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その体に出会いと別れの挨拶を ~あの日、憑依した少女にもう一度出会うために~  作者: 炭本 良供
三章「名状しがたい感情」

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四話『少女の手がかり』

「示杞、ここ周辺を調べてこい、と森ノから」


 拠点が襲撃にあってから数週間後。

 拠点を歩いていると、とあるものを桃李から渡された。

 それは、赤いペンでとある場所がマークされている地図、そして、探し出すべき女の写真。


「!」


 写真の女は、赤髪の男を打った少女に似ていた。

 あの時は若干距離があったから、本人かどうか確証は持てないけど可能性は高いだろう。

 

「……ああ。わかった」


 地図は写真の女の居場所を示しているようだ。

 事件の手がかりとなるであろう少女がいるかもしれないなら、行くに決まっている。

 

「森ノは拠点を守るから行けないとのことだ」

「…………そうか」


 森ノさんが来てくれれば心強かったけど、しょうがない。

 桃李も言っていたけど『奪回者』の中で森ノさんが特別強い。

 森ノさんが拠点にいないと、襲撃にあった時に対処しきれないのだろう。


 でも俺はもう一人、戦力となる者を知っている。


「名織は――――」

「あの時はごめん! もう大丈夫だ、行こう!」


 それは、名織。

 けど、妙に食い気味だ。

 疲れている森ノさんに、ネーミングの話をしたことを反省して、任務に精を出しているのか。

 それとも他の理由があるのか。


「――――を、――――なきゃ」

「名織?」

「あ、いや、なんでもない! 行こうぜ!」


 気になりはするが、名織が問題ないと言っている。

 無理に聞き出さないでおこう。


「…………ああ、行こう」



 ※ ※ ※



 拠点から出て、町に下りた。

 俺たちはターゲットを探す。

 

「アイツじゃないか? ゴビ?」

「――――ああ。アイツで間違いない」


 早速見つけた。

 赤髪の男を撃った少女。

 あの時は遠くであまりよくは見えていなかったけど。

 ホワイトブロンドの髪。

 遠くからでも感じられた迫力。

 冷徹な表情。

 その特徴が目の前の少女があの時の少女だと確信できた。


――――そして。


「っ」


 どこか、似ていた。

 ()()()()()()()()()に。

 

 彼女の着ている服装が黒に染まっているからなのか。

 はたまた、違う要因なのかわからないけど、確かに俺はそう感じた。


「――――大丈夫か? 示杞?」

「ああ、問題ない。行こう」


 けれど、気にしている場合ではない。

 このチャンスを逃すわけにはいかない。


「慎重にだ。良いか示杞、名織」

「ああ、わかってる。名織は大丈夫か?」

「もちろん。絶対に手がかりを掴むぜ!」

「……………………静かにな」

「………………ぉい」


――――のだけど。

 早速、逃してしまいそうになった。


 俺と桃李はこそこそと喋っていたのだけど。

 名織はもちろんとか言いながら、彼女に聞こえてしまうような声のボリュームで喋っている。


――――大丈夫? 尾行できるこれ?



 ※ ※ ※



「ここを左…………と」


 俺の悪い予感とは裏腹にバレずに尾行できていた。

 そして、少女はとある建物の前で足を止める。


「え?」

 

 つい、声が出た。

 これは、尾行の失敗から出た声ではなく。

 少女がそこに辿り着いたことへの驚き。


――――ここは。


 だって、彼女が入ったのは、日本の閣議など重要な会議が開かれる場所。

 ()()()()だったのだから。

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