二十三話『僕の独白』
――――僕は何をしているのだろう。
ここから出ようと血眼になって努力してきたというのに。
どうして僕はここにいる?
ただ、膨らんだアイツへの恨みだけで。
どうして、こうしてしまったのだろう?
――――最初は違った。
単に憧れていた。
僕は偶然、そういう境遇におかれているのだと思っていて、お日様の下を歩けるアイツが羨ましかった。
けれど、ある夜。
あの女と出会い、真実を聞かされた。
少し疑念はあったけれども、憑依のことを考えていくうちに確信へと変わった。
僕が本物の示杞なんだって。
それでも、僕は恨みなんてしていなかった。
だって、アイツが悪いとは思えなかったのだから。
でも、あの女からアイツの日常を伝えられた。
自然と僕の中で生まれる妬みと恨み。
『違う! 貴方はお兄ちゃんじゃない。出てって!』
そして、あの時、僕の中で何かが弾け飛んだ。
僕は本物の家族から存在を否定された。
そのつらさを知ってしまった。
許せなかった。
偶然だとしても、僕を人生のレールから突き落としておいて、平気な顔で何も知らず、僕の人生を満喫していることが。
「――――でも、その結果、元の場所に戻っちゃ世話ないな」
ああ、僕はどうするのが正解だったのだろう?
もう、示杞に戻ることは不可能なのか?
「もう、外には出れないのか…………」
目の前が何かの滴で見えなくなる。
行動してもこの暗闇。
何もしないでもこの暗闇。
僕の人生は最初から詰んでいた。
「――――!」
どうしようもない状況に、諦めかけたその時だった。
微かに声と足音が聞こえる。
……………………アイツ。どうやって?
それが誰のものかはすぐにわかった。
正直、今は聞きたくない。
でも、僕の気持ちに反してその音は次第に僕に近づいて――――
「……………………ああ、来たんだね」
――――僕の背後で響いて止んだ。




