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「ラポン国に行くのか?」
「はい! ついに手掛かりが見つかったんです!」
なんかリオンたちが準備をしているので、ライラに尋ねたらあっさり答えた。
手がかりっていうのは、リオンを魔界送りにしたやつのことか。
正直、気になっていた。俺の名前でリオンを呼び出したから、俺のせいにされたわけだし迷惑もかけられている。
それからラポン国もちょっと行ってみたいと思っていた国だった。
理由は……いつも通り釣り関係である。
ラポン国はここからかなり北、寒い地域にある国だ。一年中冬という国で、人口も少ない。まあ、あんな寒いところに暮らしたいと思う人はそんなにいないだろうな。
国の面積も広くない小国である。
この国は海に面している国で、最北端にあるツード海という海がある。
場所が場所だけに、水温が非常に低い。住んでいる魚も低水温でしか生きられない魚が多く、他の海では見られない魚が多数生息している。
味もめちゃくちゃ美味しいらしい。ラポン国内では、漁業は大きな一大産業になっているようだ。
釣り好きとしては一度は行ってみたい国である。
ちなみにめちゃくちゃ遠い。行こうと思っても遠いしいいか、となっていた。
ちょうどこんな機会だし、行ってみるか。
「ラポン国のどの辺りに行くんだ」
「王都ですね」
王都か。確かラポン国の王都は、ツード海に面した場所にあったはず。海岸沿いに王都があるのは、そこまで珍しくもない。
王都に行けば釣りもできると言うことだ。かなり都合がいい。
「それでは私は準備をしてきますね!」
「分かった。ありがとう」
ライラが大急ぎで去っていった。
「何だかリオンたちが騒がしいのよね。何かあったの?」
リオンたちの動きを不審に思ったエミルが、そう尋ねてきた。
俺は事情を説明する。
「へー。良かったじゃない」
あんまり興味なさそうだった。
「俺は、その手掛かりがあるラポン国ってところに行くつもりだけど、お前は来るか?」
「え? 行くの?」
意外そうな表情をエミルは浮かべる。
「も、もしかしてリオンのことが気になるのかしら……」
エミルが尋ねてきた。なぜかちょっと不安気な表情だった。
「ん? リオンが気になるってか、リオンを魔界に送ったやつが気になるんだ。そいつは、俺の名前を使ってリオンを誘き出したらしいからな。気になるだろ? 出来れば一言文句を言ってやりたい」
「そ、そう。それなら良かった」
「あと、ラポン国は魚が釣れる国だから、行ってみたい」
「そ、そっちが本心じゃないの?」
エミルは呆れたような目で見ていた。どこか安心したようにも見えるが気のせいか?
「シーラも行くね!」
それからいつも通りシーラも一緒に行くことにした。まあ、シーラだけ残すわけにはいかないしな。
早速準備をした。
俺たちが準備をしている間に、リオンが部下たちを引き連れて先にラポン国に向かった。
準備を終わらせたあと、俺たちもリオンたちを追うような形で、ラポン国へと向かった。
「遠いわね。まだ着かないの……」
出発してから十時間経過したが、まだ付かなかった。
移動速度は二人に合わせているので、俺は全力では移動してない。流石に全力で移動すれば十時間もあれば到着する。今の速度だと三日はかかるかもな。
どんどん北に行くので、ちょっとずつ空気がひんやりしてきていた。もしかして寒いのかもしれないが、レベル9999になってからというもの、寒いという感覚になったことがないので、涼しくなってきたな程度にしか感じなかった。
あたりも暗くなってきていた。普通ならそろそろ食事をする時間である。
「今日はここで休憩するか?」
エミルが疲れてそうに見えたので、俺はそう提案した。
「だ、大丈夫よこのくらい。夜通し飛ぶことだってできるんだから」
「そりゃ流石に不健康だろ。一旦降りて休もう。心配なんだ」
「し、心配って……!?」
エミルは顔を赤くした。
「わ、わかった。休みましょう」
素直に受け入れた。三人で地上に降りる。
草原に降りた。
近くには森がある。
「簡易的な家でも作るか」
「シーラが作るよ!」
シーラがそう言って、能力を使用し、家を作成した。
外見はいつものマーブル模様で個性的だが、中は温度は暖かく、ふかふかのベッドやソファーなどもあり、かなり快適な空間だった。
俺も魔法を使えば、それほど苦労できず家っぽいのは作れるが、ソファー見たいな家具は簡単には作れない。改めてシーラの力はすごい便利だな。
「お腹減ったわね……」
エミルがそう言った。
色々材料は持ってきたが、食材は調味料と水くらいしか持って来ていない。基本は現地調達で行くつもりだった。
