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【3月15日書籍発売】アラサー魔導士の辺境湖畔暮らし〜初級魔法で魔王を瞬殺してしまった俺は、無気力に引きこもりたい〜  作者: 未来人A
第八章 復讐

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 リオンは報告を受け、部下を収集していた。

「グランツェの研究所がある場所を突き止めました。どうやら、王城の地下5階にあるようです」

「王城か。まあ、予想はしていたな」


 魔導生物の開発は、どの国も秘密裏に行っている。グランツェはラポン国の支援を受けて、研究をしている組織であるならば、王城にある可能性が高かった。


「殴り込みに行きますか!?」


 血気盛んな魔物がそう言った。


「いや、お前らは来るな。私一人で行く。下手に行って騒ぎになって逃げられたらまずいからな」

「ま、魔王様自ら行かれるのですか?」

「当然だ。私を魔界送りにした報いは、私自身の手で受けさせる」


 リオンは怒気を漏らしながらそう言った。リオンの気迫に魔物たちは気圧されて、ブルブルと震える。


「ど、どんなことをされるつもりやら……」「か、考えるだけで恐ろしい……」


 魔物たちがブルブルと震えながら呟いた。


「それでは早速行ってくる。貴様らは余計な騒ぎを起こさず、ここに待機していろ」

「りょ、了解です!」

「もし暴れたりしたら……分かってるな?」

「は、はい!!」


 魔物たちは、一斉に平伏しながらそう言った。

 リオンは魔物たちを尻目に見ながら、王城へと向かった。


「さて、やるか」


 王城付近に到着し、リオンは魔法を使用する。


「透明《インビンシブル》」


 すっと、リオンの姿が薄くなり透明になった。

 姿を透明にする魔法だ。姿だけでなく、気配も消せる。

 強力な魔法だが、自分より魔力がかなり劣る相手でないと、察知させられてしまう。

 ちなみに透明を使いながら、戦闘用の魔法は使用できない。戦闘に使えない魔法なら、使うことが出来た。


(まあ、私の透明を見破れるのは、ライズくらいしかいないだろう)


 魔王まで上り詰めたリオンは、自負があった。

 王城に行くにはまず門を通る必要がある。

 城門は閉まっていたが、リオンは空中を飛んで通り抜ける。

 空中を通り抜ける人間を探知して、警報を鳴らす魔法がかかっていたようだが、素通り出来た。

 透明を使っていると、魔法の感知にも引っ掛からなくなる。

 誰にも勘付かれることなく、リオンは城門を突破する。

 王城前に到着。大きな扉がある。強引に開けることもできるが、そうすると騒ぎになりかねない。

 リオンは飛んで、王城に空いてる窓があるかどうかを確認する。

 三階の窓が開いていた。

 そこから侵入した。

 食糧庫だった。美味しそうな食材が大量に置いてある。


「……」


 食の誘惑があったがなんとか耐えて、リオンは部屋を出た。

 グランツェがある場所は地下五階。

 階段を探し、下の階に降りていく。

 一階まで降りた。リオンは地下に行く道を探した。

 一階には大勢の使用人や警備兵がいたが、誰一人リオンの存在には気づかない。

 探索し続け、地下に向かう階段を発見した。

 急いで降りる。

 地下一階は地下牢だった。

 罪人が捕らえられている。

 ラポン国は治安のいい場所のようで、ほとんどの牢が空いていた。

 下に行く階段を発見し、降りていく。

 三階まで地下牢が続いていた。

 四階に行く階段を探すが見つからない。


(隠し通路? 面倒だな)


 三階には罪人もいなければ、門番もいなかった。使われていないようだ。

 リオンは探索を行う。


「使い魔召喚《サモン・ファミリア》」


 魔法を使用する。羽の生えた黒い小型の生物が大量に召喚された。

 これは使い魔である。魔法で召喚できる生物だ。

 人間の指示に従い行動することが出来る。

 戦闘力はほぼないが、雑用などを任せるのには便利だ。

 一匹召喚するのに、それなりに魔力を消費するので、並の魔導士では一匹召喚するのがやっとである。

 その使い魔をリオンは二十匹以上は召喚していたが、涼しげな表情をしていた。この程度の魔力消費は、彼女の総魔力量を考えると、消費したうちに入らなかった。


「隠し通路を探せ」


 使い魔に命令する。

 もし階段が存在しないようであれば、バレるリスクはあるが、穴を開けて下の階に行くつもりだった。

 使い魔たちがリオンの指示を受け、一斉に隠し通路を探し始める。

 その様子をリオンは見守る。

 一匹の使い魔が、牢屋の中にある壁を触る。


「キュイキュイ!!」


 使い魔が何かあると言いたげに声をあげる。

 リオンはその壁を見た。


(これは……スイッチか? 押してみるか)


