。
そして、奴は俺の力を感知していたという話をした。
やっぱり予想通り俺の魔力が多すぎて、普通は逆に感知できないんだな。
今も別に魔力は隠していないので、スノが感知できなくなったのは、能力の衰えからだろう。
その後、スノを攻撃したリオンだが、人間みたいな魔道生物が召喚される。
「あ、あれ魔導生物なの?」
「そうみたいだな」
エミルは驚いていた。ここまで人間っぽい見た目の魔導生物は初めてみた。こういうタイプのもあるんだな。
「なんか怖い……」
シーラは怯えていた。
彼女は見た目は子供だが、能力的には魔物の中でも上位に入る。何かに怯えることも少ない。
それこそ魔王であったリオン以外のものには、怯えることはなかった。
そんなシーラを怯えさせるのだから、この魔法生物は非常に強い力を秘めているのだろう。
正直俺には分からないがな。敵の強さを測るのは相変わらず苦手だ。まあ、測る必要も特にないんだが。
リオンは戦闘をし、少しだけ本気を出して勝利した。
流石に強いな。
凄い爆発が起きたが、スノはまだ生きていた。というか、魔導生物の張った防壁のおかげで無傷だった。
スノは打つてなしかと思っていたが、何だか余裕の表情だ。
まだ何か隠し球を持っていそうだな。
そう思った俺の予想は当たり、ゲートみたいなのを開いて、魔導生物を召喚した。
四本腕の魔導生物が召喚された。かなり大きい。見た目は強そうである。
実際どのくらい強いかは分からないが、まあ、多分さっきの女型の魔導生物よりは強いのだろう。
リオンが戦うが回復能力に苦戦を強いられる。
「だ、大丈夫なの?」
エミルが心配そうにそう言った。
これはまずいかもしれないな。
正直、リオンの戦闘を手助けする必要は全くないと思っていた。それくらい魔界で魔王になったということは、凄まじい力を持っていることだ。
魔王を倒せるくらい強い存在が、俺以外にいるとは想定していなかった。世の中広いな。
助けたりすると、リオンのプライドを傷つけることになりそうだし、どうするか。
考えているうちに、リオンが窮地に陥ってしまった。
これは流石に助けるか。
リオンが剣でトドメを刺されそうになっていた。
「魔弾」
俺は透明を解き、魔法を使用。魔法の玉を飛ばして、剣を消し飛ばした。
「治療」
回復魔法を使用して、リオンの傷を治した。
ケガが一瞬で治る。
その後、魔力贈与を使い、俺の魔力をリオンに分け与えた。恐らく完全に回復できたはずだ。
「ラ、ライズ……?」
俺の姿を見て、リオンは驚愕していた。
何が起こったのか分からないという表情だ。
魔導生物、確かマーズと言ったか。
こちらに向かって走り、斬りかかってくる。
「魔弾」
上半身が消し飛んだ。再生能力が高いんだったな。
もう一度魔弾を打ち、下半身も消しとばす。
今まで大抵の相手は、魔弾一撃で倒してきたから、二度打ったのは久しぶりかもしれんな。
「な……」
スノが呆然としたような表情で、俺を見ていた。
「ラ、ライズ・プライス!!」
笑みを浮かべながらそう言った。
なんだこいつ。悔しさというより、喜んでいるように見えた。何だこいつ。
「久しぶりですね! 覚えていますか? 私です! スノですよ!」
「覚えているけど、そんな見た目じゃなかったよな」
「変えたんですよ! ちょっと面倒ごとに巻き込まれましてね!」
どうやら見た目を変えたのには事情があるようだ。
というかなんでこんなハイテンションなんだ。さっき俺はマーズっていう、魔導生物ぶっ倒したよな。
普通慌てふためくハズじゃないのか?
「マーズを瞬殺するとは! あなたしかできないと思っていましたよ!」
「意味わかんないやつだな。何でこの状況でそんな楽しそうなんだ?」
「ちょうど会いたいと思っていたところに会えたのですから、もちろん嬉しいですよ!」
「はぁ……」
何で俺に会いたいと思っていたんだ。こんな変なやつそんなこと言われても、あんまり嬉しくないな。
「まあ、こっちの用としては、俺の名を騙って、リオンを呼び出したのが誰か知りたかっただけだから、それが知れたからもう用はない。お前をどうするかはリオンに任せるよ」
俺はリオンを見ながらそう言った。
「彼女は私を魔界送りにしたいそうですよ」
「そうか。じゃあ、行ってこい。人を魔界に送ったんだから、当然の報いかもな」
魔界に行ったらスノは死ぬ可能性が高いが、俺は止めるつもりはなかった。
リオンも魔界に行って、かなりきつい思いをしたのだろう。だから、魔界送りにした人物をこれだけ恨んでいるんだ。お返しに魔界送りにするくらいはする権利はあるはずだ。
「いえ、まだ行きませんよ。魔界に行く前にやらなければいけないことがありますので」
「そうかい。なんかわかねぇーけど、それをやるのは無理だろうな」
「いえ、あなたがここにきたので、実行可能ですよ」
スノはそう言った。
何を言っているのか、相変わらずわからないやつだ。なぜ俺がきたら実行可能なんだ。
スノは再びゲートを開ける。
何だ? また魔導生物を召喚する気か?
そんなことをしても無駄なのにな。俺の力はよく知っているハズだろう。
「私は魔界のゲートを研究している過程で、魔界の最奥地に凄まじい力を持った存在が眠っていることを感知しました。もしこれを目覚めさせて、召喚すれば、この世界は滅ぶかもしれないと思うくらいの力を持った存在です。どんな性格かわからないので、何をしてくるかは分かりませんがね」
「何だそりゃ」
「この存在とあなたを戦わせてみたくなりました。戦っているところを見れば、どのようにすれば最強の魔導生物が作れるのか、ヒントを得られると思ったからです」
「……」
話が見えないな。
つまりこいつは何をしようとしているんだ?
さっき行った魔界にいる超強いやつを呼び出そうとしているのか?
「さあ、来てください!!」