近くは森だし、この辺りも何かいそうだ。探してみるか。
「探査」
俺は魔法を使う。周辺の地形などを調べる魔法だ。地形だけでなく、周辺に生き物がいるかも調べることができる。
目の前に円形の地図が浮かび上がる。周辺の地形を写していた。地図の中には白い点がいくつかある。これが生き物である。虫などの極小の生物は写し出されない。体重二十キログラム以上くらいは必要だったはずだ。明確な数字は忘れたけど、ある程度大きくないと表示されないはずだ。
俺と中心に二つの点が表示されている。これは俺とエミルの点だ。
ちなみに魔物はこの魔法では探査不可能なので、写し出されない。シーラは魔物なので写されなかった。
この魔法を釣りの際に使えば、大物がどのあたりにいるのか調べることも可能ではあるが、釣りで使うことはなかった。場所がわかってたらつまらないからな。
この魔法以外にも、釣りに役立てようと思ったら、役立てられる魔法は結構あるが、基本的に使うことはない。
早速白い点が表示されている場所へと向かおう。
「ちょっと食材をとってくる」
「私も行くわ!」
「いや、大丈夫だ。すぐ終わることだしな。シーラの面倒見ててくれ」
「……わ、分かったわ」
エミルは納得して、家にいてくれた。
家を出て地図を見ながら、生き物のいる場所へと向かう。
到着した。大きな熊がいた。
これは大物だな。熊も一応食べることはできる。
「がああああああ!!」
腹が減っていたのか、熊は俺を見るなり襲いかかってきた。
「魔剣」
魔法の剣を作る魔法で、熊の首を一撃切り落とした。
それからすぐに解体作業を始める。すぐにやらないと、肉が不味くなってしまう。
血を抜いて、内臓を摘出した。皮を剥いだあと、肉を部位ごとに切り分けていく。
かなりの量になったな。数日はこれだけで十分そうだ。
近くにある、食べられる野草を収穫し、シーラが作った家に戻った。
「ただいま」
「おかえり。大物ね」
「うわ〜。お肉いっぱいだ〜」
シーラとエミルは肉を見て驚いてた。
「何の肉なの?」
「熊だ」
「あんまり食べたことないわね。美味しいのかしら?」
エミルが不安そうな表情をする。熊は数がそんなに多くないので、普段から食べられたりはしない。
「ちゃんと捌けばめっちゃ美味いぞ」
俺は何回か食べたことがあった。アブロ湖の近くにもたまに出るのでるので、でたら倒して食べる。レベル9999になる前も、冒険をしていたので、倒して食べることもなった。
意外と臭みもなく、肉も硬すぎずしっかりと旨みがある。熊鍋にして煮込めば、美味しい料理になる。
早速、鍋に水を入れる。
取ってきた野草、それから調味料と一緒に熊の肉を煮込む。
しばらく煮込んだ。美味しそうな匂いが漂ってくる。
「そろそろいいかな」
火を消して、お椀に入れる。
「いただきます!」
エミルが早速食べた。
「美味しいわね!」
目を輝かせながらそう言った。
「こんなに美味しかったら、倒した時食べたら良かったわ!」
エミルはそう言った。まあ、ラウント山に修行しに行ったりしていたから、熊自体は倒したことはあるのか。すぐに血と内臓を抜かないと生臭くなってしまうので、普通に食べても不味かったと思う。
「美味しいねぇ〜」
シーラは美味しそうに食べる。
俺も食べてみるが、美味しかった。出汁もしっかりと出ていた。上手に作れたと思う。
すぐに完食した。
それからシーラの部屋でのんびりと過ごし、夜遅くなったので寝た。
シーラがベットをそれぞれ作ってくれた。かなりふかふかのベッドで気持ちよかった。
ここで暮らせるくらいだが、この家はあくまで仮宿だ。これだけいいと取り壊すのもあれだし、残して行くか。誰か住むかもな。
「おやすみ」
「お、おやすみ。こっちのベッドに入ってこないでよね!」
「入るわけないだろ」
「そ、そう?」
なぜか残念そうにエミルがそう言った。よくわからない反応だな。
ふかふかのベッドで眠りについた。
翌日。
起きると、シーラが俺のベッドに潜り込んでいた。
俺の腕を枕にして、気持ちよく寝ている。
正直、かなり可愛いな。
父性が湧いてくる。人の親になったらこう言う気持ちなのだろうか。
「むにゃむにゃ。お兄ちゃんだ〜」
寝ぼけている様子のシーラが、俺にくっついてきた。
シーラの顔が息がかかるくらい近くにある。
俺もロリコンではないので、シーラくらいの少女が近くにいても、特に何か思うことはない。
しばらくこのままにしておこう。
そう思っていたら、
「な……何してるの?」
横からエミルの声が聞こえてきた…
「え?」
「ロ、ロリコン!!」
ちょっと引いた顔でエミルがそんなことを言ってきた。
「誤解だ!!」
とんでもない誤解をされたので、すぐに起き上がる。
俺は事情を説明し、何とか誤解を解く事ができた。




