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【3月15日書籍発売】アラサー魔導士の辺境湖畔暮らし〜初級魔法で魔王を瞬殺してしまった俺は、無気力に引きこもりたい〜  作者: 未来人A
第七章 花見

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 その後、宿に帰ったら夜になっていたので、一泊する。

 三部屋とっており、男の俺は一人部屋で寝た。

 そして、翌日、早朝。

 早速釣りをするため、ラウント湖に向かった。

 ラウント湖は綺麗な湖だった。水が透き通っている。水質は最高に良いだろう。

 近くにラウント山がそびえて居る。

 かなり高い山だ。雲がかかっており、山頂を見ることが出来ない。


「さて、釣るか」

「今日は花見をしに来たのよね」

「もちろんだ。釣ったらついでに山も登るぞ」

「言っとくけど、釣りがついでだからね!」


 エミルが少し怒ったような口調で言ってきた。


「また釣りか。まあいい。やるか」


 リオンは悪態をつきながらも、釣りの準備を始めていた。

 この前の釣りで楽しさに目覚めたのだろう。釣り好きが一人増えるのは良いことである。


「つりとは?」


 ライラが尋ねてきた。

 俺は釣りについて説明する。


「そんなの湖に入って直接捕まえればいいのはないでしょうか?」

「全員それ言うな。それじゃあ、楽しくないだろうが」


 お決まりのように湖に入って魚を取れという。

 そんなのは百も承知だ。その気になれば、10秒くらいで、この湖にいる魚全部捕まえられる。

 それじゃあ、意味がない。この釣竿で魚との勝負に勝つことにこそ意味がある。


「なんかよくわかないんですが、魔王様がやるのなら、私もやってみます!」


 魔王の影響を受けてライラは釣りを始めた。

 動機がちょっと気に入らないが、始めるのならなんでもいいだろう。


「今回はどんなお魚が釣れるかな~」


 シーラは楽しそうに釣りの準備を始めていた。

 彼女も割と釣りを楽しんでくれるようになったようだ。


「今回は大物を狙って、湖の中心部で釣る」

「大物楽しみ~。シーラ船作る!」


 シーラが自分の能力を使用し、船を作成した。いつものマーブル模様の変わったデザインの船である。

 正直、俺は魔法で浮けるのだから、船は要らないのだが、作ってくれるなら乗ろう。

 5人で船に乗り込む。


「しゅっぱーつ」


 シーラが船を動かし始めた。自分で作ったものを好きに操れるのだから、便利な能力である。

 広いラウント湖の中心まで到着した。本によればこの辺りが、一番湖で深い場所のはずだ。


「じゃあ、釣り始めるぞ」


 餌をつけた後、長い釣り糸を湖に垂らす。

 全員俺に続いて、垂らし始めた。


「きた……!」


 釣り糸を垂らして数分後。

 リオンの竿に辺りがあった。

 強く引いている。かなりの大物だ。

 まさか早速クレストルが釣れたのか!?

