村井の部活風景
寒い時期になってきました
12話です
彼女は理不尽にパシラされているではないかと僕はてっきりそう思っていたが、違うのかもしれない。
そしてしばらく彼女を分析すると以下のことが分かった。
・一人でいる時がほとんどない。
・グループにいる時はどちらかというと端側にいる。
・グループの中では愛想笑いをしている感じを受け取った。
・グループの時の顔はあまり嬉しそうではない。
・彼女と二人っきりになる時の相手はほとんど同じ。
・その子と話している時はリラックスした顔になっている。
・クラスから休み、放課後まで同じグループにいる。
「……」
「……」
僕と青山は作業をしながら色々と思案に暮れ、紺野と加西は各自の仕事を淡々としていた。
「はー、一体どういうことなのかさっぱり分からんな」
「そうですね……」
「あんまり楽しそうではないが、かと言って一人でいる時がほとんどない。妙な感じだな~」
「確かに……」
「しかし彼女と二人きりの時にいるその女子気になるな」
「えぇ、仲良さそうですものね」
「お前もそう思うか」
「はい」
「……」
「……」
「その子が誰か突き止め……」
「あ~っ、来週から期末だー。嫌だーー!」
加西は体を反らしながら叫んだ。
(そうか。明日は休みか……、あっ)
「なぁ、青山、耳貸せ」
「はい、……え!?」
「何? どうかしましたか?」
「いや、何でもないわ。何でも……」
「?」
そして土曜日、僕は青山と待ち合わせをする。
「おぉ、青山。もう来ていたのか」
「会長の前に来るのが副会長として当然の責務です」
「まだ予定より10分ほど前だが……?」
「だからそれより少し早く来ただけですよ」
僕はこいつの顔をじっと見る。
「な、何でしょう?」
「頭に落ち葉が積もっているぞ?」
「え? 本当ですか!?」
驚いて、てんこつ辺りを振るい始めた。
「嘘だおっ」
「もう!」
髪をいじりながら恥ずかしがって言う仕草はどこか可愛らしい。
「さて部活の練習風景を眺めてみるか」
「はいっ」
そして彼女の所属するバスケットボール部が所属する体育館に向かい練習風景をこそっと見に行くと彼女、村井さんがいた。
「いるな」
「そうですね」
「あ、彼女と一緒によくいる子がいるぞ」
「本当ですね」
「部活仲間だったのか……」
「あ、会長! 後、浜松さんもいますよ!」
「な、何だと!?」
見ると、確かに彼女のグループの中心浜松さんその人だった。しかし村井さんは二人っきりになる時の女子との方が親しげに話している。
(なるほど、そういうことか)
「青山、帰るぞ」
「え? もう大丈夫なんですか?」
「あぁ、十分だ」
そして僕は体育館を後にした。さて帰りしな青山に説明をする。
「なるほど、そういう訳ですか」
「そういうことだ。しかし分からないことがある」
「それは……?」
「彼女はどうして朝から夕方まであのグループと一緒に行動しているのか。あそこから離れられるチャンスはいくらでもありそうなものだが」
「まぁ、確かにそうですね~」
「それともう一つ分からないことがある」
「それは?」
「お前は何分からあそこにいたんだ?」
「え?」
「肌がいつもより少し白くなっていたぞ。落ち葉はなかったにしても、大分早く来ていたんじゃないのか?」
「それは……」
「ほら、正直に言いなさい」
「……0分」
「ん?」
「10:30……です」
僕は彼女との予定の約束より大分早く来ていたことに驚き呆れた。
「予定より20分も早いじゃないか! そんなことすると、この時期は風邪をひくぞ!!」
「も、申し訳ありません……」
「ったく……」
僕は認めてシュンとしたこいつの様子を見て、
「……ほら」
「え?」
ひょいっとある物を彼女に被せた。
「僕の防寒着だ。羽織っとけ」
「……し、しかしそれだと会長がお風邪を召すかもしれません!」
「もう昼間だ。日が当たって大分暖かいから大丈夫だよ」
「……あ、ありがとうございます」
とは言ったもののまだ風は少し肌寒かった。そして僕達はしばらく無言で歩く。
「あの会長……」
「何だ?」
「もし宜しかったら、一緒に期末テストの勉強をしませんか?」
「え?」
僕は彼女の方を見ると、少し頬を赤らめて僕の防寒着をぎゅっと服の上に被せていたが、とても真摯な顔だった。僕はふっと笑い、
「あぁ、良いよ」
そして彼女は少し笑みを浮かべて、
「ありがとうございますっ」
「ところでどこでする?」
「そうですねー、市立の図書館とかで良いじゃないでしょうか?」
「そうだな、そうしようっ」
「今度は会長に点数で勝ってみようと思います」
「ほう、やる気かー?」
「はいっ!」
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