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その体に出会いと別れの挨拶を ~あの日、憑依した少女にもう一度出会うために~  作者: 炭本 良供
三章「名状しがたい感情」

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十六話『憧れの消失』

 南陽が家族同然の生き物たちと過ごした部屋。

 彼の祖父はその部屋を実験の場へと変えた。

 南陽が共に暮らしてきた生き物は祖父の実験で死んだ。

 だから、祖父のその行為は彼らと南陽への侮辱だ。


黒荻(コクジャク)…………! どこにいる!?」


 もう、南陽は怒りを抑えきれない。

 されど、依然祖父の黒荻の姿はない。


『わしが出る必要はないじゃろう? 見ての通りそこは実験場。わしがいたら余計な因子が入り混じってしまう』

「……実験だと?」

『ああ、そうじゃ。ペルフェの戦闘力を測るためのな』

「…………なら、コイツに勝ってお前の予測を踏み越えてやる」


 黒荻が実験をするために姿を現さないのであれば、実験を終わらせてやるまで。

 南陽はその意思を黒荻に示す。


『ああ、やってみるといい。だが、お前じゃ勝てないぞ、()()


 だが、黒荻は既に実験のことしか考えていない。

 孫である南陽も番号呼び。


(…………やっぱりそうだ。アイツは俺のことを孫なんて思っちゃいない。最初から()()()()()()()()()())


 この扱いも南陽は予想していた。

 予想が的中したことは悲しいこと。


(けど、それでいい。これで気兼ねなく戦える。)


 だが、同時に僥倖でもある。

 もう、遠慮なんていらないことがわかったから。


 子どもの頃、憧れていた黒荻の背中。

 それを頭の中から抹消する。

 後は―――― 


「行くぞ。この実験を、終わらせてやる」

「………………」


――――大切なものを奪った報いを、黒荻に受けさせるだけだ。

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