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(ふ、普通に過ごせてたわよね……)
ライズが家を出た後、リオンとシーラも家から出て、エミルは一人でドキドキした表情をしながらそう思った。
気持ちを落ち着かせるため、少し深呼吸をする。
(まさか、狼の魔導士がライズだったなんて……どんな顔して接しろっていうのよ!)
顔を赤ながらエミルはそう言った。
先ほどの依頼で、自分を助けた狼の魔導士がライズであると、エミルは気づいていた。
声も同じだった。ラポンスタを一撃で消滅させた魔弾も、間違いなくライズがいつも使っているものだった。
間違うはずはない。
(私は子供の頃、狼の魔導士に助けられた……それからずっと彼を目標に強くなるため生きてきたけど……まさかそれがライズだったなんて)
幼い頃、彼女は狼の魔導士に助けられ、その強さを見た。
それからずっと、狼の魔導士を目標に修行を行ってきたのだ。
(てか、よくよく考えれば、ライズ並みに強い人なんているはずないし、彼が狼の魔導士じゃないとおかしかったのよ! 子供の頃聞いた声も、今思えばライズの声とそっくりだった気がしたわ!)
狼の魔導士の声は聞いていたのだが、幼い頃の出来事なので正確に覚えてはいなかった。
よく思い返せば、ライズの声にそっくりだったような、そんな気がしていた。
(これからライズとどう接していけば良いんだろう……今日のところは気付かないふりを何とかしたけど……普通に接することができるかしら……)
エミルは俯きながら考えていた。
(いっそ知ってるって話してみる? でも、隠したがってるみたいだし、知ったって言ったら、もしかしたら私と会うの嫌がるようになるかも。この湖から引っ越すこともあり得るわ……やっぱり気づいてないフリをしてた方がいいわよね……)
悩んだ結果、エミルはそう結論を出した。
「忘れ物〜」
「!?」
ライズの声が聞こえてきたので、エミル驚いて振り返る。
「な、なんだ?」
「い、いえ、何でもないわ」
戸惑った表情のライズを見て、慌ててエミルはそう言った。
不思議そうな表情でライズは餌を取って、釣りに戻って行った。
「はぁ〜。びっくりした」
エミルはほっと胸を撫で下ろす。
(やっぱりわかんないけど……なんかライズの顔を見ると……)
ぼーっとした様子でエミルは顔を赤く染める。先ほどのライズの顔を思い出していた。
(もしかして、これって……)
エミルはそう思って、ハッと目を見開いた。
(そ、そんなわけ!? ラ、ライズには憧れてたけど、そんなじゃないというか!)
ブンブンとエミルは首を横に振る。
(でも、ライズは強いだけじゃなくて、料理も作ってくれて、ピンチになったら助けてくれて、とても優しくて……って、ダメダメこんなこと考えてると、余計顔見れなくなっちゃうじゃない!!)
エミルは顔を真っ赤にする。
(とにかく、今日はこれ以上考えないようにしないと! 修行しよう修行!!)
気を紛らわそうと思ったエミルは、家を出て修行をしに行った。




