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【3月15日書籍発売】アラサー魔導士の辺境湖畔暮らし〜初級魔法で魔王を瞬殺してしまった俺は、無気力に引きこもりたい〜  作者: 未来人A
第八章 復讐

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 その後、昨日の熊の肉が残っていたので、それで朝飯を作った。

 今回はステーキにして食べる。

 脂身の多い部位をしっかり焼いて食べた。

 臭みもなく、しっかりとした味のするいいステーキだった。朝から良いものを食べられたな。


「それじゃあ行くか」

「この家はどうするの?」

「残して良いんじゃないか? シーラは残したりして魔力が使ったりはするんだっけか?」

「大丈夫だよ! 作ったらずっと残しておける!」

「じゃあよさそうだな」


 残しておくことになった。後日誰かだ住むだろうか。ニュースになったりする可能性もありそうだな。前もなってたし。

 この建物は模様は確かに変だが、形は普通の家なので、多分ニュースまでにはならないと思う。

 俺たちは家を残して、飛び立ちラポンへと向かった。


 それから適度に休み休み飛行を続け、ラポン国に到着した。

 時刻は朝。パラパラと雪が降っていた。今はどちらかというと暖かい時期のようで、積もったりはしていなかった。

 街並みには非常に綺麗だった。建物一つ一つに品がある。

 あまり人は出歩いていなかった。そのためか路上もゴミが落ちまくっていたりはしておらず、綺麗だった。

 ぱっと見住みやすそうな街ではあるが、寒いから住みにくいのだろう。

 俺は寒さを感じない体質なので、涼しいくらいにしか感じない。ここで住むデメリットもないし、住んでもいいかもしれない。


「うう〜。寒い」


 エミルは寒がっていた。

 この気温なのに、いつも通り露出の大きな衣装を着ている。


「もっと厚着すればいいんじゃないか?」

「だ、駄目よ! 寒さに負けたことになるわ! この程度の寒さ克服してみせる!!」


 なぜか気候と勝負していた。修行感覚なのだろうか。正直理解はできない。

 本人がそう言うんだから放っておくか。高ランクの冒険者なだけあって、体は強そうだし、風邪は引かなそうだ。もし引いたら魔法で治してやろう。


「リオンたちはどこにいるのかしら?」

「さあな。この街にいるのは間違いないと思うが……」


 ここは人口も少なめの街ではあるが、一応一国の王都なのでそれなりに広い。

 手がかりなしで探すのは困難だろう。

 リオンたちも目立たないよう、隠れて活動してそうだしな。

 目立った活動をしたら、リオンを魔界送りにしたやつに気づかれて、逃げられる可能性もある。

 結構な数を部下を連れて行っていたが、正直、ライラ以外の部下の顔を覚えていない。見たらわかるかもしれんがな。

 軽く街中を探してみたが、見つからない。

