険悪になるグループ
さぁ、宮部が下した作戦とは?
16話です
一番の目的は村井さんを学校で心地よく過ごさせることだ。その為に浜松さん率いるグループのイジメを止めさせることが必須だ。しかしイジメを止めさせる根本的な対処などという方法があれば、ほとんどイジメなんてなくなっている。
今回の場合は村井さんの気持ちの弱さが問題の所もあるから、それも視野に入れて対処せねば。
まぁ、どちらにしても敵を知らずして百戦危うからずだ。最終的な作戦は敵を知ってからだな。まずは……、
『2-2の浜松さん、今すぐ生徒会室へ来て下さい』
僕は青山に放送を任せて、生徒会室で待っていた。そしてしばらく待っているとノックの音が聞こえる。
「……失礼します」
「どうもっ、こんにちは」
ゆっくりドアを開けて彼女が現れた。思ったより腰は低めだった。ただ香水をしているのか、近づいた時にその香りが鼻につく。
「えーと、なにか私に用があると」
「はいっ、少し貴女に聞きたいことがありまして」
「えと……、何でしょうか?」
「真偽の確認をするだけなんで、気楽に聞いて下さいな」
「はぁ……」
「貴女はバスケ部に所属して、試合では常にレギュラーだそうですね」
「はい」
「校内での腕前は強いと聞いてます」
「あ、ありがとうございます……」
「しかしですね」
「はい……?」
「それとは別に貴女の良くない話を聞きましてねーっ」
「え?」
「聞くところによると浜松さん、貴女、深夜になっても外で遊んでいるようですね?」
彼女の顔はピクリと止まった。
「それは本当ですか?」
「ま、まさかっ。そんなことあるはずありません!」
「もう一つ、まさかとは思いますが煙草とか吸ってないですよね?」
「ま、まさかっ!? 何を根拠にそんなこと言うんですか!?」
彼女はこちらを見ながら叫ぶ。
「……それなら良いのですが、もし発覚した場合は部のレギュラー禁止になるどころか休学も検討すると思うので、そこのところ宜しくお願いしますね」
「も、もちろんです!」
そう言いながら彼女はいそいそと部屋から出て行った。
実は『深夜にどこかで遊んでいる』という情報は宮本雫から聞いた話なのだ。宮本雫には色々と生徒達の情報を聞いている。そこでちょろっと聞いた話なのだ。
生徒間の情報はなかなか教師の耳には届きにくい。これは生徒会の特権だな。
さて種は蒔いてみたところだ。彼女は次にどう出るかな?
そしていつも通り廊下を通りながら観察していると、直ぐさま浜松さんのグループ内で嫌な空気が流れていた。
どうやら浜松さんと彼女の仲の良い山西さんという子とケンカをしているらしい。その子は女子テニス部のキャプテンで、まとめる力があると聞いている。
しかし宮本雫の情報によるとそんな彼女はよく浜松さんとつるんでいる相手だそうで、二人が夜に私服で一緒にいるのを見たという話があるそうだ。
これはこれで表沙汰にすると困りそうだな。
僕は心の中でニヤリと笑いながら、僕は次の一手を打つことにする。それは、
「え!? テニス部のユニフォームをですか!?」
「はい。よく試合にも出て、日焼けでかなり消耗しているそうで。だからショップに頼んで新しく可愛らしいユニフォームを作ろうかと。それに女子テニス部は普段から堅実にしていると聞いています。おそらく部長がしっかりとしているから、それが部員に行き届いているんでしょう。ついでにグリップテープも新調しましょうね」
そうして僕は女子テニス部でよく使うものを充実させた。
「うちの部、新しいユニフォームになるんだ~っ。こんな感じのデザインっ!」
「わー、可愛いデザインじゃない! 羨まし~」
「でしょ? でしょ?」
「……」
それから少しして、校内にこんな噂が流れた。
「2組の恵梨香ちゃんところってグループ内でイジメがあるんですってーっ」
「えー、それやだーっ」
そうイジメの噂だ。誰に対してかは非公開だが、内部ではもちろん分かることだろう。そしてこれは僕から宮本雫に流してもらった。そしたら2-2では嫌な空気が流れており、浜松さんのグループ内ではもう険悪なムードだった。
「……」
「……」
あのグループが存続出来るのも時間の問題だな。そして僕が教室に戻ろうとした時、他のクラスから話が聞こえてきた。
「2組の女子達がケンカを始めたみたいだ……」
僕は村井さんのイジメをなくすにはリーダー格だった浜松さんを引きずり落ろすか、あのグループの解体かを狙っていた。そしてあのグループのメンバー達には問題があったから、グループの解体を実行した。そのグループを分散してしまえば村井さんはあの集団から離れられるし、彼女達は彼女への矛先を向けにくくなる。
そしてグループは解体し、それぞれ小さなグループに散らばった。お陰で村井さんは楽しく由実さんと話している。
「けどこれで良かったのでしょうか……?」
偶々青山はケンカの状況をありありと聞いたみたいだ。
二人は言い合いながら、互いに殴り合っていたそうだ。煙草の件も発覚し、お陰で二人は休学になってしまった。
かつては仲の良かった二人。それが僕の作戦が原因でもう友達でいられなくなってしまった。
「仕方ないさ。円満に澄ます方法なんてそうそうないんだから」
そう言いながらも、僕は少し罪悪感を感じていた。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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