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面倒なことになった。
今日は遠出して釣りを楽しんでいた。
エミルもいないし、リオンも忙しそうだったので、シーラと二人で行っていた。
釣りをしている途中、近くで魔力を感じた。シーラは寝ていたので、ちょっとだけ様子を見に一人で行ってみた。
村が魔物に襲われているみたいなので、狼の仮面をつけて、一撃で倒したのだが、その場面をエミルにはっきりと見られてしまった。
俺が狼の魔導士ということは言っていない。
エミルに知られると、面倒なことになりかねない。冒険者に誘われる可能性もある。
知名度も上がってしまう可能性だってある。そうなると、平穏無事に釣りをするのは難しい。
まあ、頼めば黙っててくれるとは思うのだが、どう反応するかは分からない。
とにかくエミルにはなるべく隠しておきたいわけだが……
さっき、魔弾を使っているところを見られてしまった。俺は何回かエミルの前に自分の魔弾を撃っている。
それに、声も出してしまった。バレる可能性は結構高い。
エミルは特に何も言わず、こちらを見ている。信じられないようなものを見るかのような表情だった。
バレたのかバレてないのか分からん。
というか、エミルはだいぶピンチだったぽいな。かなりふらふらだ。
あれは魔力切れの症状だ。
もし俺が偶然近くにいなかったらやばかったかもしれない。遠出して釣りしててよかった。
治してやるか。
「魔力贈与」
エミルには聞こえないくらいの小さい声で、俺は魔法を使った。
自分の魔力の100分の1を他人に分け与える魔法だ。あんまり使わないので、久しぶりに使った。
「!?」
魔力が回復したのかエミルはびっくりして、目を見開いた。
恐らく完全回復したのだろう。完全回復させるのには、100分の1で十分だ。というか多分多すぎるくらいだろうな。与えすぎた魔力分は消滅するだけで、エミルに悪影響を与えたりはしない。
「あ、あの」
エミルが話しかけてきた。
この様子はバレていないか?
でも怪しまれているかもしれない。
どのみち、このまま長居するとバレる可能性が高い。少なくとも喋ったりするのは絶対にやってはダメだ。
さっさとこの場を去ろう。
俺はそう決めて、エミルに返事はせず、すぐにその場を離れシーラのいる湖へと向かった。
エミルは付いてこなかった。
魔力を回復したので、付いてこようと思えば付いてこれるだろうが、来なかったということは多分気づいていないのかな?
まあ、後でわかるか。
俺は釣りをやめて、自分の家へと帰宅した。




