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【3月15日書籍発売】アラサー魔導士の辺境湖畔暮らし〜初級魔法で魔王を瞬殺してしまった俺は、無気力に引きこもりたい〜  作者: 未来人A
第六章 エミルの過去

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 面倒なことになった。


 今日は遠出して釣りを楽しんでいた。

 エミルもいないし、リオンも忙しそうだったので、シーラと二人で行っていた。

 釣りをしている途中、近くで魔力を感じた。シーラは寝ていたので、ちょっとだけ様子を見に一人で行ってみた。

 村が魔物に襲われているみたいなので、狼の仮面をつけて、一撃で倒したのだが、その場面をエミルにはっきりと見られてしまった。

 俺が狼の魔導士ということは言っていない。


 エミルに知られると、面倒なことになりかねない。冒険者に誘われる可能性もある。

 知名度も上がってしまう可能性だってある。そうなると、平穏無事に釣りをするのは難しい。

 まあ、頼めば黙っててくれるとは思うのだが、どう反応するかは分からない。

 とにかくエミルにはなるべく隠しておきたいわけだが……

 さっき、魔弾を使っているところを見られてしまった。俺は何回かエミルの前に自分の魔弾を撃っている。

 それに、声も出してしまった。バレる可能性は結構高い。

 エミルは特に何も言わず、こちらを見ている。信じられないようなものを見るかのような表情だった。

 バレたのかバレてないのか分からん。

 というか、エミルはだいぶピンチだったぽいな。かなりふらふらだ。


 あれは魔力切れの症状だ。


 もし俺が偶然近くにいなかったらやばかったかもしれない。遠出して釣りしててよかった。

 治してやるか。


「魔力贈与《マジック・ギフト》」


 エミルには聞こえないくらいの小さい声で、俺は魔法を使った。

 自分の魔力の100分の1を他人に分け与える魔法だ。あんまり使わないので、久しぶりに使った。


「!?」


 魔力が回復したのかエミルはびっくりして、目を見開いた。

 恐らく完全回復したのだろう。完全回復させるのには、100分の1で十分だ。というか多分多すぎるくらいだろうな。与えすぎた魔力分は消滅するだけで、エミルに悪影響を与えたりはしない。


「あ、あの」


 エミルが話しかけてきた。

 この様子はバレていないか? 

 でも怪しまれているかもしれない。

 どのみち、このまま長居するとバレる可能性が高い。少なくとも喋ったりするのは絶対にやってはダメだ。


 さっさとこの場を去ろう。


 俺はそう決めて、エミルに返事はせず、すぐにその場を離れシーラのいる湖へと向かった。

 エミルは付いてこなかった。

 魔力を回復したので、付いてこようと思えば付いてこれるだろうが、来なかったということは多分気づいていないのかな?


 まあ、後でわかるか。


 俺は釣りをやめて、自分の家へと帰宅した。

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