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「魔導生物……こいつが」
話を聞いてリオンは驚く。
魔導生物は人型のものもあるが、人間とは似ても似つかない見た目をしているのがほとんどだ。
ここまで人間に近い魔導生物は、リオンは初めて見た。
「リオンさん。あなたが魔界でどのくらい強くなったのか見せてもらいましょうか」
「ふん、瞬殺してやる」
リオンは剣を構え、アリスに斬りかかる。
アリスは両手に光の剣を作成した。どちらも魔力で作られた剣だった。
凄まじい魔力が込められていると、リオンは一眼で分かった。
リオンの剣を難なく受け止める。
アリスは両手に持っている剣を、高速で動かし何度も斬ってくる。
リオンは何とか剣で受け止めるが、
「ちっ!」
一撃一撃が重い上、手数がかなり多いのでリオンは徐々に押され始める。
「なかなか強いでしょ? 魔導生物に魔界の瘴気を吸収させると、非常に強力になるということが研究で判明したんですよ。ゲートを繋げる研究をしていたのは、これが理由です」
スノが上から見下ろしながら、そう言った。高みの見物をしていた。リオンはその態度にかなり苛立つ。
(ふざけやがって)
本気で戦うつもりはなかったが、リオンは少しだけ力を解放した。見た目が変貌する。
黒い尻尾が生えていた。完全に解放すると、悪魔のような姿になるのだが、今回はこれだった。
体のスペックが上がり、アリスの高速の攻撃が遅く感じる様になる。
リオンは悠々と攻撃を捌きながら、魔法を唱えた。
「闇魔砲」
闇の玉がリオンの手から放たれ、アリスに一直線で飛んでいく。
直撃した後、大爆発が起こった。
凄まじい爆発だ。もしかすると、スノも巻き込んで死んだかもしれない。
もっと色々話を聞き出した上で、制裁を加えたかったが、死ぬなら死ぬでいいとリオンは思っていた。
「凄い攻撃ですね。でも、まだ本気じゃなさそうだ。思ったより強くなりましたね。リオン」
スノの声が聞こえてきた。彼女は死んでいなかった。
アリスも死んでいなかった。魔法の防壁を張り、先ほどの攻撃を防いでいた。スノもその防壁のおかげで無傷で済んだようである。
本気の魔力は込めていないとはいえ、自分の闇魔砲を防がれて、リオンは内心驚く。
「まだ甘く見ているようですね。私のアリスを。油断してたら死んでしまいますよ」
スノはそう言った後、指をぱちんと鳴らした。
「解放」
そう言った直後、アリスの額に埋め込まれた宝石が、輝き始めた。
強い光を放つ。凄まじい魔力を放っていることが分かった。
ドレスがいつの間にか鎧に変わっていた。髪も短くなる。さらに大きな槍を手に持っていた。
「殲滅モード解放しました。これより対象を跡形もなく殲滅します」
アリスは機会のような声でそう言った。見た目は人間だが声からは人間味を一切感じなかった。
ものすごい速度でアリスは動き、リオンの心臓を狙って突きを放ってきた。
「闇壁!!」
咄嗟に魔法で防壁を張る。
槍が壁に当たった瞬間、ものすごい音が鳴り響く。防ぎ切ることには成功したが、壁にヒビが入り、崩れていった。
リオンは本気を出さないと勝てないと悟る。完全に力を解放した。
二本の角と、翼が生えてくる。
「なんと!」
その姿を見たスノは驚いて目を見開く。
リオンは剣を振り、アリスに斬りかかった。
槍で防ぐが、凄まじい力に体勢を崩した。
「闇炎爆!」
野球ボールくらいの真っ黒い炎の玉が、リオの手に発生する。それをアリスに投げつける。
体勢を崩していたアリスは避けきれない。もろに直撃する。
当たった瞬間、大爆発が発生する。
物凄い爆発に、部屋にあったものをのけ並み消し飛ばした。
「ギギギ……」
爆発を受けたアリスは原型は保っていた。しかし、頭は半分もげ、腕も一本なくなっている。
動いてはいるがぎこちない動きしかでいないようだった。
この爆発でスノも死んだのだろうと、リオンは思っていると、
「素晴らしい! まさかそこまでの力を持っていたとは!」
スノは拍手をしながらそう言った。
「なぜ生きている」
「アリスは私を守護するための魔導生物ですので。私の身を守るのを最優先にしたのでしょう。防壁を貼ってくれました」
スノはアリスに守られたようだった。
「まあ、その方が私としても好都合だ。爆発一撃で死んでしまっては、味気がないからな」
「怖いですね〜。何をする気なのですか?」
「まず貴様からすべての情報を引き出した後、魔界に送る。魔界の虫どもに全身を食われて死んでもらう。貴様のような人間には相応しい末路だ」
「魔界に行くのもなかなか楽しそうですが、遠慮しておきます。私は戦闘力がないので、リオン君のように生き残ることは不可能でしょうし」
「貴様に断る資格はない」
「くくく」
スノは笑みを浮かべる。かなり追い込まれている状況のはずであるが、焦りや不安の色は顔には見られなかった。
「いいでしょう。私が作った最強の魔導生物をお見せしますよ」
「!」
「使うつもりはなかったのですが、あなたが思ったより素晴らしい力を身につけていたので。ご褒美です」
スノは笑みを浮かべた。
その後、指をパチンと鳴らす。
「出よ。マーズ」




