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その体に出会いと別れの挨拶を ~あの日、憑依した少女にもう一度出会うために~  作者: 炭本 良供
四章「咲きたい花」

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零話『夜空の下で』

――――何も考えたくなくて。

 何も‟聞き”たくなくて。


 肌寒く、星明りなど全くない真っ暗な夜。まだ幼かった私は静かなところへ走り続けた。

 やがて呼吸が荒くなってきて、体力も限界で足が動かなくなってしまった。


『…………う』


 私はその場でうずくまる。


『…………こんな時間にどうしたのだ?』


 そんなとき、()()が話しかけてきた。

 音に苛まれる私とはまるで違う、威厳があって、芯の強そうな、長い黒髪の女性。


『えっと…………』


 私は彼女の質問に対する返答に困ってしまった。

 私の事情を知れば、この人も()()()()()()()()()()()

 

『…………まあ、よい。言わなくとも』

『え…………あっ、ちょっと待って!』


 私は去ろうとする彼女をすぐに追いかけた。

 何故か、わからないが。

 ほんの少し一緒にいただけの彼女に安心感を覚えたんだ。

 私を嫌悪の目で見ない君に、()()()()()()と願ったのだろう。


 君は少し困った表情をしたけれど、頼れるあてのない私と一緒にいてくれた。

 言葉は少し堅苦しいが、優しくて頼りになる君。

 そんな君に私は憧れていたんだ――――

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