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仲の良い友達

さて村井さんとどんな話をするのか


14話です

「……村井さん」

「……」

「会長に何か用があるんでしょ? さぁ、言ってみて下さい」

「……」


 しかし彼女は何も答えなかった。


「まぁ、とりあえず先に僕が貴女に質問しますね」

「は、はいっ」

「貴女はどうしてあまり馴染んでいないグループに朝から夕方まで一緒に行動しているのですか? 距離をとる時ぐらいあっても良いのかと思うんですが……」

「……それは」


 彼女は何か考えているようだ。


「私、グループの誰かに付いていかないと、ハブられるんじゃないか不安で……」

「どうしてハブられると?」

「それは……やっぱり気を使っていないと、向こうが不快に思うんじゃないかと」

「……なるほど」


 僕は思った。あぁ、この子はそのグループに適していないと。

 確かに友達関係の絆なんてなかなか不安定なものだ。どこまで信頼し、どこまで信用して良いものかその線引きは分からない。

 しかしそこまで気を使ってしまってはそもそも友達と呼べるだろうか。ある程度気兼ねなく話せる相手が友達と言うのではないか。その上彼女はイジメられている。それなのに顔色を伺いながらグループにいるのはおかしい。彼女はちゃんとした自分の場所を見つけるべきだ。

 そう言えば、


「しかしそのグループの中に貴女と比較的仲の良い方がいますね。肩まで伸びた髪をポニーテールにした可愛らしいくて同じバスケットボール部の女子が」


 そう言った時、彼女はぴくっとした顔になる。


「由実ちゃんのことですか?」

「そうかな」

「……彼女が何か?」

「いや、あの中で君がリラックス出来る相手がいるのを確認したかったんだ。少しでも落ち着ける場所があって良かったよ」

「……」


 彼女は真一文字の口になるが、ゆっくりとかつ穏やかに言う。


「……あの子は優しい子なんです。そして同じ部の中で私のことを唯一心配してくれる友達」

「……彼女はグループの中でどういう立ち回りなんですか?」

「どうしてそんなこと聞くんですか?」


 少し強い口調になる。


「君がイジメられていることを知っているはずだ。グループの内情を知れるのに越したことはない。君のことを心配しているなら、こっちの味方になってくれるかもしれない」


 とその時彼女は怒髪天の如く、怒りの気持ちを露わにして言う。


「私にとって大切な友達っ。もし彼女が味方になって今回の相談が恵梨香さんにバレでもしたら、グループであの子が居づらくなるかもしれません! だから今回の件には一切関わらせたくありません!」

「……恵梨香さんとは浜松さんですか?」

「……はい」

「……分かりました。由実さんには関与しないようにします」

「お願いします……」


 そう言って彼女はその場から去って行った。


「……」

「……会長」

「どうした?」

「凄い剣幕でしたね」

「あぁ……」

「それで、収穫はありましたか?」

「彼女がメンバーに付き回っている理由は分かったが、また分からない謎が出来た」

「それは?」

「グループにおける由実さんの存在だ」

「というと?」

「彼女もグループの中での村井さんと同じくそれほど立場は弱いのか? しかしさっきの彼女の口ぶりからそうは思えない」

「……」

「彼女は『グループで居づらくなるかも』と言った。もし元々居づらいならそんな言い方はしない。つまり、そこまでグループ内での立場は悪くないということだ」

「……確かに」


 青山は腕組みをして思案にくれていた。


「それで何でお前がここにいるんだ」

「え?」

「え? じゃないだろ? お前の家は別の方向のはずだろ? どうしてこっちに来ているんだ?」

「あー、それは帰っているときに後ろから気配を感じたからなんですよ」

「そんなの分かったのか?」

「はい。そして会長と別れて帰る素振りをした後、村井さんが会長を尾行しているのが分かったので、彼女に声を掛けしたんです」

「そうだったのか」


 それにしても凄いなっ。


「まぁ、女の勘ですよ」

「そうか……」

「……」


 もう日は既に落ち、街灯の明かりだけが道路を照らしていた。


「では……私はこれにて」

「おい、待て」

「え?」

「もう暗いから、途中まで送って行くよ」

「いや、そういう訳には……」

「いいさ別に。この時間に女子一人を歩かす方がよっぽど気になる。帰っている時に暴漢が来でもしたらどうする? この程度で僕のことを気にするな」

「恐縮です……」


 そして僕は青山と談笑しながら彼女の家の近くまで送った。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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