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その体に出会いと別れの挨拶を ~あの日、憑依した少女にもう一度出会うために~  作者: 炭本 良供
四章「咲きたい花」

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一話『能力を失った傀儡』

「――――えっと、確か森ノさんはいつもこの場所にいたよな?」

「そうだな、でもフラストはいないな」


 黒荻が起こした事件から数日。

 ある程度動けるようになった俺と南陽は、()()()()()()があって森ノさんを訪ねた。

 しかし、彼女はどうやらいないらしい。


 聞きたいことというのは、南陽が聞いた、黒荻(コクジャク)の死に際に発したという言葉について。


『…………ペルフェの、能力は…………ある奴の力を…………参考にしたものでの…………』

『そやつの名は――――森ノ千花じゃ』


 どうやら黒荻が言うには、ペルフェの能力に森ノさんが関わっているらしい。

 それが本当なのか、俺も確かめたかった。

 でも、森ノさんがいないのであれば、また今度にするしかない。


「――――示杞、名織!」

「!? どうしたんだ、桃李?」


 そう思っていた時。

 桃李が焦った様子でやってきた。


()()()()()()

「!? 何で!?」


 森ノさんは『奪回者』において最大の戦力。

 彼女がいなくなることは、『奪回者』にとっての一大事だ。

 

 すぐに原因を考える。

 最初に思い浮かんだのは、ユズリハの言葉だった。


『僕たちの周りで起きた失踪事件について君たちも注意すること』

 

 官邸内で人の行方が分からなくなる現象。

 でも、いなくなったのは森ノさんだ。

 彼女ほどの実力者がそんな簡単に巻き込まれるとは思えない。

 だから、別の理由があるはずだ。


「ピチリ、どっか心当たりのある場所とかないか?」

「…………悪いが、森ノがここを離れることは滅多にない。ひとまず拠点内は全て探したが、見つからなかった」


 桃李が一番森ノさんについて知っているはずだ。

 彼が心当たりのある場所を探したなら、もう片っ端から探していくしかない。


「それじゃあ手分けして外を探すか――――っ!?」

 

 俺がその提案をした時だった。

 外から聞こえるただならぬ爆音。


「襲撃か!? 森ノがいないこんな時に!」

「ゴビっ、俺たちが行くぞ!」

「ッ、ああ!」


 森ノさんがいない今。

 どれほどこの拠点の戦力が落ちているのかわからない。

 だから、俺たちも全力で事に当たろう。



※ ※ ※



 拠点の外へ向かう最中。

 俺は疑問を抱えていた。

 

 ペルフェの行方が分からなくなってから、ここを襲撃してきた奴らの統率はできていない。

 能力も使えなくなったという。


――――それなら、どうやって攻撃してくるのか?


 考えられる可能性は、単に別部隊か、能力を失った状態でも襲撃をしてくるかだ。

 どちらにせよ、細心の注意を払っておくべき。

 いつでも憑依をできるようにしておこう。


「――――着いたッ!」


 出口の扉を開け、草原へと抜け出した。


「敵!」


 そこで、俺が目にしたのは、刃物を持った敵。

 それは、俺の想定内。

 能力が使えないのであれば、武器に頼るしかない。


「……………………え?」


 でも、何かがおかしかった。


「…………ゴビ。これって…………」

「あ、ああ。()()と同じだ」


 俺が見た人達の目に光はなく。意志もなさそうで、言葉も発さない。

 それはまるで――――

 

――――()()()()()()()()のようであった。

 

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