四話『少女の手がかり』
「示杞、ここ周辺を調べてこい、と森ノから」
拠点が襲撃にあってから数週間後。
拠点を歩いていると、とあるものを桃李から渡された。
それは、赤いペンでとある場所がマークされている地図、そして、探し出すべき女の写真。
「!」
写真の女は、赤髪の男を打った少女に似ていた。
あの時は若干距離があったから、本人かどうか確証は持てないけど可能性は高いだろう。
「……ああ。わかった」
地図は写真の女の居場所を示しているようだ。
事件の手がかりとなるであろう少女がいるかもしれないなら、行くに決まっている。
「森ノは拠点を守るから行けないとのことだ」
「…………そうか」
森ノさんが来てくれれば心強かったけど、しょうがない。
桃李も言っていたけど『奪回者』の中で森ノさんが特別強い。
森ノさんが拠点にいないと、襲撃にあった時に対処しきれないのだろう。
でも俺はもう一人、戦力となる者を知っている。
「名織は――――」
「あの時はごめん! もう大丈夫だ、行こう!」
それは、名織。
けど、妙に食い気味だ。
疲れている森ノさんに、ネーミングの話をしたことを反省して、任務に精を出しているのか。
それとも他の理由があるのか。
「――――を、――――なきゃ」
「名織?」
「あ、いや、なんでもない! 行こうぜ!」
気になりはするが、名織が問題ないと言っている。
無理に聞き出さないでおこう。
「…………ああ、行こう」
※ ※ ※
拠点から出て、町に下りた。
俺たちはターゲットを探す。
「アイツじゃないか? ゴビ?」
「――――ああ。アイツで間違いない」
早速見つけた。
赤髪の男を撃った少女。
あの時は遠くであまりよくは見えていなかったけど。
ホワイトブロンドの髪。
遠くからでも感じられた迫力。
冷徹な表情。
その特徴が目の前の少女があの時の少女だと確信できた。
――――そして。
「っ」
どこか、似ていた。
路地裏にいたつぐもに。
彼女の着ている服装が黒に染まっているからなのか。
はたまた、違う要因なのかわからないけど、確かに俺はそう感じた。
「――――大丈夫か? 示杞?」
「ああ、問題ない。行こう」
けれど、気にしている場合ではない。
このチャンスを逃すわけにはいかない。
「慎重にだ。良いか示杞、名織」
「ああ、わかってる。名織は大丈夫か?」
「もちろん。絶対に手がかりを掴むぜ!」
「……………………静かにな」
「………………ぉい」
――――のだけど。
早速、逃してしまいそうになった。
俺と桃李はこそこそと喋っていたのだけど。
名織はもちろんとか言いながら、彼女に聞こえてしまうような声のボリュームで喋っている。
――――大丈夫? 尾行できるこれ?
※ ※ ※
「ここを左…………と」
俺の悪い予感とは裏腹にバレずに尾行できていた。
そして、少女はとある建物の前で足を止める。
「え?」
つい、声が出た。
これは、尾行の失敗から出た声ではなく。
少女がそこに辿り着いたことへの驚き。
――――ここは。
だって、彼女が入ったのは、日本の閣議など重要な会議が開かれる場所。
総理官邸だったのだから。