 歩いていると町の港が見えた。

 綺麗な海だ。この時期はまだ海が凍っていないようである。

 釣り人も何人かいる。


「よし、釣りをするか」

「リ、リオンたちはどうするのよ!」

「探していなかったし、多分建物の中に潜伏してんだろ。今は釣りを先にしよう」

「釣りがしたいってだけじゃないわよね」


 怪しむような目でエミルは見てきた。

 図星だったので、俺は目を逸らした。この海を見ていると、釣りがしたくなってしまった。

 ちょっとだけ釣りをしてから、あとから探せばいいだろう。

 俺はそう決めて、釣りの準備をした。


「仕方ないわね~」

「釣りしよ~」


 エミルとシーラは俺に付き合ってくれるようで、釣りの準備を始めた。

 シーラの力で桶を作り、そこに海水を入れた。

 さて良い魚が釣れるか。

 餌をつけて、海に投げ入れた。

 しばらく待つ。

 中々辺りは来ない。まあ、そう簡単に釣れないか。

 気長に待っていると、


「わ!」


 シーラの竿に当たりがあった。竿のしなりから見て、それほど大物ではなさそう。

 魚を釣り上げる。

 銀色の鱗の魚が釣れた。小さめの魚だ。結構おいしそうである。


「やったー、釣れた!」


 シーラは魚を見て、無邪気に喜んでいた。彼女も何回か釣りをして、上手になってきたな。

 釣り糸を外して、桶に魚を放った。元気よく泳ぎ出す。

 この魚は確か……ミムという魚だったはず。直接見たことはないが、前図鑑で読んだ。

 焼くと美味しいらしい。味は食べたことないので分からない。食べるまでのお楽しみだ。

 俺の竿にはなかなか辺りが来ない。

 エミルも同じく、ミムを釣っていた。サイズはシーラが釣ったのより少し小さめだ。


 しばらく釣ってようやく俺の竿にも当たりが来た。

 結構大きな当たりだった。ミムではなさそうだな。

 ゆっくりと釣り糸を引き上げていく。

 赤い棘のある魚が釣れた。サイズは三十センチメートルくらい。こいつは確かブロンという魚だったな。

 骨が多めで食べるところは少ないが、煮込むといい出汁が取れて美味しいらしい。スープにして食べてみよう。

 棘があるので、これでミムを傷つけてしまう可能性がある。

 新しい桶を作って、そこに海水を入れ、ブロンを入れた。


 釣りを継続する。エミルとシーラがミムを次々釣り上げていく。ただ、俺はブロン以降ヒットせず、釣ることが出来なかった。

 まあ、こういう日もある。一匹釣れただけ良しとしよう。


「今日は同じお魚だけど、いっぱい釣れて楽しかったわ〜」

「シーラも〜」


 たくさん釣ったシーラとエミルは楽しそうにしていた。ちょっと悔しいが、二人が釣りにハマってくれるなら、それでいいとしよう。

 俺は一匹しか釣れなかったが、エミルとシーラが釣ったミムがたくさん釣っていた。数えて見たら、全部で十五匹釣っていた。一匹一匹は小さいが十五匹いればなかなかの量だ。今日は豪華な食事が作れそうだ。

