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それから数日過ごしていたが、微妙にエミルの様子がおかしい。
なんかこちらが顔を見ると、そらしてくることが多くなった気がする。
どういうことだろうか? 気のせいかもしれないが……
もしかして、嫌われたか?
嫌われるようなことをした覚えはない。
やっぱり俺が狼の魔導士と疑っているのか?
その可能性もある。ただ、疑っているから目を合わせないというのも、謎ではあるが。
まあ、俺が狼の魔導士であると、確信を得ているわけではなさそうだ。疑われているだけなら問題ない。冒険者ギルドに行って、俺の正体を宣伝したりしなければ大丈夫だからな。
仮面が見つかったりはしなよう気を付けないとな。
しばらくは様子を見ると決めた。
そして、とある日。
「お花見にいかない?」
突如エミルがそんな提案をしてきた。
花見。
この世界でも存在する文化だ。日本と同じように、花を見ながら食事をしたり酒を飲んだりする。
日本のように桜は存在しないのだが、綺麗な花を咲かせる木はいくつも存在している。ちょうど今の時期は花見をする季節ではあった。
しかし、エミルがそういう提案をするのは意外であった。
強くなること以外、あまり興味がないのではと思っていた。
「なんでまた花見に行きたいんだ?」
「毎年この時期は、ラウント山っていう山の頂上でお花見をしているの。あそこの頂上には、綺麗な花を咲かせる素敵が木があるのよ」
「意外だな」
「どういう意味よ」
花を見るとかに興味があったようだ。
「ま、まあ、最初は修行目的で山に登ったんだけどね。最近は簡単すぎて修行にはならなくなったけど、頂上に咲いてる花を見たくて、毎年行くようになったわ」
「そういうことか」
修行目的だったのなら納得がいく。
ラウント山というのは聞いたことがある。
確か麓に綺麗な湖があったはずだ。
有名な湖で訪れる人も多いから、住むのには適していないが、旅行して釣りをするのには良さそうな場所だ。
釣りもして、さらに花見も出来るのは結構楽しそうである。
「わかった。行こう」
「本当!?」
エミルは嬉しそうな表情を浮かべる。
「昨年まで一人で行ってたから、楽しみだわ」
「……一人で花見してたのか?」
「え? そ、そうよ。悪い?」
「いや別に……」
普通はそれなりの人数でワイワイやるものだ。
二人で行ったりするならまだわかるが、一人で行くようなものなのか。
「お前友達とかいるのか?」
「な、なによ! いなくて悪い!?」
「い、いや、別に……」
友達いなかったのか。俺も人のことは言えないけど。
逆に親近感がわいてきた。
「シーラとリオン達も誘うか」
「え?」
「なんだ嫌なのか?」
「い、いえ、別に。そうね皆で行った方が楽しいし、誘いましょう!」
一瞬残念そうな顔をした気がしたが、エミルは表情をすぐに変えてそう言ってきた。
もしかして二人で行きたかったのか?
いや、そんなわけないか。気のせいだな。
俺なんかと二人で行くより、大人数で行った方が楽しいだろう。
最初にシーラに誘ってみた。
「おはなみってなに~?」
知らないようなので説明した。
「へ~楽しそう! 綺麗なお花見咲いてるかな~?」
無邪気な表情でシーラは言った。
シーラはいつも通り乗り気なようだ。
リオンが来るかどうかだな。花とか好きなのだろうか?
来ないかもしれないが、リオンも誘ってみた。
「花見か。別に興味はないが、お前が行くなら行くしかないだろう。監視しなければならんからな」
といつもの無表情でそう言った。
本心かどうか分からん。ただ来ることは分かった。
「なんだかよくわからないですが、私も行っていいですか!?」
リオンの部下のライラがそう言ってきた。
前のダンジョン攻略では、リオンに命じられて別のことをやっていたようだ。
今回は来てもいいのだろうか。
「好きにしろ」
リオンはそう言った。
「ありがとうございます!!」
目を輝かせてライラはそう言った。相当嬉しそうである。
今回は五人でラウント山に行くことになった。
釣り具など準備を終わらせて、早速出発した。




