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その体に出会いと別れの挨拶を ~あの日、憑依した少女にもう一度出会うために~  作者: 炭本 良供
四章「咲きたい花」

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十二話『無事を祈って』

「――――来た!」


 俺たちの目線の先に、敵と思われる人々が小さく映り始める。


「彼女のために早く、終わらせる――――」

「あっ、ちょ」


 早速コルウスが黒い翼で羽ばたいて飛んでいった。

 俺の制止する声も聞こえてないようだ。


 彼女の気持ちもわかる。

 暴走してしまったペルフェをいち早く救いたいんだろう。


「俺たちも、いくぞ!」


 俺たちも全力。

 桃李を速攻で迎えに行くんだ。



 ※ ※ ※



 一方、『奪回者(リキャプチャラー)』の拠点内部。


『警告します。現在、敵の襲撃に遭っています。戦闘員は該当の場所に、それ以外は指定の避難場所に移動をお願いします』


 放送が内部にいる人たちに警告する。


「襲撃! 森ノさんはいないって聞いてるけど、しいらは!?」


 綿は警告を聞いて焦り始める。

 赤髪で丁度つぐもと同じくらいの年齢の女の子にして、綿にとってかけがえのない妹であるしいら。

 彼女は綿がここに来た際に医務室で預かってもらっていた。

 綿はしいらが無事かどうかが気がかりだった。


「急がなきゃ」


(あの子だけは、何としても…………!)


 綿は避難する非戦闘員に逆らって、医務室へと向かう。

 

「っ、人の流れが!」


 押し戻されそうになっても、上手く間に入りこんで進んでいく。


「――――抜けれた!」


 人混みをなんとか脱することができた。

 それでも、止まることなくしいらの下へと急ぐ。


 そして、ようやく医務室の前へと辿り着いた。

 息は乱れ、足ももう限界。

 それでも頭の中はしいらのことばかり。

 

「――――しいら!!」


 医務室の勢いよく開けてしいらの名前を呼ぶ。



――――その先には。

 普段と同じような光景。

 ベッドで静かに眠っているしいら。

 その横で椅子に座っている、医務室を担当する先生。


「――――よかった」


 それを見て、ようやく綿の心は落ち着いたのだった。

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