 ちょうどお昼でお腹が空いていた。早速調理してみよう。


 最初にブロンを使ったスープを作ろう。

 鍋に水と調味料を入れる。

 そして、ブロンに生えている棘を全て取り、調味料を入れた鍋に投入する。

 火をつけて煮込んでいく。

 煮込んでいる間に、ミムの調理を行う。まずは内臓を取る。ちょうど捨てられていた木材が近くにあったので、それを魔法で棒状にし、それをミムに突き刺した。

 残りの木を使って、焚き火を作る。魔法で焚き火の上に、ミムを浮かせる。焼きすぎると美味しくなくなるので、適切な位置を保てるよう注意しながら焼いていった。


 しばらくすると、焦げ目がついてきた。このくらいがちょうどいいな。火を消した後、皿に盛り付ける。

 スープもいい感じで煮込まれていた。お椀に注ぐ。

 ミムの塩焼きと、ブロンスープが完成した。どちらも見た目も匂いも美味しそうである。


「美味しそうね!」

「良い匂い〜」


 エミルとシーラがそう言った。味もよければいいが。

 早速、食べてみよう。


 俺はミムが刺さっている棒を手にとり、食べる。


 うまい。

 脂身が少なめだが、しっかりした味のある肉だった。塩で味付けをしたが、マッチしていて非常に美味しい。

 骨も硬くないので、そのまま食べられた。


「美味しいわね! 良い焼き具合だわ!」

「このお魚シーラが釣ったやつだ〜。美味しいね〜」


 エミルとシーラも焼き魚を美味しそうに食べていた。

 スープもいただく。魚の旨みがしっかりと出ており、美味しいスープになっていた。

 どちらも美味しくて大満足の出来だった。


「おい、ここで何をしている」


 満足しながら食事をすると、そう声をかけられた。

 聞き覚えのある声だった。

 振り向く。

 リオンがイライラした表情で佇んでいた。


「そっちから来てくれるとは、探す手間が省けた」

「……なぜここにいる」

「お前がこの国に行ってるって、ライラから話を聞いてな。俺も誰がお前を魔界に送ったか気になるし来てみた」

「ライラか。なるほど、やつにはあとでしっかりと教育をせねばならんようだ」


 怖い表情でリオンは言った。ひどい教育を行いそうである。まあ、ライラなら逆に喜ぶかもしれない。


「全く、港を捜索していて、何かいい匂いがすると思って近づいたら、貴様らだったとはな……」


 匂いに釣られてきたのかよ。リオンもエミルに負けず劣らず、食欲あるよな。

 ミムは大量に釣れたので、まだまだ余っている。スープも鍋に少し残っていた。


「食べていくか?」

「い、いや……私は調査の途中で……」

「食べないの? じゃあ、私が全部食べちゃうわよ」


 リオンの反応をエミルがミムを食べようとする。


「待て。こっちにきてから探しっぱなしだったし、疲れた。たまには休息も必要だ。いただくとしよう」


 リオンが座りミムを手に取り食べ始めた。彼女の体力なら、全く休憩を取らずに数日は動けそうではあるがな。よほど食べたかったのだろう。

 ミムを貪るようにリオンは食べる。

 一匹食べると無言で、もう一匹食べ始めた。


「が、がっつきすぎよ!」


 全部食べられてしまうと思ったエミルは、自分も負けじとミムを食べ始めた。

 数分で全部なくなってしまった。


「もうないのか」


 食べ足りないのかリオンがそう言った。

 十五匹釣ったが、小さめの魚だったので、四人で食べると微妙に物足りない量だった。


「よし。釣ろう」

「……調査はいいのか?」


 俺がそう聞くと、リオンは無言になった。どうするか考えているようだ。


「部下に任せているし、ちょっとくらいは大丈夫だ」


 そう言って、リオンは釣竿に餌をつけ、糸を海に投げ入れた。

 最初はなんで釣りなんかすると言っていたけど、釣りで獲るんだな。魚自体は魔法で簡単に取ろうと思えば取れるが。

 リオンも釣りにハマって来たということだろう。いいことだ。

 先ほど俺は釣れなかったが、リオンはどうだろうか。

 気になって見ていると、あっさりミムを一匹釣り上げた。

 そこからさらに二匹三匹と次々に釣り上げる。

 エミルとシーラよりも早いペースで釣っていた。

 こんなに釣れるということは、俺たちが釣りをしている場所の辺りには、ちょうどミムの群れがいる可能性が高い。

 それで一匹も釣れなかった俺は一体なんなんだ。竿のゆらしかたをミスったか? 単純に運がなかっただけだろうか?

 十匹釣って満足したのか、リオンは釣りをやめた。


「これは私が調理しよう」

「お前料理とか作れるのか? この前変なの作ってなかったか?」


 ライラに向けて料理を作っていたが、確かやばいものを作っていた。

 大丈夫なのだろうか。


「あれは魔物用の料理だ。魔界にいた時は、ああいうのを作って部下をよりこき使えるようにしていたんだ。魔界でも一人で料理はしていたし、この世界で冒険していたときも私が作っていた時があっただろうが」

