青山からの制裁措置
お土産買って配るのは日本人らしい~
18話です
長かった修学旅行を終え、いつものように生徒会を始めた。
「あー、終わっちまったなー」
加西は寂しそうに言う。やれやれっ。
僕は修学旅行など何事もなかったかのように仕事をする。
「加西君、仕事しなさいっ」
「はっ、うるせーぞ! 少しぐらい感傷に浸らせろ」
二人は言い合いを始める。全く、賑やかなことでっ。
「あの会長……」
「どうした、紺野?」
「お土産はどんなの買ってきたんですか?」
「!」
「今は仕事中だ。後にしてくれ」
「会長、お土産は仕事をする前に渡す物です。パ……父もそう言ってました」
「しかしだな~……」
紺野と話していると、ノックがする。
「はいっ、どうぞ」
「宮部君!」
「あ、清河さん。お久っ」
「お久っ、じゃないわよ! そういうおちゃらけた気持ちから風紀が乱れるのよ!」
「えーと、それよりどうしたのかな?」
「え!? いや、その……貴方、修学旅行はどこだったの!?」
「え? 北海道だったけど?」
「そう! じゃあ違う場所だったのね!」
「それじゃあ東京だったの?」
「そうよ! 都会から規律を学ぼうと思ってね! 国会議事堂は見られて良かったわ」
「それは良かったね」
「それでね……」
「?」
「これをあげるわ! この前ボールから守ってくれたお礼よ!」
「え? いいよ、そんな別に」
「え? いらないの?」
彼女は明らかにしょぼくれていた。
「いやっ、快く頂くよ!」
「そう! それは良かったわっ。礼儀は規律を守るための一歩! べ、別に貴方の為じゃないんだから……」
「え?」
「と、とにかく風紀を乱す輩はこの私が許さない! 生徒会とかは関係ないんだから、覚悟しときなさいっ!」
そう捨て台詞を言いながら出て行った。
「な、なんだ一体?」
「……」
それからしばらくしていると、
「こんにちは~」
「あ、君は……」
科学部部長の蜷川さんだ。色々あって行けてないが、そう言えば僕は科学部員だった(幽霊部員だけど)。
「!」
「蜷川さんどうしたの?」
「今日科学部には来ないの?」
「えっとー、生徒会の仕事が溜まってて忙しいからどうだろうか? どうかしたの?」
「偶には部員として、観察とかしてほしいな」
「分かった。仕事を早く切り上げて、終わったら行くよ」
「そうっ、分かったわっ」
そう言って彼女は部屋から出て行った。
「ふー」
ニヤニヤという周りからの雰囲気を感じる。
「な、なんだよ?」
「いやー、彼女は女の顔をしてましたな~、宮部君」
「確かにそうですね~、会長ーっ」
「……」
「ま、まさか!」
僕は少し動揺した。まさかまさかっ……。そして僕はとりあえず科学部に顔を出すため急いで作業に取りかかる。
「~~、済まないっ! 青山。これとこれ、やっといてくれないか!?」
「え……、かしこまりました……」
そして少し早めに仕事を終わらして、
「皆、お先ー」
「先輩、お土産っ!」
「ほら、生徒会の分!」
早急に渡して、紺野の蟹だーっの声を聞きながら科学部に向かった。科学部室に向かったら、そこには蜷川さんだけだった。
「あれ? 他の皆は?」
「もう帰ったわっ」
「そ、そうなのか……」
科学部室で二人きりで彼女は試験管を見ている。それにしてもなんか緊張するな。
「あのね、宮部君」
「ん?」
「私、修学旅行東京だったの」
「そ、そうなんだ」
東京多いな~。皆東京好きか?
「宮部君は?」
「僕は北海道だったよ」
「そう……」
「……」
無言が続く。うーん、この空気少し苦手だなー。
「あのね、宮部君にお礼をしてなかったわね」
「え?」
「これ、入部祝いのお土産」
「えっ、そんな大したことしてないのに」
「そんなことないわっ。部を存続出来たことに感謝しているものっ」
「あ、ありがとう」
彼女から貰った物は、スマホ用のキーホルダーだった。
「じゃあさ、宮部君から部のお土産は?」
「え?」
「え?」
しまったーーーっ。完全に忘れてたーー。
「もしかして買って……ない?」
彼女は少し寂しそうな顔になっていた。
はい……とも言えず、色々考えた。何かないか~、何か……、あっ、合った! ……が、しかしこれは……、
「ないなら良いのよ、別に……ないなら……」
口調から明らかに寂しげなトーンだった。ええい、南無三!
「これ良かったら……」
「え? これって……」
蟹のデザインされたシャーペンだ。本当は日頃の感謝の印として青山にあげるつもりだったが……。
「ありがとう! 大切に使うねっ」
そして僕は下駄箱に向かって帰ろうとしたが、ふと気になって生徒会室に行くとまだ電気がついていた。
部屋に入るとまだ青山が一人で仕事していた。
「もう19:00来るぞ。そろそろ帰らないと暗くなるぞ?」
「会長……。済みません、まだ仕事が残ってて」
これは、僕が青山に任せた仕事だった。
「済まない、するよ」
「え? しかし……」
「そもそも僕が押し付けてしまったやつだ。やらせてくれ」
「そうですか……」
そして僕は席に着き作業を始めると、青山は席から立ち、部屋に置いてある湯沸かし器の方へ向かった。
「会長、お茶です」
「あぁ、ありがとう」
ずずっと青山が入れてくれた温かい玄米茶を飲む。飲むと心から体まで暖かくしてくれる。
「うん、青山の入れるお茶は格別だなっ」
「ありがとうございます」
そして仕事をしていたら、さっきのプレゼントのことを思い出し、罪悪感が出てくる。
「青山……」
「はい?」
「ごめん!」
「え?」
「お前に日頃のお礼としてお土産用意していたんだがー、その~渡せなくなってしまって……」
「……はぁ、そうですか」
少し落ち込んでいたが、坦々と職務をこなしていた。そして15分くらいで仕事を終わらせた。
お互い無言のまま帰り、別れの道になる。
「……会長送ってくれませんか」
「あぁ、構わないよ」
いつもはそんなこと言わないくせに、珍しいな。そしてしばらく静かに歩いていると、
「……もう冬休みですね」
「え? あぁ、そうだな~っ」
「休みは何されるんです?」
「普通に勉強するかな?」
「相変わらず勤勉ですね」
「その前に期末の順位結果が気になるな」
「あー、そうですね~……」
「どうした? 元気ないぞ?」
「あまり自信がないので……」
「あはは、あまり気負いするなよっ」
「会長」
「ん?」
「これ、東京のお土産です」
「え?」
それはスカイツリーのキーホルダーだった。
「これ……」
「はい、会長へのお土産です」
「しかし僕は用意出来てないぞ!?」
「それは分かってます、だからお詫びをして頂こうかと」
「お、おう……」
「……この冬休み、イヴとクリスマスの二日間を私と一緒に過ごして下さい」
「え? いや、そういうのは恋人同士がするものじゃないのか?」
「大丈夫ですよ。クリぼっちが二人並んでいるだけですので」
「それは構わんが……お前まさか、それをずっと考えて静かだったな!?」
「当たり前じゃないですか。女の子は打算的なんですよ」
「……ったく」
やれやれとは思いながらも、その罰は決して嫌なものじゃなかった。
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