 相当強い引きで、かなり引いている。

 しかし、一瞬で引きがなくなった。


「くっ」


 リオンは悔しそうに釣り糸を引き上げる。


「む?」


 釣り糸に海藻がからみついてた。

 これは……


「どうやら地面に引っかかってたんだな。糸を下げすぎたんだ」

「な……」


 リオンは少し顔を赤くする。

 釣りをする際、よくあるミスである。

 確か日本では地球を釣るって言われていたはずだ。ここは地球じゃないので、変な言い方だな。

 異世界を釣る、って言い方もおかしいか。


「くそ」


 恥ずかしそうな表情を浮かべ、リオンは再び竿を湖に投げ入れた。

 結構かわいいとこあるじゃないか。

 それから一時間経過するが、誰の竿にも辺りは出ない。

 やはりそうそう釣れるものじゃないか。

 この深さにはクレストル以外の魚もいないし、ほかの魚を釣ることも出来ない。


「私、ほかの魚狙ってみる」


 エミルが糸と餌を変えて、釣りを再開する。5人で釣りをしてなにも釣れないのは嫌なので、これは助かった。正直、大物狙いだとなにも釣れないのは現実的にあり得るからな。


「あ! 来た!」


 エミルは餌と糸を変更してすぐに辺りが来た。

 魚を釣り上げる。


「わっ! 結構大きい!」


 80㎝くらいのなかなか大きな魚が釣れた。

 こいつはロブト。鮭みたいな見た目の魚である。味は鮭っぽくはなく、脂身が少ない白身魚である。生臭さがほとんどなく凄く美味しい。

 焼いて食べるのが定番である。

 シーラに桶を作ってもらい、桶の中に湖の水を入れる。

 そのあと、ロブトを入れた。

 大きな魚が桶の中を泳ぐ。

 見た目が鮭なのでかなり美味しそうに見える。実際、味はだいぶ違うのだが美味しい。

 俺はクレストル一本狙いで、釣りを続けていく。


「変えると結構すぐ釣れるんですね~。変えてみます!!」


 ライラがエミルと同じく、糸と餌を変えた。


「私は大物を釣ってみせる」


 リオンは頑なに変えなかった。俺と同じくクレストル一本狙いのようだ。

 どっちが早く釣りあげられるか勝負だな。


「おっきおさかなさんみたいな~」


 シーラもクレストルを釣ろうとしていた。

 純粋にどんな魚か興味があるようだ。


「お!! きました!!」


 ライラの竿が大きくしなる。魚がかかったようだ。

 釣りは初めてのようだが、釣りあげられるだろうか?


「釣れました~」


 心配しながら見ていたが、意外とセンスがあるようで、絶妙な力加減で竿を引き上げていた。

 エミルと同じくロブトを釣り上げた。

 大きさはエミルのロブトより大きい。1m近くあるかもしれない。ロブトは大きな魚ではあるが、ここまで大きいのは珍しい。


「なるほど。確かに釣れると結構楽しいですね!」


 ライラがいい笑顔でそう言った。釣りの楽しさに目覚めたようだ。

 その後、当たりが来ることなく時間が流れる。

 クレストルは全然かからなかった。

 流石にこれ以上、時間を使うと花見をする時間がなくなってしまう。

 そろそろ終わりにするか。

 そう思ったその時、


「!!」


 俺の竿に当たりが来た。

 物凄く大きな当たりだ。

 地面に引っ掛けた可能性もあるが……いや、これはちゃんと魚がかかった。

 深い場所の魚を引き上げるのは非常に難しい。力加減を間違えると、途中で採れることも多い。

 ゆっくり糸を引き上げていく。

 かかったら早く引き上げたくなるところだが、逸る気持ちを抑えて、糸を手繰り寄せていった。

 そして、魚が目視できる位置まで上がってくる。

 金色の鱗を持った巨大な魚だ。間違いない。クレストルである。

 ゆっくり糸を手繰り寄せ、船の上にあげるのに成功した。


「よし、釣れた!」

「お兄ちゃん、凄い!」

「お、おっきいわね……」

「おお! 綺麗な魚です!」


 リオンを除く四人は褒めてくれた。


「くっ……」


 俺と同じくクレストルを狙っていたリオンは、悔しそうな表情を浮かべていた。

 クレストルの大きさは恐らく2m50cmくらいはありそうだ。めちゃくちゃでかい。

 クレストルは2m越えは当たり前だという話だが、2m50cmもあるのは結構珍しいのではないか。

 味もかなりうまいらしい。食べるのが楽しみだな。


「よし、そろそろ花見に行くか!」

「ま、待て! こっちにも当たりが!」


 リオンがそう言った。確かに竿が大きくしなっている。

 まさか、二匹目が……!?

 そう思った……さっきと同じくすぐに引きがなくなり、糸を引き上げたら、海藻がついていた。

 また地面に引っ掛けたみたいだ。


「今回は終わりにするか」

「く、くそ……」


 リオンは悔しそうな表情を浮かべていた。

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