53
俺たちはダンジョン内を歩いていた。
もちろんというか余裕だった。
というか俺は何もしてなかった。
「はああああ!!」
「えい!」
「ふん……」
魔物が出ても、エミルかシーラ、リオンの誰かが一瞬で殲滅するから、全く俺が戦う必要はなかった。
俺が攻撃する前に、先に戦っているので、戦う隙が全くなかった。
まあ、別に戦いたいわけじゃない。面倒なことを代わりにやってくれるので、助かった。
そんな感じで俺は何もしないまま、二層目、三層目とどんどん下に降りていく。
このダンジョンの一番下に湖はあるらしい。
確か最下層は三十階だった気がする。
温泉はその中間の十五階あたりにあるらしい。
このペースでいけばあと30分くらいで、温泉階までは行けるな。
俺たちは順調にダンジョン攻略を続ける。
そして、十階。
徐々に魔物の数が増えてきた。
この数は、腕に覚えのある冒険者でもある程度苦戦するだろうな。
ただ、流石にエミル、シーラ、リオンは、レベルが違う。
どんだけ数が増えようと、余裕で倒していた。
「貴様さっきから何もやっていないな。ハエ掃除を手伝うくらいやってもらいたい者だが」
「ぐ……」
リオンにそう言われた。
サボってたのがバレたようだ。
仕方ない。俺もちょっとは働くか。
なんかちょっと遠くに、石みたいな魔物がいる。
なんか見たことあるような。魔物だったけあれは?
まあ何でもいいか。
「魔弾」
俺はそう言って、魔法を放った。
もちろん一撃で倒した。
あれ? なんか人が要るっぽいな?
三人いる。さっきの魔物? に襲われていたようだ。
冒険者か? 先に攻略していたのか。
こんなダンジョンに来るくらいだから、それなりに高位の冒険者だろう。
下手に顔を覚えられると、目立ってしまう可能性もあるな。
会わずに行くか。
怪我はしているみたいだし、一応治していくか。
「ヒーリング・サークル」
回復魔法を使った。
光の円が周囲に広がる。
範囲内にいる者の怪我を癒す魔法だ。
円の広さは術者が自由に広げることが出来る。
もっとも、広げすぎると魔力不足で、全く回復出来なくなるので、注意が必要だ。
俺はかなりの距離広げても回復可能だ。
どこまでが限界か試したことはないけどな。
三人全員を円の中に入れるくらいは、余裕だ。
俺は三人が全員入る大きさまで円を広げ、治癒した。
これで怪我が治っただろう。
「あ、アンタたち!!」
声をかけられた。
「行くぞ」
俺は慌ててそう言った。冒険者たちには気づかれぬよう、さっさとその場を去った。




