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【3月15日書籍発売】アラサー魔導士の辺境湖畔暮らし〜初級魔法で魔王を瞬殺してしまった俺は、無気力に引きこもりたい〜  作者: 未来人A
第六章 エミルの過去

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(ふ、普通に過ごせてたわよね……)


 ライズが家を出た後、リオンとシーラも家から出て、エミルは一人でドキドキした表情をしながらそう思った。

 気持ちを落ち着かせるため、少し深呼吸をする。


(まさか、狼の魔導士がライズだったなんて……どんな顔して接しろっていうのよ!)


 顔を赤ながらエミルはそう言った。

 先ほどの依頼で、自分を助けた狼の魔導士がライズであると、エミルは気づいていた。

 声も同じだった。ラポンスタを一撃で消滅させた魔弾《マジック・バレット》も、間違いなくライズがいつも使っているものだった。

 間違うはずはない。


(私は子供の頃、狼の魔導士に助けられた……それからずっと彼を目標に強くなるため生きてきたけど……まさかそれがライズだったなんて)


 幼い頃、彼女は狼の魔導士に助けられ、その強さを見た。

 それからずっと、狼の魔導士を目標に修行を行ってきたのだ。


(てか、よくよく考えれば、ライズ並みに強い人なんているはずないし、彼が狼の魔導士じゃないとおかしかったのよ! 子供の頃聞いた声も、今思えばライズの声とそっくりだった気がしたわ!)


 狼の魔導士の声は聞いていたのだが、幼い頃の出来事なので正確に覚えてはいなかった。

 よく思い返せば、ライズの声にそっくりだったような、そんな気がしていた。


(これからライズとどう接していけば良いんだろう……今日のところは気付かないふりを何とかしたけど……普通に接することができるかしら……)


 エミルは俯きながら考えていた。


(いっそ知ってるって話してみる? でも、隠したがってるみたいだし、知ったって言ったら、もしかしたら私と会うの嫌がるようになるかも。この湖から引っ越すこともあり得るわ……やっぱり気づいてないフリをしてた方がいいわよね……)


 悩んだ結果、エミルはそう結論を出した。


「忘れ物〜」

「!?」


 ライズの声が聞こえてきたので、エミル驚いて振り返る。


「な、なんだ?」

「い、いえ、何でもないわ」


 戸惑った表情のライズを見て、慌ててエミルはそう言った。

 不思議そうな表情でライズは餌を取って、釣りに戻って行った。


「はぁ〜。びっくりした」


 エミルはほっと胸を撫で下ろす。


(やっぱりわかんないけど……なんかライズの顔を見ると……)


 ぼーっとした様子でエミルは顔を赤く染める。先ほどのライズの顔を思い出していた。


(もしかして、これって……)


 エミルはそう思って、ハッと目を見開いた。


(そ、そんなわけ!? ラ、ライズには憧れてたけど、そんなじゃないというか!)


 ブンブンとエミルは首を横に振る。


(でも、ライズは強いだけじゃなくて、料理も作ってくれて、ピンチになったら助けてくれて、とても優しくて……って、ダメダメこんなこと考えてると、余計顔見れなくなっちゃうじゃない!!)


 エミルは顔を真っ赤にする。


(とにかく、今日はこれ以上考えないようにしないと! 修行しよう修行!!)


 気を紛らわそうと思ったエミルは、家を出て修行をしに行った。

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