十二話『無事を祈って』
「――――来た!」
俺たちの目線の先に、敵と思われる人々が小さく映り始める。
「彼女のために早く、終わらせる――――」
「あっ、ちょ」
早速コルウスが黒い翼で羽ばたいて飛んでいった。
俺の制止する声も聞こえてないようだ。
彼女の気持ちもわかる。
暴走してしまったペルフェをいち早く救いたいんだろう。
「俺たちも、いくぞ!」
俺たちも全力。
桃李を速攻で迎えに行くんだ。
※ ※ ※
一方、『奪回者』の拠点内部。
『警告します。現在、敵の襲撃に遭っています。戦闘員は該当の場所に、それ以外は指定の避難場所に移動をお願いします』
放送が内部にいる人たちに警告する。
「襲撃! 森ノさんはいないって聞いてるけど、しいらは!?」
綿は警告を聞いて焦り始める。
赤髪で丁度つぐもと同じくらいの年齢の女の子にして、綿にとってかけがえのない妹であるしいら。
彼女は綿がここに来た際に医務室で預かってもらっていた。
綿はしいらが無事かどうかが気がかりだった。
「急がなきゃ」
(あの子だけは、何としても…………!)
綿は避難する非戦闘員に逆らって、医務室へと向かう。
「っ、人の流れが!」
押し戻されそうになっても、上手く間に入りこんで進んでいく。
「――――抜けれた!」
人混みをなんとか脱することができた。
それでも、止まることなくしいらの下へと急ぐ。
そして、ようやく医務室の前へと辿り着いた。
息は乱れ、足ももう限界。
それでも頭の中はしいらのことばかり。
「――――しいら!!」
医務室の勢いよく開けてしいらの名前を呼ぶ。
――――その先には。
普段と同じような光景。
ベッドで静かに眠っているしいら。
その横で椅子に座っている、医務室を担当する先生。
「――――よかった」
それを見て、ようやく綿の心は落ち着いたのだった。




