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燃え盛る家。人々の怒号。
少女はなぜこんなことになったのか、目の前の光景が信じられれずにいた。
ほんの数時間前までは、なんの問題もなかったはずだ。
いつもと変わらない日常を送っていた。そのはずだった。
それが数分前、ゲートが開いたあと一変した。
魔物がやってきた。普通は警報が鳴るはずだが、その時はゲートを感知する魔具の精度が低く、逃してしまうことがたまにあった。
突如現れた魔物に、村人たちはパニックになった。
魔物は空を飛び、笑いながら火の玉を村に降らせた。
燃える家、焼け死ぬ人々。
少女が大好きだった村は、一瞬にして地獄に変わった。
「は、早く逃げましょう!」
「ま、待て! 逃げると逆に焼かれちまうかもしれない! 地下に逃げた方が安全かもしれんぞ!」
「地下まで火が来たらどうするの!?」
少女の両親が真っ青な顔で話していた。大人たちもこのような事態は全く想定していなかったようで、パニックになっている。
普段見ない両親の表情、声色に、少女はますます恐怖した。
(怖いよ。怖いよ……)
恐怖でかたまりながら、少女は思った。
誰かこの状況を解決してくれる人がいないか、心から願った。
その直後、魔物の炎が家に飛んできた。
「うわあああああ!!」
「きゃあああああ!!」
父と母の悲鳴が耳に響く。
「助けて!!」
少女は目を瞑り思いっきりそう叫んだ。
そして、火の玉は家を……焼かなかった。
少女は恐る恐る目を開ける。
誰かが目の前に立っていた。
「危ないところだったな」
男の声だった。
特に特徴のない声だったが、不思議と安心感を覚えた。
「魔弾」
男はそう言って、魔法を放った。
指先から、光の玉が放たれる。
空を飛んでいた魔物に命中。一瞬で消し飛んだ。
「え?」
あまりのことに少女はポカンとした。
「ま、こんなもんか」
楽しくなさそうに男はそう言った。
男の背中を見ていた少女は、顔を見たいと確認してみる。
男は顔を隠していた。
狼の仮面をかぶっていた。
「お、狼……?」
ポカンとした表情で少女はつぶやいた。
「行くか」
無感情な声で仮面の男は呟き、すぐに去っていった。
少女は去っていく男の背中を見守った。
「……かっこいい」
少女は目を輝かせていた。
先ほどまでの惨劇は忘れて、男の背中を見る事だけに夢中になっていた。
「私もああなりたい!」
少女はその時、仮面の男のように何でも助けられるような最強の存在になりたいと、大きな夢を持った。