「それはそうだったな」


 冒険者として生活していた時は、料理役は交代でやってた気がする。

 そういえばリオンの料理はそこそこ美味しかった。結構、凝った料理を作った時もあったと記憶している。


「調味料借りるぞ」

「分かった」


 俺が持ってきた調味料を使って、リオンが料理を始めた。

 調味料を混ぜて茶色いソースを作る。美味しそうな匂いだ。

 ミムの内臓を取り出して、そのソースにしばらく漬ける。


「これどういうソースなんだ」

「昔、母から教えてもらった特製のソースだ。甘辛い味だ」

「ほう」


 確かに結構砂糖を入れてたな。美味しそうだな。

 三分ほど漬けたら、取り出して焼き始めた。

 めちゃくちゃ美味しそうな匂いが漂ってくる。

 そのまま焼き続け、焦げ目がついてきたところで、リオンは焼くのをやめた。


「よし、完成だ」


 完成した。リオン特製ソースのミムの照り焼きとでもいうべきか。

 かなり美味しそうである。


「い、一匹食べていい?」


 エミルがそう尋ねた。リオンが少し悩むような表情をする。


「……まあ、さっき貰ったから一匹くらいはいいか。一匹ずつ食べていいぞ」

「ありがとう!」


 渋々と言った様子で許可をした。本音は全部自分で食べたいんだな。

 許可を貰ったので、俺とシーラも貰う。

 早速一口食べてみた。

 美味しい。

 ソースの味が思ったよりも良かった。

 甘辛のソースだ。出来ればご飯も食べたくなるような味だった。


「お、美味しいわね!」

「ふ、当然だ」


 リオンはドヤ顔してそう言った。


「美味いな。そのソースのレシピ教えてくれないか?」

「これは秘伝の味だから、教えられんな」

「秘伝ってなんだよ。あとで店でもやるきなのか?」

「やるわけないだろ」


 教えて欲しかったが、リオンは絶対教えてくれなかった。なんなんだ。


「リオンお姉ちゃんも料理上手なんだね〜」


 シーラは目を輝かせて、そう言った。

 リオンはその後、自分でも食べ始める。

 うんうんと頷きながら、残りのミムを全て食べて行った。


「流石私だ」


 全て食べ終え、満足そうな表情でリオンはそう言った。


「ところで捜索の方はどうなったんだ? お前を魔界に送ったやつが、この国にいるんだろ?」

「ふん、お前に教える義理はない」


 視線を逸らしてリオンはそう言った。なぜこんなにツンケンしてるんだか。


「魔王様〜!」


 遠くからそう声が聞こえてきた。

 これはライラの声だな。

 遠くからライラが全力で走ってくる。


「例の組織の場所が見つかりました!」

「何! 本当か?」


 ライラの報告を聞き、リオンは表情を変える。


「例の組織ってなんだ?」


 俺が尋ねると、しまったという表情をリオンは浮かべる。


「ちっ。ライラ、そんな大声で報告をするな」

「あ、す、すみません!」


 リオンに叱られて、ライラは土下座をする。


「もういい。行くぞ」


 リオンがライラを立たせ、どこかに向かおうとする。

 例の組織とやらがある場所に行く気だろうか。


「付いてくるなよ」


 リオンが振り返って、そう言ったあと、急いで去っていった。

 俺はそんなリオンに、とある魔法を使用した。


「行っちゃったけど、どうするの?」


 エミルが尋ねてくる。


「もちろん後を付ける」

「で、でもバレないかしら」

「奴にこっそり追跡魔法をかけておいた。場所はいつでもわかるさ」

「つ、追跡魔法って……」


 エミルが驚いたような表情を浮かべる。

 追跡魔法はその名の通り、特定の生物、魔物など動くものを追跡する魔法だ。これをかけた相手がどちらの方向にいるのかが、視界に矢印で表示される。

 この魔法は習得難易度がかなり高い。その上、習得しても魔法をかけられる相手は、自分より遥かに弱い相手に限られる。

 一流の実力を持つものが使っても、鳥など小動物にかけるのが精一杯だ。人間にかけれるものはほとんどいないだろう。基本は追跡対象が飼ってる動物などにかけて、追跡するというのが一般的な使い方だ。

 俺はレベル9999なので、大抵のものにかけることができる。今までできなかった事はない。

 相手が魔王であるリオンでも例外ではない。

 追跡魔法をかけていたので、リオンのいる方向に矢印が表示された。


「さて、後を付けるぞ」


 俺たちはリオンを追跡し始めた。

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