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それから数日後。
エミルは冒険者ギルドに訪れていた。
前に緊急招集されて以来である。
今回は特に緊急招集されたわけではない。
冒険者は定期的に冒険者ギルドから依頼を受けなくてはいけないので、エミルは受けにきていた。
高位の冒険者だとサボっているものも多い。サボっても一桁ランクの冒険者だと除名になることは滅多にないからだ。エミルは修行もしつつ、冒険者の仕事もこなしたいと思っていたので、真面目に定期的に冒険者ギルドで依頼を受けていた。
「今回の依頼は……これね」
受ける依頼を選び、エミルは依頼を受けた。
今回受けた依頼は、魔物討伐の依頼である。
「エミルさんにはダンジョンから出てきたAランクの魔物を討伐していただきたいです」
「ダンジョンからAランクの魔物が……珍しいわね」
ダンジョンに開いているゲートからは、通常Cランク以下の魔物しか出現しない。
ただ、ごく稀にBランク以上の魔物が出てくることもある。
Aランクの魔物となると、かなりレアだ。そうそうないケースである。
「はい……出現した魔物は、ダンジョン攻略中のパーティーを壊滅させ、外に出たようです。そのパーティの生き残りの冒険者が報告してくれました。現在、村や街を襲っているという報告は上がっていないようですが、凶暴な魔物のようですので、時間の問題だと思われます」
「そうなのね。早く行かないとまずいわね」
エミルはそう言って準備を始める。
Aランクの魔物は強敵だ。ライズと会う前のエミルなら、苦戦する相手で確実に倒せるとは言い切れなかった。
ただ、ライズと会ってから、邪神の肉を食べたり、温泉で強化されたりと、だいぶ魔力が強化されて、以前よりだいぶ強くなっている。
今のエミルなら負ける可能性は低いと言えた。
「すぐに行ってくるわ」
「ありがとうございます。エミルさんが行ってくださるなら大丈夫そうですね!」
ギルドの受付は嬉しそうにそういった。
依頼を受け冒険者ギルドを出ようとすると、
「あら、エミルさん」
冒険者ランク2位の実力者、アリアに声をかけられた。
彼女はお姫様みたいな格好をしているが、実際は平民出身でお姫様でも何でもない。格好趣味である。
「こんにちは。依頼を受けにきたの?」
「そうですわ。日々依頼をこなすのは、冒険者としての義務ですわ」
エミルと同じくアリアも真面目で、依頼をたくさんこなしていた。
「ですのに、最近は適当な理由をつけて、依頼をサボる冒険者ばかり。どうなっているんですか全く」
他の冒険者に怒っているようだった。
「そ、そうよね〜。じゃ、私はこれで」
話が長くなりそうだと思ったエミルは、早いところ退散しようとした。
「あら、あなたまた魔力が上がったのかしら? だいぶ強くなったわね」
アリアが話題を変える。
「わ、わかる!?」
自分の力が上がったとは、誰かに気づいてほしかったので、エミルは思いっきり食いついた。
「ええ。短期間の修行でここまで上がるとは思えませんし、何か食べたりしたのですか?」
エミルは事情を話す。
「なんと、ペトラダンジョンに行かれたんですね。確にあそこの温泉はいいですよね」
「アリアさんも行ったことあるの?」
「はい。昔一人で行きましたわ。結構魔力が上がって、嬉しかった記憶がありますわね」
懐かしい思い出のようにアリアは話した。相当前の話のようだ。彼女は見た目は若いが、年齢はだいぶ上である。
「エミルさんは何の依頼を受けたんですか?」
「Aランクの魔物討伐の依頼を受けたわ」
「あー、あの依頼ですか。気をつけてくださいね」
「気をつける? 何かあるの?」
「情報が少なすぎるので断定はできませんが、Aランクの魔物という話ですが、もっと強い可能性もあります」
「Sの可能性もあるってこと?」
「そうですわ」
アリアは頷いた。
「どっちしろ倒すだけよ」
「今のあなたならSランクも倒せると思いますが、十分気をつけてくださいね。それではわたくしも依頼を受けに行きますわ」
アリアは最後にそう忠告して、去っていった。
(Sランク。望むところね)
ギラついた目つきで、エミルはそう言った。
最強を目指す彼女にとって、強敵との戦いはむしろ望むところであった。
エミルは早速、魔物が現れたという場所へと向かった。




