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その体に出会いと別れの挨拶を ~あの日、憑依した少女にもう一度出会うために~  作者: 炭本 良供
二章「インターフェース」

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二十話『一度きりの憑依』

「…………ここら辺だと思うが」


 俺は靄を探して教室を転々とする。


「――――見つけた」


 いくつか教室を回った後、教室の外から、黒い靄が見えた。

 何を目的に動いているのか知らないけれど、俺には関係ない。

 ただ示杞を助けるために倒すだけだ。


 勢いよく教室の扉をあけた途端、靄の周りの人々が一斉にゾンビのようにこちらを睨む。


――――操られているとわかっていても、少し恐ろしい光景だな。けど、怖がってはいられない。


「ここで決着だ、示杞!」


 俺は操られている生物の間を縫うようにして駆ける。

 そして、靄に向かって飛び出し、渾身の拳を喰らわす。


"ゥゥ!"


 靄の中から呻き声を聞こえる。

 攻撃は効いているようだ。

 やはり、つぐもの体が何らかの効果を持っているらしい。

 

 それに、憑依したときに感じたように、体が馴染む。

 高い身体能力はある上に、それが制御できている。

 

「これなら……!」


 密集した室内を駆け抜け、靄を殴り伏せる。


「いけるっ!」



 ※ ※ ※



「ハア、ハア」

 

 何回も靄を攻撃し続けた。

 身体能力が高いと言えど、そろそろ疲れがたまってきた。

 けれど、どうした?

 ()()()()()()()()()()

 

――――攻撃は効いている。それはわかる。耐久力が高いのか? だとしても、もう長くは戦えない。


「くっ」


 既に背後に回っていた生物。

 間一髪で生物の攻撃を躱す。


――――どうしたら、この靄を倒せる?


 攻撃を避けつつも対策を思索する。


 そして、思い出すのはハオと名乗る女が言っていた言葉。


()()()()いるみたいだしね』


 あの子というのは、つぐもに間違いない。

 現に対抗札となっている。

 けれど、あの言い方。

 他に勝てる要素があるような言い方だった。

 今の俺に、そんなものは――――

 

「――――あ」


――――憑依だ。

 形、姿に変化はあれど、生物に変わりはない。

 ミクロサイズになったわけでもない。

 なら、憑依は理論上できるはずだ。


 問題は、憑依を弾かれないかどうかだ。

 高層ビルで出会った黒い翼の女に、俺の憑依は克服されたことがある。


 でも、憑依しか方法はない。

 チャンスは一度。

 俺が憑依を止めて体を返しても、すぐにつぐもは起きないだろう。

 失敗でもしたら、気絶したつぐもの体を誰も守れない。


「絶対に、この体を傷つけさせてたまるものか!」


 借り物の体。

 それを無傷で返すために、俺は計画を練る。

 あの靄に確実に憑依するための計画を。

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