三話『撃たれた赤髪と』
「――――待て」
誰かに監視されていた事実への驚愕と恐怖。
それが落ち着いた頃に俺は桃李に話しかけた。
「お前はつぐもを助けたいと言った。でも、つぐもは今感情を取り戻し始めてる、そうだろ?」
「ああ」
「つぐもの安全を確保するチームもいる」
「そうだな」
「なら、何から助けるというんだ?」
俺が聞きたかったのは、俺の動機であった、大切なこと。
桃李が前に言った言葉。
『――――つぐもを救いたかったのだ』
――――これの真意は? 安全が確保されていてこれ以上何をしようとする?
「――――森ノは、強かっただろう?」
「ん? ああ、そうだな」
俺の素朴な疑問に桃李が答え始める。
「だが、ここにいる全員がそうではないんだ。任意で集まったものたちだからな」
「それにどういう繋がりが?」
「ああ。つぐもは森ノでは守れない。しかし、他の人では安全は保証できない。つぐもは狙われているようだからな」
「!? どうして!?」
「私にもわからないが、このままでは、つぐもが危険に曝される可能性があるということは確かだ。その前に、敵を仕留めるんだ」
「――――なるほど。ありがとう、桃李」
森ノさんが能力を使えば、つぐもの体に異変が起こる。
かといって、他に襲撃からつぐもを守り切れるほどの人はいない。
だから、つぐもを救うために敵を倒すのだと。
納得がいった。
「何。疑問の解消は大切だ。コンディションを落としてもらっても困る」
俺の納得した様子を見て、桃李は席を立つ。
「これで良いか? なら今日のところは失礼させてもらう」
「ああ、また明日」
桃李が去るのを見送ったあと、俺も自らの部屋に戻り眠りについた。
…………憑依は例のよってしたけれど。
※ ※ ※
翌日の早朝。
いつもと同じ集会所。
俺と桃李と名織は再び森ノさんに集められた。
「――――すまぬな。計画を話そうと思っていたのだが」
「いえ、気にしないでください」
「ああ。森ノ、ゆっくり休めたか?」
「うむ。問題ない」
「……………………」
森ノさんも少し疲れが取れた様子。
「では、本題と行こう。先程、交戦した敵――――見てきただろうが、あやつらが手がかりとなる」
「あいつらが…………ですか?」
あの敵が手がかりになる。
そう聞いて、俺はふと疑問を声に出してしまった。
だって、あいつらの服装は一般的な服装で、身分とか所属グループがわかるようでもなかったのだから。
ちなみに、俺が思い出したように敬語にしているのは――――
見た目は同年齢の女の子。
けど、ただならぬ風格を漂わせている彼女。
それに怒らせたらあの苦しみを味わわせてくるかもしれない。
あとは……………………わかるよね?
「確かに下っ端共だったが、重要な情報は入手した」
「あの機械のことだな? 森ノ?」
「うむ、そうだ。そなたらが対面したという、炎を使う男がいただろう?」
「はい」
「その男も同じ側の人間だろう」
「! でも、そいつは――――」
「――――いや、其奴に聞く必要はない。情報は何も得られないだろう」
「じゃあ、どうすれば?」
「あやつは入院していると耳にしている。何かあったのではないか?」
「あ……………………」
記憶が甦る。
男の服に染み渡る赤い血。
煙の上がる銃口。
あの男を撃った少女。
「どうやら、あったようだな」
「はい」
「では、話してもらおうか」
※ ※ ※
俺はあの時、起こった全てを話した。
事件を起こした張本人がある少女に撃たれたこと。
その少女は俺には目もくれずに姿を眩ましたこと。
「――――なるほど。では、我と共に来い。示杞、南陽、そなたらの情報が必要だ」
「はい」
「……………………ああ」
何故か、というか理由はわかるけど、名織がさっきから元気がない。
――――森ノさんとネーミングの語り合いできなかったのそこまで響いてるの!?
まあ、名織の調子はこんなだけど、きっとすぐに治る。
とにかく俺たちは今ある手がかりを着実に掴んでいかないと。
赤髪の男を撃ったあの少女。
きっとアイツがこの事件の鍵を握っている――――




