58
「うーん、悔しいわね……」
食事をすることになったが、一匹も釣ることが出来なかったエミルが、悔しそうに呟いた。
「まあ、当然の結果だな」
「何ですって!?」
リオンは煽るように言って、エミルが怒る。
大物とはいえ、一匹釣っただけでよく人を煽れるな。
「仲良くしろ。今から料理するぞ」
二人の和解を促した後、俺は調理を開始した。
持ってきていた、調味料や調理器具を出して準備を行う。
釣れた魚は全部で五匹。
まず鯛みたいな魚は、見た目的に刺身にすると美味しそうなので、刺身で食べることにした。
黒魚は二匹釣れた。こいつは塩焼きにして食べてみよう。
シルバーフィッシュは……スープにして食べてみるか。
まずいらしいが、調味料をしっかり入れてスープにすればそんなに味は気にならなくなるかもしれない。
そして、リオンが釣った巨大魚だが……
身がいっぱいあるので、刺身も作ってみたり、部位によっては焼いて食べたり、色々調理してみよう。
それからドラゴンの肉もあったが、これを調理すると多くなりすぎるので、冷凍して家に帰ってから食べるとしよう。
今日は海鮮尽くしの食事をしよう。
まずはシルバーフィッシュのスープを作る。
捌いてみたが、生臭くあまり美味しそうではない。骨も多く肉が少ない。どう見ても食用には向いていない魚だ。
とりあえず煮込んでみるか。
調味料をたくさん入れて、煮込んでみる。ちょっとでもシルバーフィッシュの風味を消したい。
煮込んでいるうちに、黒魚の塩焼きの準備をする。
まずは腹をさばき、内臓を出す。
その後、魚全体に塩をまぶした。この状態でちょっとだけ待つ。
待っている間に、鯛のような見た目の魚をさばく。
身も鯛に似ていた。生臭い匂いもほとんどない。
骨も少なく、身もしっかりしていて、結構おいしそうである。
斬って刺身にしていく。
次はリオンの釣った、大物をさばいていく。
ほどよく油の乗った、綺麗な赤身だった。骨も少なく、食べられる部分も多そうだ。
全部食べられるだろうか? 余った部位は魔法で冷凍して持って帰るか。
切身を四つに分ける。一つは刺身に、もう一つ焼いてみる。
残りの二つは冷凍して持ち帰ろう。
まずは刺身を作る。もう一つの切身は厚切りにして、ステーキにする。
塩と胡椒をまぶす。これもちょっとだけこのまま置いておく。
しばらく待ったら、まずは黒魚の方からフライパンで焼いていく。
良い感じで焼けてきた。香ばしい美味しそうな匂いが漂ってくる。
ひっくり返して、逆側も焼く。
よく焼けたところで、フライパンから出して、皿に盛り付ける。
「美味しそう……」
魚の匂いを嗅いだエミルが、よだれを垂らしながら言った。
次は巨大魚の切り身を焼く。
同じくフライパンに入れて焼いた。
ジューという良い音が響き渡る。
脂が乗っている良い肉なので、あまり焼きすぎると逆によくなさそうなので、中までしっかりとは焼かず、表面の色が変わるくらいに焼いてみた。
これも良い匂いがした。めちゃくちゃ美味しそうだ。
切って見ると、表面や焼けていて中は赤身になっており、かなり美味しそうだった。
全部切り分けて皿に乗せる。
シルバーフィッシュのスープもちゃんと煮えていたので、お椀によそった。
調味料をしっかり入れたからか、匂いはそこまで悪くない。
味見のためスープをちょっとだけ飲んでみる。結構美味しかった。
生臭さはなかった。旨みだけがしっかりと出て、かなり美味しかった。
入れた調味料の何かが、臭みを消してくれたのだろう。割と適当に入れてしまったので、何をどのくらい入れたのか忘れてしまった。
シルバーフィッシュを次、釣り上げても、同じものは作れなさそうだな。
調理したものを並べてみる。
中々豪華だった。全部食べるとお腹いっぱいになりそうだな。
「た、食べていい?」
エミルが目を輝かせながらそう言った。
お腹もぐーとなっている。空腹で限界のようだな。
俺も腹が減ってきたし、早速食べるか。
「ああ、食べるか」
「いただきます!」
俺がそういうと、エミルが勢いよくまずは巨大魚の刺身を食べ始めた。
塩を持ってきていたので、それにつけて食べる。
「美味しいわ!!」
目をキラキラと輝かせながら、そう言った。
勢いよく食べていく。
俺も一口食べてみた。
「うまい……!」
口に入れた瞬間、刺身の旨みが口中に広がっていった。身は非常に柔らかい。噛まずに飲め込めるくらいだ。
しっかり味わって俺は刺身を飲み込んだ。
「美味しいねこれ〜」
シーラも気に入っていた。
「もぐもぐもぐ」
リオンは無表情で黙々と食べていた。
何も言わないので、味が気に入ったのか分からないが……
これだけのペースで食べているということは、多分気にいったんだろうな。
次に黒魚を食べる。
鱗は黒いが、中身は真っ白い身だった。
かなりタンパクで脂身が少ない。硬さは程よく、旨みもしっかりあった。
見た目は食べられるか不安だったが、ちゃんと美味しい魚だった。
鯛っぽい魚の刺身も食べた。見た目だけじゃなく、味もほぼ鯛だった。
歯応えがしっかりある、美味しい刺身だった。やっぱり新鮮な魚の刺身は美味しいな。
順調に食べ進めていく。スープも全員に好評だった。
そして最後にメインのステーキをいただく。
「お、美味しそう……」
エミルはステーキを眺めながらそう言った。めちゃくちゃ美味しそうな見た目なのは間違いない。
味はすでについているので、そのままいただく。
本来はこれにわさびなどをつけて食べると、更に美味しくなりそうだが、今はないので仕方ない。
俺はステーキをいただいた。
「うまい!」
思わず声が出るほどの味だった。
身の旨みと、味付けの塩と胡椒が非常にマッチしていた。
焼き具合も絶妙で、これは非常に美味しい。
「……うまいな」
リオンもさっきまで黙っていたが、思わず声を出していた。かなり美味しかったようだ。
「ご馳走様!」
エミルは美味しすぎたのか、一瞬で完食していた。
もっと味わって食べれば良いのにな。
巨大魚が特に美味しかったな。
冷凍した切り身が二つあるから、家に帰って食べるのが楽しみだ。
今回と同じく刺身とステーキにするか、別の食べ方にするか考えておこう。
「よし、帰るか」
俺たちはダンジョン探索を終え、ダンジョンの入り口へと戻った。
地底湖は中々の釣り場だし、またきても良さそうだな。
30階も降りないといけないのは少し面倒だが、そこまでしていく価値があるということは、よくわかった。
俺たちは家へと帰還した。