 罠の可能性もあったが、もし罠でも対処する自信はあった。

 リオンは躊躇なく、スイッチを押す。

 ゴゴゴ……と音が低い音が響き渡った。

 牢屋を出てみると、奥の方に階段が出現していた。


「よくやった。帰還《リターン》」


 リオンはそう言って使い魔を返した。光に包まれ、使い魔たちが消えて行く。

 階段を降りる。

 すると、大きな赤い球体が階段にふわふわと浮いていた。

 真ん中には大きな目玉がある。


(これは魔導生物か。初めて見るタイプだな。私がいない間に開発が進んだか)


 造形的に魔導生物であるとリオンは推測した。

 魔導生物は日々開発が進んでいる。長い間、魔界にいたリオンだと、見たことのないタイプの魔道生物がいても不思議ではなかった。

 透明《インビシブル》は、魔導生物だろうと例外なく効果を発揮する。

 気づかれることなく、リオンは先に進んだ。

 四階に降りる。

 だだっ広い空間に出る。天井に光魔法で作られた照明がたくさんあり、かなり明るい。

 部屋の中央に先ほどの目玉を巨大にした魔導生物が、一体だけふわふわと浮いていた。

 リオンは今回も気づかれることなどないと思い、進んでいく。

 すると、


「!」


 魔導生物の目が、リオンの方を向いた。

 そして、目がぴかりと光る。

 攻撃が来ることを察知し、リオンは咄嗟に透明を解く。

 魔導生物の目から、魔法光線が放たれた。


「闇壁《ダーク・ガード》」


 リオンは魔法を使用する。

 魔法の壁がリオンの目の前に展開され、光線を防ぐ。

 壁に当たると同時に大きな爆発が発生する。

 高威力の攻撃であったが、リオンの魔法防壁はダメージを受けなかった。


(ここまで強力な魔導兵器があるとはな)


 あっさりと攻撃を防いでおきながら、リオンはそう思った。

 自分の使った透明《インビシブル》を察知されたのと、先ほどの魔法光線の威力から、凄まじい力を秘めた魔導生物だと、リオンは思った。

 なるべく敵にバレないように戦闘をしたいと、リオンは思っていたが、こうなってしまうとそれも難しそうだとリオンは悟る。


「なるべく早く終わらせよう」


 リオンは剣を抜いた。

 魔導生物は、リオンに向かって魔法光線を連射する。光線は物凄い速度で飛んでいくが、リオンはそれを全て見切った。全て剣でガードする。

 攻撃が止まった瞬間、リオンは一気にジャンプ。一瞬で魔導生物に接近。


「ふん!」


 斬りかかった。

 魔導生物は一刀両断され、あっさりと地面に落ちた。


「!!」


 魔導生物が光り始める。


「闇壁!!」


 攻撃を察知したリオンは瞬時に魔法を使用。目の前に闇の壁を出現させた。

 数秒後、魔導生物が自爆をした。轟音が響き渡る。

 その後、土煙が立ち込めた。しばらくすると晴れる。

 床に大きな穴が空いていた。五階が丸見えになっている。


「ちっ」


 リオンは舌打ちをした。凄まじい爆発だったが、闇壁を張っていたのでダメージはゼロだった。

 ただ、今の爆発でリオンがいることをグランツェの人間は知ってしまっただろう。

 逃げられるかもしれない。

 ここまで来たからには、出直すつもりはなかった。なるべく早く探索し、この組織について一つでも多く情報を仕入れる必要がある。

 爆発で空いた穴からリオンは五階に降りた。そして、急いで五階の探索を始める。

 透明《インビンシブル》は効果がないと判断し、使わずに五階に突入した。

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